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あなたの円形脱毛症、もしかしたら「心身症」かも心の健康を保つために(3)(2/2 ページ)

ITエンジニアの周りにはストレスがいっぱい。そんな環境から心身を守るためのヒントを、IT業界出身のカウンセラーが分かりやすく伝えます。

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心身症に含まれる疾患

 具体的には、心身症はどのように発症するものなのでしょう。 

 例えば……、

  • 異動があったとき、上司が替わったときに、治まっていたアトピー性皮膚炎が悪化した
  • 重大なトラブルが起きた結果、胃かいようになった
  • 100時間を超える残業が数カ月続いたとき、本態性高血圧(原因となる疾患が認められない高血圧)と診断された

 上記のような話を聞いた方、経験した方が多いのではないでしょうか。

 これらが心身症の代表的な例です。このほかにも、さまざまな病気が心身症である可能性があります。

消化器系 →  胃・十二指腸かいよう、過敏性腸症候群

循環器系 →  狭心症、心筋こうそく

呼吸器系 →  気管支ぜんそく

皮膚系 →  円形脱毛症

耳鼻咽喉系 →  メニエール症候群

※注意:ただし、これらの疾患の患者さんがすべて心身症というわけではありません。

 糖尿病や本態性高血圧といった、いわゆる生活習慣病の中にも、心身症として起きている場合があるようです。

 ストレスの多い生活では、体にいい食事を工夫したり、運動を取り入れたりする余裕もなくなります。逆に飲酒、喫煙がストレス発散方法となり、体に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。

 このような場合は、病気自体の治療とともに、生活のあり方を改善することが必要です。それにより睡眠状態や栄養状態などの身体状況が改善され、ストレス抵抗力もアップしていきます。

心身症と自律神経失調症、心因性の病気との違い

 前回紹介した自律神経失調症(交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによる不調)と心身症は、混同されることが多いようです。

 心のストレスが原因で体の症状が出るのが心身症ですが、その症状として自律神経失調症状があれば「自律神経失調症」と診断されることもあります。

 さらに分かりにくいのが、心身症と「心因性の身体症状」といわれるものの違いでしょう。

 とても嫌なことを聞かされたようなとき、急に耳が聞こえなくなることがあります。これは「心因性難聴」といわれるものです。この場合、耳の検査をしても異常は見られません。神経症の症状の一種であり、心の病気であるといえます。

 一方、体の病気である心身症としてのメニエール症候群などでは、検査をすると内耳内の水分代謝の異常などが見られます。

心身症には、心と体両方での対処を

 体の病気である心身症ですが、だからといって症状にのみ気を取られていると、なかなか良くならないことがあります。症状が消えたとしても、原因であるストレス自体に対処しないと、別の症状が出てくる場合があります。病院通いが続くことにより新たなストレスを生むこともあります。心と体、全体としての自分を振り返ることが大切です。

 次回は、心身症の具体的な事例、対処方法について紹介したいと思います。

参考:『専門医がやさしく教える心のストレス病』河野友信著 PHP研究所刊


著者紹介

ピースマインド 石川賀奈美

臨床心理士、産業カウンセラー。米国フォーカシング・インスティチュート認定フォーカシング・トレーナー。現在、ピースマインドで成人を対象に幅広い相談に応じるとともに、定期的に企業に赴き、社員のカウンセリングを行う。高齢者虐待防止に関連し、在宅介護者のカウンセリングにもかかわっている。「出口のないトンネルはない。しばし、一緒に光を目指して歩いていきましょう」



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