Gartnerが2025年までに多国籍企業の3割が深刻な影響を受けると予測した、デジタル主権リスクとは収益損失、ブランド毀損を引き起こす?

Gartnerは2025年までに多国籍企業の30%が、管理されていないデジタル主権リスクによる収益損失、ブランド毀損、法的措置を経験するという見込みを発表した。

» 2023年09月29日 08時00分 公開
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 Gartnerは2023年9月11日(米国時間)、2025年までに多国籍企業の30%が、管理されていないデジタル主権リスクによる収益損失、ブランド毀損、法的措置を経験するという予測を発表した。

 同社アナリストのブライアン・プレンティス氏は「過去30年間、多国籍企業は事業展開する国の経済、政治環境から生じるリスクの評価を背景に、事業運営を管理してきた。多国籍企業は今、主権リスクをデジタル面にも拡大し、国や地域の境界線に沿った潜在的な影響を回避する必要がある」と述べている。

 同社によると、デジタル主権とは、外国政府のデジタル規制によって妨げられることなく政策を実現できる政府の能力だ。他国が自国民や自国を本拠とする企業に直接課す規制に対抗する。こうした規制には、管理下にあるデジタル大手を通じて行使されるものも含む。

 「デジタル主権戦略を追求する国が増えるにつれて、複雑な規制義務や関税制限、輸出入禁止、その国特有の技術プロトコル、ローカルコンテンツ要件などが出現している。デジタルの事業運営における重要な役割を考えると、経営幹部はデジタル主権リスクとその事業環境への影響を理解する必要がある」(プレンティス氏)

 同社は、デジタル主権リスクの影響を受け、潜在的な収益損失やブランド毀損、法的措置を回避するために管理しなければならない3つの主要分野を挙げている。

デジタル主権リスクが多国籍のテクノロジープロバイダーの顧客に及ぼす影響

 デジタル主権戦略の増加による混乱の多くは、テクノロジープロバイダーの業務に影響を及ぼす。「大国間競争の激化は、HuaweiやNokiaのような5Gサプライヤーに対する規制のように、特定のテクノロジー分野やプロバイダーとの間で繰り広げられている。これは規制圧力の増大や国策の転換、あるいは突発的な地政学的出来事への対応の結果である可能性がある」(Gartner)

 同社によると、テクノロジープロバイダーが自社のデジタル主権リスクにどのように対応するかは、多国籍企業の顧客の業務に大きな影響を与える可能性があるという。多国籍企業は、重要なプロバイダーを組織の広範なサプライチェーンの一部として考慮し、デジタル主権リスクを積極的に評価、軽減する必要があるとしている。

効果的なローカライゼーションの必要性

 デジタルに対する意欲を高めた企業は、デジタル製品化の取り組みを各市場に向けた個別のデジタル製品投入へとつなげていく。それぞれが独立した採算となることも多い。市場が自国以外の場所にある場合、同社では、各デジタル製品に関連するデジタル主権リスクを管理するための措置を講じることを推奨している。

 そのためには、特定市場の顧客の文化や言語とともに、規制要件に適応するための継続的な製品のローカライズが必要となる。「複数の市場に対応するデジタル製品を製造する場合、各国の技術標準、国家が後援するプロトコル、政府が提唱するフレームワークの全てが必要な意思決定の重荷となる」(Gartner)

デジタル地政学的競争の渦中に巻き込まれるデジタルビジネス

 同社は、企業がデジタルに対する意欲を高め、デジタルを活用するにつれ、テクノロジープロバイダーと同じように、デジタル自由市場の幅広い摩擦に対処しなければならなくなると指摘する。「企業はデジタル地政学的競争の渦中に置かれ、ビジネス戦略への影響を受けることになる。そうでなければ、拡大するデジタル主権リスク要因の範囲や目的、組織への影響を理解するのに苦労するだろう」(Gartner)

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