長崎編:今は仕事よりも時間が大切――南の島でフリーランスエンジニアとして働く「りょうさん」のお話:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(62)(3/4 ページ)
奨学金返還サポートを10年間受けつつ、釣りをしながらフリーランスのエンジニアで働く(ことも可能)――「ITエンジニア U&Iターンの理想と現実」長崎編最終回は、五島市役所職員と、Iターンエンジニアにお話を伺いました。
リモートワーク実証実験、やってみる
志田山 長期的な移住だけではなく、短期的に五島でリモートワークするというパターンもあると思います。今度リモートワークの実証実験があるというウワサを耳にしました。どれくらいの人たちが参加されるのですか? その中でIT系のリモートワークをする方はどれくらいいるのでしょうか?
松野尾さん 50人程度の方が参加し、1カ月程度リモートワークする予定です。皆さんが1カ月丸々滞在するのではなく、4泊5日ずつなどで代わる代わるリモートワークを行っていきます。
IT系の仕事の方は、6割か7割くらいです。リモートワークが許される業種となると、IT系の業種の方が必然的に多くなります。
志田山 リモートワークを行うに当たって、ネックになるのが通信系のインフラ周りだと思います。その辺はどのように対策をされていますか?
松野尾さん 実証実験を行う富江地区ではWi-Fi環境が弱いので、ポケットWi-Fiを試しています。ドコモ系のポケットWi-Fiは強いのですが、他のキャリアはまだまだです。
福江地区は「光」が通っていて全く問題ないのですが、それ以外の地区はADSLのところがあります。公共のインフラは地区ごとに整備していく予定ですが、現状まだそこまで手が回っていない状況です。
志田山 うちは福江地区なので通信周りで困ったことはないのですが、他の地区だとそういった状況なのですね。
松野尾さん リモートワークの方たちが来たら、ポットラックパーティーなどを開いて交流を深めますので、志田山さんも参加してください。
志田山 ぜひ! なかなか島外のエンジニアたちと接する機会がないので、楽しみです。五島にITエンジニアが増えたら、勉強会なども定期的に開催できて今より良い環境を作れそうです。
白髪が減りました
松野尾さん リモートワークに参加する方の事前インタビューで、移住を希望する理由に「通勤のストレス」を挙げた方が複数いました。「通勤時の満員電車のストレスは、戦場の兵士並だ」とおっしゃる方も(笑)。
志田山 確かに五島だと通勤ラッシュなんてないし、通勤に往復何時間もかかったりなんてこともありませんし。
松野尾さん 五島でも仕事でのストレスはもちろんあるでしょうが、通勤など仕事以外のストレスは限りなくゼロに近いと思います。
車通勤は帰り道にきれいな海や自然を楽しめるので、むしろストレスを軽減できると思います。
志田山 今まで通勤に使っていた時間を別のことに使えるのもいいですね。
松野尾さん そうですね。通勤時間が短くなった分、趣味の時間や家族と過ごす時間が増えたとおっしゃる移住者が多くいらっしゃいます。
魚介をはじめ食べ物全般がおいしいのも五島の良さですし、自然が豊かなので、それが癒やしになってストレスが減っているようです。
志田山 僕もストレスは減りました。五島に帰ってきてから、白髪が減りましたから!(笑)
松野尾さん そうなんですね(笑)
志田山 Uターン者として、地元民と移住者との間に壁みたいなものを感じるのですが……。
松野尾さん 私もその辺は感じます。そういった壁みたいなものを取り払っていけば、五島へ移住して定住してくれる方が増えるのではないかと思います。しかし、そこは行政だけでやっていくのは違うとも思っていて、もっと民間同士でつながりを持っていくことが大事ではないでしょうか。
志田山 そうですよね。行政と民間が手を取り合ってそういった部分が解決していけば、面白いこともできそうですね。
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