Microsoft VisioやDraw.io、Graphvizなど7つの「ソフトウェアアーキテクチャ視覚化ツール」をレビュープロジェクトシナリオへの適合性を理解することが重要

TechTargetは、「ソフトウェアアーキテクチャ視覚化ツール」に関する記事を公開した。「Microsoft Visio」や「Draw.io」のような視覚化ツールは、ソフトウェアアーキテクチャの設計と管理に多くのメリットをもたらす。だが、重要なのは正しいツールを選択することだ。

» 2024年01月16日 08時00分 公開
[Kerry DoyleTechTarget]

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 TechTargetは2023年11月16日(米国時間)、「ソフトウェアアーキテクチャ視覚化ツール」に関する記事を公開した。

画像 7つのソフトウェアアーキテクチャ可視化ツールのレビュー(提供:TechTarget)

 ソフトウェアアーキテクチャ視覚化ツールは、アプリケーション開発とソフトウェアアーキテクチャ管理を成功させるために不可欠な要素だ。グラフィックを使ったコード表現やシステムの関係図など、視覚化はソフトウェアチームにプロジェクトの共通の青写真(将来予測、構想)を提供し、個々のモジュールの内訳を明確に定義し、アプリケーションの機能を動的に文書化する。

 ただし、視覚化ツールを選定する際に、そのツールの際立つ長所、潜在的な弱点、そして特定のプロジェクトシナリオへの適合性を理解することが重要だ。

 そこで本稿は、有料サブスクリプションやオープンソースツールを含め、視覚化ツールのさまざまな選択肢を評価して順不同で紹介する。なお、基となる情報はプロバイダーの情報ページと他の独立系情報源から集めており、どの視覚化プロバイダーからも影響を受けていない。また、紹介するツールにランクは付けずに紹介している。

Enterprise Architect

 Sparx Systemsの「Enterprise Architect」は、アーキテクチャ仕様、コードベースの詳細、メタ情報に関して、一元管理型の単一ソースを提供する。開発プロセス特有の機能(モデリング、リバースエンジニアリング、モデル変換、コード生成、ドキュメント作成など)を利用できる。

 開発者は、モデル駆動型のアプローチと統一モデリング言語(UML)プロファイルを通じてEnterprise Architectの機能を拡張できる。また、UMLに基づくモデル化、視覚化、設計用のプラットフォームも提供されている。このツールは大規模エンタープライズ環境での使用に適しているが、個人やプライベートのプロジェクトにも役立つ。新しいバージョンのEnterprise Architectには、「Amazon Web Services」(AWS)や「Google Cloud」のユーザー向けに特別に調整されたアイコンセットのコレクションが含まれている。

Microsoft Visio

 「Microsoft Visio」を使えば、フローチャート、図表、組織図などを簡単に作成できる。特に、プロセスフローの図式化やシステム図の作成に向いている。ユーザーはチャートや図表を同僚のプログラマーやエンジニアと共有でき、正確なデータフロードキュメントを生成できる。Microsoft Visioは「Office 365」(現:Microsoft 365)のスイートまたはスタンドアロンのWebプラットフォームを通じて利用可能だ。

Lucidchart

 Lucid Softwareの「Lucidchart」は開発フローチャートと図が作成できるツールだ。Webベースのインタフェースと多種多様なテンプレートを提供している。これを使うことで、ユーザーはリアルタイムでコラボレーションしてアーキテクチャ設計を作成できる。また、プロセス、フローチャートの作成もサポートしている。無料のユーザーアカウントでは図ごとのオブジェクト数が60個に制限されるものの、図の作成数には上限がない。

 Lucidchartの魅力は、その使いやすさと直感的に分かりやすい機能にある。複雑なソフトウェア環境で作業するプログラマーは、Lucidchartから「Atlassian」「Salesforce」、AWSなど、多種多様なプラットフォームやツールに接続できることを好む傾向がある。

Visual Paradigm

 「Visual Paradigm」は、DevOpsチームと個人のプログラマーが開発プロセス全体を効率的にモデル化するのに役立つ。コードエンジニアリング機能によってSOA(Service Oriented Architecture)、UML、BPML(Business Process Modeling Language)のようなモデリング言語をサポートする。開発者は「テンプレートデザイナー」を使って、システムドキュメントを作成したり、クラス図を設計したりできる。

 Visual Paradigmは、アーキテクチャ内の任意のクラスが更新されると、プロジェクトの全てのバージョンの同期を自動的に確保する。プロセスの分析とデータベースの設計もサポートしている。Visual Paradigmはさまざまなプロジェクトで機能し、大規模システムの構築に効果的なリソースを提供する。新しいバージョンでは、プラグイン管理、プロジェクトテンプレート、チームコラボレーション、ログ記録プロセス向けの固有のサポートも提供されている。

Draw.io

 JGraphの「Draw.io」は、応答性の高いインタフェースと、図や建築レイアウトを作成するためのワークスペースを備えた、Webからアクセスできる無料のツールだ。Googleを介してコラボレーションツールを提供しており、それを利用することで複数の開発者が同時に図表を作成できるようになる。

 Draw.ioは使いやすい図表機能を備えているが、無料版なので本稿で紹介している他のツールに比べて「包括的な機能セットが欠けている」と感じるユーザーもいる。そのため、個人の開発者が使う分には問題ないが、企業での使用には適していない可能性がある。

Graphviz

 AT&T研究所が開発した「Graphviz」はオープンソースの視覚化ツールで、コマンドラインユーティリティーとグラフ記述言語「DOT」を使用している。アーキテクトや開発者は階層グラフ、放射状グラフ、マルチスケールグラフなど多種多様なレイアウトを利用でき、グラフのエクスポートも可能だ。

 開発者がGraphvizを使って入力した大量のコードを、他の開発者が即座に変換、整理、使用できるようになる。ユーザーはさまざまなノード間の接続を強調表示して、その接続を示すグラフィックを生成できる。例えば、開発者がノードに特定の属性を割り当て、関連する属性を特定すれば、チームは属性間の関係を表す図式をチームでレビューできるようになる。

Mermaid.js

 「Mermaid.js」(単に「Mermaid」とも呼ばれる)は、Graphvizのようなオープンソースモデリングツールに似たJavaScriptベースのツールだ。Mermaidを使うと、ソフトウェアチームはドキュメントを簡素化でき、MarkdownやASCIIスタイルのドキュメント形式に従ったモデルを作成できるようになる。図表のさまざまな出力スタイルをサポートするとともに、強力なバージョン管理も重視している。

 Mermaid.jsプロジェクトサイトから入手できる「Mermaid Live Editor」を利用すれば、ローカルバージョンをインストールすることなく、図の生成や、ツール機能とコマンド構文の検証が可能になる。Mermaidでは、開発者が自身の図表をダウンロードし、画像ファイルとして共有できる。最近追加されたMermaid構文によって、グラフや図表をインラインで動的に作成するのが容易になった。ただし、基本的なテキストエディタでMermaid図表を作成できるとしても、「出力をレビューできるように特別に設計されたプラグインを備えたエディタを使用する方がよい」と考えるユーザーもいる。

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