Gartnerは、企業のデータ&アナリティクス戦略に取り入れるべきトップトレンド4つを発表した。
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Gartnerは2024年4月25日(米国時間)、企業がデータ&アナリティクス(D&A)戦略に取り入れるべきトップトレンド4つを発表した。
「生成AI(人工知能)の重要性の高まりは、人々の働き方、チームのコラボレーション、そしてプロセスの在り方を変えつつある」と同社のアナリストでバイスプレジデントを務めるラムケ・ラマクリシュナン氏は言う。「この技術革命の中で、D&A全般、特にAIへの移行と効果的な活用に失敗した組織に将来はないだろう」
4つのトレンドについて、Gartnerは以下の通り説明した。
AIが戦略レベルで業界に革命を起こし続ける中、リーダーはAIにビジネスを懸けるに値するスキルを示し、企業内のAI戦略をリードするための信頼を得なければならない。
「リーダーは、システムの開発能力と、組織が求めるビジネス成果を達成するための業務を結び付けることで、組織に対する自らの価値を示さなければならない」とラマクリシュナン氏は言う。「そうしなければリソースの配分ミスなどの問題が発生し、D&Aは組織のAI戦略を主導する役割を任されなくなるだろう」
AIがビジネスの在り方を変える中、企業のコストは急増している。D&Aのリーダーは、FinOpsを実践して基準を確立し、経費を削減する必要がある。
Gartnerは、2026年までに最高データアナリティクス責任者(CDAO:Chief Data and Analytics Officers)が、ビジネス価値を提供する上でCFO(最高財務責任者)の信頼できるアドバイザーとなり、D&Aは組織の戦略的成長をけん引するようになると予測している。
多くのD&Aシステムはデリケートであり、重複が発生すると混乱とコスト増の原因となる。「先進的な組織はこの混沌(こんとん)を、管理可能なもの、すなわち複雑性に変えようとしている。複雑性への対応は簡単ではないが、これを認識することでダイナミックな環境を現実的に理解し、D&Aチームが適切な行動をとるのに役立つ」とラマクリシュナン氏は言う。
D&Aのリーダーは、自動化と生産性向上のためにAI対応ツールを使用することで、複雑性に対処する必要がある。これには、拡張データ管理、意思決定の自動化、自然言語処理(NLP)のようなアナリティクス機能への投資が含まれる。Gartnerは、CDAOがデータ管理の複雑性にうまく対処できるようデータファブリックを採用することで、2025年までに付加価値の高いデジタルビジネスに集中できるようになると予測している。
生成AIのアクセシビリティーと効率性が高まる中、データの信頼性が課題となっている。組織内の信頼の欠如、データの価値と品質に関する懸念、AIを巡る規制が、より大きな不信を呼び起こしている。
「データが信頼されなければ、意思決定に正しく利用されない可能性がある」とラマクリシュナン氏は言う。「D&Aのリーダーは、意思決定インテリジェンスを活用してデータに対する信頼を築き、意思決定のプロセスと結果を監視する必要がある。さらに、効果的なAIガバナンスと責任あるAIを実践することは、利害関係者間の信頼を確立する上で極めて重要だ。これには、倫理的に管理され、安全で、バイアスがなく、より正確な回答を確実にするために強化されたデータをAIが使用できるようにすることも含まれる」
「D&AでAIを活用することで、従業員が脅威や不満を感じるのではなく、力を与えられたと感じることが重要だ」とラマクリシュナン氏は言う。組織は従業員のAIリテラシーの育成に投資し、効果的なガバナンスのためにアダプティブガバナンスを実践し、情報資産の管理に信頼ベースのアプローチを導入し、従業員が使用する情報の出どころを理解できるようにする必要がある。
「AIのトレーニングは量だけでなく、異なるアプローチも必要だ。AIのエキスパートユーザーに必要なスキルセットは、他のユーザーとは大きく異なることを認識すべきだ」とラマクリシュナン氏は言う。「Gartnerは、2027年までにCDAOの半数以上がデータリテラシーとAIリテラシープログラムのための資金を確保すると予測している」
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