Cloudflareは、インターネットにおける「IPv6」の普及状況の推計結果を発表した。
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CDN(Content Delivery Network)やインターネットセキュリティサービスなどを手掛けるCloudflareは2023年12月15日(米国時間)、インターネットのグローバルトレンドや洞察データを公開している「Cloudflare Radar」の観測を基に、インターネットにおける「IPv6」の普及状況を推計した結果を発表した。
IPv6は、現代のインターネットを生み出したインターネットプロトコル(IP)である「IPv4」の後継バージョン。IPv4ではIPアドレスが32bit幅で、絶対数が約43億個だが、IPv6では128bit幅で、膨大な数のアドレスを付与することが可能になっている。
Cloudflareによると、インターネットでは依然としてIPv4が主流のプロトコルとなっている。IPv6の普及拡大は2017年半ばまで、指数関数的に見えるペースで進んだが、その後は直線的なペースに移行している。
多くの統計では、インターネットサービスプロバイダー(ISP)がIPv6をどの程度導入しているかを反映した数字が公表されているが、Cloudflareは、クライアントおよびサーバのIPv6普及率と、クライアントがどのくらいの頻度でIPv6経由でサーバとやりとりできるかどうかを調べた。インターネットでIPv6がどの程度普及しているかを観測するには以下のような方法があるが、Cloudflareは、接続とリクエストに注目した。
Cloudflareは以下のように、3つの方法でIPv6普及率を推計した。
この方法によって、35.9%という数値が得られた。35.9%という数値は、IPv6に対応した全てのコンテンツ(デフォルト設定)において、IPv6経由で応答が返されたHTTPリクエストの割合を示している。botを除いた場合の推計値は46%強まで上昇し、人間を除いた場合は24%近くまで低下する。
なお、Cloudflare Radarや、ブログ記事「Cloudflare 2023年版Year in Review」では、特定の国やネットワークについて、この方法で得られたIPv6普及率の数値を確認できる。同ブログ記事によると、IPv6経由のHTTPリクエストの割合が最も高い国はインド(70%)で、マレーシア(66%)がわずかな差で続いている。この割合が50%以上に達している他の国には、サウジアラビア、ベトナム、ギリシャ、フランス、ウルグアイ、タイなどがある。
1.1.1.1は、インターネットを高速かつプライベートに閲覧する手段として広く利用されているCloudflareのパブリックDNSリゾルバだ。
1.1.1.1が処理するDNSルックアップの30.5%が、IPv6アドレスを使用して、意図した相手に接続できた。
Cloudflareはこの割合が、IPv6経由のHTTPリクエストの割合(35.9%)よりも低い理由として、以下が考えられると述べている。
1.1.1.1が処理する、IPv6アドレスを使用するDNSルックアップのうち43.3%が、空でない応答を得た。サーバのIPv6普及率は、クライアントのIPv6普及率よりも明らかに高いことになる。
Cloudflareは、DNSクエリの観点から見たクライアントのIPv6普及率(30.5%)とサーバのIPv6普及率(43.3%)の推計から、この頻度は、両者を掛けて得られる約13.2%であり、これはかなりの根拠がある数値だとしている。
Cloudflareは、各種デバイスのインターネット接続が進む中、IPv6はインターネットの将来にとって極めて重要だとの見解を示し、「クライアントとサーバの接続がIPv6で確立される頻度を13.2%から改善するには、ISP、クラウドやホスティングのプロバイダー、そして企業が、ネットワーク内のデバイスでIPv6を利用できる割合を高める必要がある」と述べている。
Cloudflareが以上の調査、推計に使用したCloudflare Radarの観測データは、120を超える国/地域の310以上の都市に広がるCloudflareのグローバルネットワークで生成されたデータと、CloudflareのパブリックDNSリゾルバ(1.1.1.1)から集約、匿名化したデータに基づいている。
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