高速軽量なフレームワーク、FuelPHPって何?:UXClip(26)(2/2 ページ)
人気急上昇中のシンプルで高速軽量なWebアプリケーションフレームワーク、FuelPHPについて学ぶイベントをレポートする
ゲスト講演3 FuelPHP活用事例
FuelPHPの業務利用についてシーエー・アドバンスさんよりご紹介いただきました。
シーエー・アドバンスはサイバーエージェントのグループ会社であり、インターネットメディアや広告の運用に関する事業をしています。今回の講演では社内でのFuelPHP活用事例をご紹介いただきました。
まず、FuelPHPを採用しているプロジェクトとして代表的な4つのプロジェクトについて概要の説明がありました。講演の中では、さらに3と4について詳しく取り上げました。
- FuelPHP採用プロジェクトの一例
- CS(カスタマーサポート)社内業務ポータル
- 画像、投稿監視管理システム
- CS(カスタマーサポート)社外向け業務支援システム
- SEM運用支援システム
CS(カスタマーサポート)社外向け業務支援システムについて
ソーシャルアプリに特化して、ユーザーからの問い合わせの受け付け、開発者へのエスカレーション、ユーザーへの返信を行うシステムで、スピード感のある開発が求められたことと、CodeIgniter経験者が開発メンバーにいたため、学習コストを最小限にできることなど、FuelPHPを採用した理由を語りました。
開発する上で工夫した点として、ログ出力クラス、validationクラス、PagiNationクラスのカスタマイズ、セッションの管理や単純なデータ保持にRedisを活用した点、Jenkinsでのコーディング規約チェック、外部システム連携用REST APIの開発について取り上げ、内容を紹介しました。
SEM運用支援システムについて
SEM運用支援システムは、インターネット広告の運用を効率的に行うためのシステムで、もともと社内向けにフレームワーク未使用で開発していたシステムから一部機能を切り出し、社外向けに開発したシステムだそうです。FuelPHPを採用した理由としては、開発の制約が少なく自由度が高い、既存部品を再利用した高速な開発が行える点などが挙げられました。
開発する上で工夫した点として、ソースコードのModel/Controller/Viewディレクトリ配下に機能ごとのサブディレクトリを作成し、機能単位にソースコードをまとめて管理できるようにしている点、Templateエンジンには開発経験者がいたためSmartyを導入し開発効率を上げた点、Viewにオブジェクトを渡す改修を行った点、DB/Memcacheへのアクセスをはじめ、移植元システムの資産を利活用している点などが挙げられました。
社内でFuelPHPを採用して良かった点として、とっつきやすく使いやすいこと、日本語の入門書が発売されていること、コアクラスを理解・拡張しやすいことなどがあるそうです。逆に苦労した点については、日本語の公式ドキュメントが一部しか存在しないことや、URLでアンダーバーが使用できない点、フレームワークのリリース間隔が短く、導入タイミングが難しいなどが挙げられるそうです。
シーエー・アドバンスさんの資料は以下のURLで公開されています。これから業務利用を検討されている方はご一読ください!
LT大会
今回は最終的に13名の有志が、FuelPHPに関係したLTをしました。また、資料を公開されている方につきまして、公開先のURLも併せて記載いたします。どの発表も興味深いものばかりですので、ご覧ください。
- koyhogeさん
- Yusuke NAKA(レポート記事筆者)
- egmcさん
「FuelPHP用ソーシャルログイン専用認証パッケージDsAuthでNinjAuthをもっと簡単に利用するの蛇足」
- dalunkoさん
「FuelPHPとの出会い」
- mcatmさん
「FuelPHPでAssets pipelineを使う」
- toshihirockさん
「FuelPHPのScaffoldで作成した画面をdotcloudにデプロイしてみた」
- nasnegさん
「Composerを利用したFuelPHPのパッケージ管理方法」
- ファガイさん
- mycb750さん
「OpauthライブラリによるTwitter,Facebook認証について」
- 下田誠さん
- niwatakoさん
- web2citizenさん
「FuelPHPのスパムフィルタパッケージ」
- takyamさん
- ryunaekiさん
「Raspberry Piで作るFuelPHP環境」
LT大会の発表の中には、昨年末有志により実施された、FuelPHP Advent Calendar 2012のエントリーに関係する内容もあります。無料の電子書籍になっていますので、ぜひダウンロードしてみてください!
終わりに
今回はFuelPHP 勉強会 東京 vol.3の模様をレポートしました。FuelPHPはPHPのWebアプリケーションフレームワークの中ではまだまだ歴史が浅いフレームワークですが、GitHubを利用した開発やドキュメント翻訳が行われるなど、いろいろな意味でモダンなフレームワークとなっています。特に日本では人気があり、fuelphp.jp Googleグループではユーザー同士の交流が活発に行われているほか、東京以外でも積極的に勉強会が開催されています。ぜひチェックしてみてください。
読者の皆さまが、FuelPHPに興味を持っていただけるきっかけになれば幸いです。
著者プロフィール
仲 裕介(なか ゆうすけ)
NTTコミュニケーションズ 先端IPアーキテクチャセンタにて、
最新Web技術の調査研究やスマホ向けサービスの開発などを行っています。
Twitter:@Tukimikage
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