IDC Japanは、国内従業員エクスペリエンスに関する国内企業の取り組み動向についての調査結果を発表した。日本では、物理空間を活用した従業員同士のコラボレーションを重視する傾向が、世界と比べて相対的に高かった。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
IDC Japanは2023年11月9日、国内従業員エクスペリエンス(以下、EX)に関する国内企業の取り組み動向についての調査結果を発表した。ここでいうEXは、従業員が入社してから退職するまでに所属企業で経験するさまざまな体験とその評価のこと。EXが高い企業は従業員にとって働きやすく、魅力的な環境だといえる。
IDC JapanによるとEXは、採用での体験や職場環境、企業文化、リーダーシップ、パフォーマンス管理、キャリアの成長機会、給与/福利厚生、職場での関係性など、複数の要素で構成される。近年、このEXを向上させる必要性が高まっているという。
EX向上に注目が集まっている要因としてIDC Japanは次の3つを挙げる。
調査結果によると「EXを向上させることで提供できる価値が高まる(EXが自社の成長や社外への価値提供に関して正の相関がある)」という認識が高い割合で浸透していることが明らかとなった。一方、「経営陣のEXに対するコミットメントが従業員に周知されていない」「EXに関する取り組みが具体的ではない、十分でない」といった課題があることが分かった。
IDC Japanによると、EX向上と「人的資本」は深い関係があるという。人的資本とは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出そうとする考え方のこと。調査結果によると、人的資本経営に関連した具体的な取り組みを進めている企業の割合は30%以下だった。また約4割の企業が、タレントマネジメント、従業員エンゲージメント、研修プラットフォームなど人的資本に関するシステムを導入していなかった。
だが、この状況は別の捉え方もできる。調査結果によると、日本はオフィス勤務や物理空間に対する優先順位が世界と比べて高かった。このことからIDC Japanは「日本は、収益や生産性向上、従業員スキルを向上させる手段として(システムを介するのではなく)物理空間を活用した従業員同士のコラボレーションを重視する傾向が、世界と比べて相対的に高い」と分析している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.