リクルートマネジメントソリューションズは、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2023年」の結果を発表した。企業組織の課題は「ミドルマネジメント層の過重負担」。管理職になりたい社員が減っている現状が明らかになった。
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リクルートマネジメントソリューションズは2023年9月25日、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2023年」の結果を発表した。調査は、従業員100人以上の企業の人事担当者と管理職層を対象に実施し、それぞれ150人、合計300人から有効回答を得た。
「会社の組織課題」を見ると、人事担当者の回答で多い順に「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(65.3%、複数回答、以下同)、「次世代の経営を担う人材が育っていない」(64.0%)、「中堅社員が小粒化している」(63.3%)だった。管理職層の回答でも「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」が最も多く、64.7%。2位も同じく「中堅社員が小粒化している」で64.0%だった。ただ3位については「次世代の経営を担う人材が育っていない」「新価値創造、イノベーションが起こせていない」「新人、若手社員の立ち上がりが遅くなっている」が同率(62.7%)となっていた。
リクルートマネジメントソリューションズは同調査を2020年から実施しているが、「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」の選択率がトップになったのは、人事と管理職のどちらの回答でも今回が初めてだという。同社は「ビジネス環境の変化が激しい中、人事管理の難度が上がっていることなどが背景にある」と分析している。
管理職に期待する役割も変化している。人事担当者が考える管理職に最も期待していることでは、トップが「メンバーの育成」(48.7%、複数回答)。次いで、「メンバーのキャリア形成・選択の支援」(27.3%)、「部署内の人間関係の円滑化」(22.7%)が続いた。これに対して管理職層が自身の役割だと認識しているのは「メンバーの育成」(52.0%)、「部署内の人間関係の円滑化」(36.0%)、「担当部署の目標達成/業務完遂」(36.0%)だということが分かった。リクルートマネジメントソリューションズは「育成だけではなく、部下の中長期のキャリア形成支援までがマネジャーの役割になってきた」と分析している。
また、いわゆる“プレイングマネジャー”の割合が高いことも明らかになった。管理職層に「マネジメント業務に携わる比率」を聞いたところ、マネジメントに専念している管理職は少数派(100%マネジメント業務をしているのは2.7%)だった。回答の中では「5割」が最も多く、20.7%。次いで「8割」(16.0%)、「2割」(13.3%)の順だった。管理職層がプレイヤー業務を担う理由は、「メンバーに知識やスキルが不足しており、仕事を一任できない」が最も多く、34.2%(複数回答、以下同)。次いで「自分の専門性を維持、向上させ続けるため」(30.1%)、「メンバーに他部署を動かす調整力が足らず、一任できない」(25.3%)などが上位に挙がった。
こうした現状を解決するため、課長やマネジャー候補の育成と選抜を進める企業はあるが、簡単にはいかないようだ。人事担当者に課長やマネジャー候補の育成と選抜における課題を聞いたところ、「課長、マネジャーになりたいという社員が減っている」(42.7%、複数回答)、「課長、マネジャー候補に向けた育成の進め方」(39.3%)、「課長、マネジャーになる前に必要な経験を積ませること」(32.0%)がトップ3に並んだ。育成の仕方そのもの以上に、管理職になりたい社員が減っていることが分かった。
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