メール冒頭の「お世話になっております」は必要か?:ビジネスマナー研修<メール編:本文>(11)
朝のあいさつ「おはようございます」は社会人の基本ですが、メールの場合もあいさつは必須でしょうか?
※この連載は「メール文章力の基本」(藤田英時著)の第1章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。
エンジニアにも必要なビジネスメールの書き方、前回は本文の冒頭に書く宛名の書き方をお伝えしました。今回は、宛名を書いた後に書く「あいさつ」についてです。
メールにもあいさつは必要です。手紙のような形式ばったあいさつではなく、簡単で親しみやすいもので十分です。
あいさつ例
お世話になっております。 ←最も一般的
はじめまして。 ←初めてメールを出す場合
いつも大変お世話になっております。 ←ていねい
こんにちは。 ←親しい場合
お久しぶりです。 ←連絡が空いた場合
ごぶさたしております。 ←同上
最近はいかがですか? ←近況を聞く場合
おはようございます。 ←朝に読むと分かっている場合
お疲れさまです。 ←社内や親しい場合
たびたび失礼します。 ←1日に何度もメールする場合
何度もすみません。 ←同上
さきほどの追加情報です。 ←すぐに追加して送る場合
追伸です。 ←同上
最も一般的なあいさつが「お世話になっております。」です。親しい場合や連絡が空いた場合など、メールを出す相手、状況によって使い分けましょう。
「おはようございます。」などは適当ではないとされていますが、相手が朝に読むと分かっている場合は、自然です。社内では「お疲れさまです。」がよく使われていますが、社外でも親しい場合は使っていることが多いようです。
差出人を見れば、誰から来たメールか分かりますが、あいさつの後に社名と自分の名前を名乗るのがマナーです。しかし、何度もやりとりが続いた後は名乗らなくてもいいでしょう。また、久しぶりにメールを出す場合は、名乗った方がいいでしょう。
例
いつもお世話になっております。
@ITシステムの田中です。
顧客からの質問にメールで答える場合は、きちんと社名と氏名を名乗りましょう。相手に責任を持って回答している印象を与えます。また、相手側がさらに質問したい場合も、こちらが名乗っておけば回答者を指名できるため、相手側の安心感が高まります。
例
いつもご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
アイティメディア開発の鈴木太郎です。
ご質問にお答えいたします。
- メール送信、その前に?
- メールの返信に部分引用を用いるのはマナー違反?
- 相手によって変えてもよいのは?
- 「取り急ぎ、お礼まで」は失礼か?
- 結論と理由は、どちらを先に書けば良いのか?
- メールの目的は、最初に書くべきか?
- メール冒頭の「お世話になっております」は必要か?
- 「鈴木課長様」「課長 鈴木太郎様」「課長殿」――正しい宛名の書き方は?
- メール文の正しい「起承転結」とは?
- ローマ字表記の送信者はスパムっぽい?
- 同じ相手に違う用件でメールするときの件名の付け方
- Re:はReplyの略ではない――返信メールの件名は変更してもいいのか?
- 用件が2つあるときは「など」や「他(ほか)」でまとめない
- 「お願い」だけでは伝わらない
- メールの返信は何時間以内に送るべき?
- 視点は「あなた」で伝えよう
- やりとりは1往復半で終わらせよう
書籍紹介
藤田英時著
日本実業出版社 1300円(税別)
仕事のできる人がやっている「短く」「分かりやすく」「見やすい」メールが書ける77のルールを「良い文例・悪い文例」を対比する構成で紹介する。
藤田英時
コンピューター、インターネット、英語を得意とするジャーナリスト、ライター。米国ベイラー大学でコミュニケーションを専攻後、西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒業。翻訳出版、書籍編集・執筆、マニュアル制作、プログラム開発、技術サポート、大学で情報処理の指導など、幅広く活躍中。
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