「疲れていてもつい頑張ってしまう人」が危ない心の健康を保つために(4)(1/2 ページ)

ITエンジニアの周りにはストレスがいっぱい。そんな環境から心身を守るためのヒントを、IT業界出身のカウンセラーが分かりやすく伝えます。

» 2008年08月28日 00時00分 公開
[石川賀奈美ピースマインド]

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 前々回「ストレスへの反応には個人差が。あなたは何に弱い?」では、ストレスに対して体が起こす反応について、前回「あなたの円形脱毛症、もしかしたら『心身症』かも」では、そのストレスが過剰になったときに起こる「心身症」についてお話ししました。

 体には自らのバランスを保とうとする機能があること(ありがたいですね!)、体の不調の際にはまず検査して治療し、原因としてストレスが考えられる場合はストレスに対処する必要があることを説明しました。

 さて、ここで1つの事例をご紹介しましょう。

仕事と家族のことで手いっぱいのMさん

 Mさん(31歳)は、入社して9年になる、ある中堅IT企業の女性エンジニアです。現在はチームのまとめ役を務め、深夜まで帰宅できない日々が3カ月以上続いています。

 忙しいのは平日だけではありません。土日のどちらかは必ず片道2時間かけて実家に帰ることにしています。というのも、父親に1年前から認知症の症状が出始めているのでした。まだ生活のほとんどを自分で行える状態ではあるものの、時々もの忘れがあり、それをきっかけに母親とけんかになってしまうのです。母親は毎日いらいらして疲れています。そのため、Mさんが週末に帰って家事を手伝ったり、母親の愚痴を聞いたりしていました。

 Mさん自身も疲れがたまり、毎朝起きるのもつらい状態でした。どうにか出社していますが、次第にミスが多くなり、同僚にもつっかかるような話し方をするようになっていました。

 あるとき、Mさんは少し大きなミスをしてしまい、上司から注意されました。かなりショックを受けましたが、いつもどおり仕事をこなして帰宅しました。その翌朝、目を覚ましたMさんはひどいめまいと吐き気で起き上がることができず、会社を休むことになりました。

 何とか起きられるようになってから、近くの病院に行きました。検査後、Mさんは医師から「メニエール症候群の可能性があります」と伝えられました。

ストレスと関連するメニエール症候群

 メニエール症候群とは、めまいを主な症状とし、吐き気や耳鳴り、難聴を伴う病気です。めまいの発作は軽いものだと数時間で収まりますが、重い場合は立ち上がることも困難なほどの症状が2、3日続くことがあります。めまいはメニエール症候群だけでなく、脳や心臓などの病気が原因となっていることも考えられるため、判断には専門医の検査が必要です。

 原因は、耳の奥に存在する「内耳内リンパ液」の調節ができなくなり、「内リンパ水腫」ができて神経が圧迫されることだといわれています。

 まずは投薬により症状を抑える治療が行われます。発作が起きたときは、あわてず静かに横になり、心身とも安静にすることが大切です。

 発作は1度きりという人もいるようですが、実際には繰り返すことが多いようです。また、ストレスと関連することが多い病気だといわれています。

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