最適ネットワーク機器選択術
コラム
できれば避けたいISAイーサネット カード
島田広道
2000/07/07
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デスクトップPCのためのイーサネット カードには、本文で触れたPCIカードのほかにも、ISAカードという選択肢がある。しかし結論からいえば、イーサネット
カードにISAカードを選ぶのは、PCIスロットの空きやUSBポートが存在せず、ISAスロットしか使えないといった旧式のPCが対象の場合に限定したほうがよい。PCIやUSBと比べると、ISAバスはあまりにも旧式で制限が多いからだ(USBについては、「コラム:USBによるイーサネット接続」を参照していただきたい)。
まずISAバス自身の転送速度は、PCIバスなどに比べて非常に遅い。最も高速なバスマスタDMA転送でも、ピーク時で理論値は8Mbytes/s程度、また実効性能は5〜6Mbytes/sである(PCIならピークで132Mbytes/s、実効100Mbytes/s程度)。しかしISAイーサネット
カードはバスマスタDMA転送を使わないこともあって、せいぜい1〜2Mbytes/s程度の性能しか得られない。10BASE-Tならともかく、100BASE-TXの性能(約11〜12Mbytes/s)はまったく活かせないことが分かる。そのため、100BASE-TXに対応したISAイーサネット
カードは非常に少なく、今後は入手も難しくなるだろう。特別な理由がない限り、ISAイーサネット カードなら10BASE-T以外の選択肢はない。
システム リソース(IRQやI/Oポートなど)の取り扱いがPCIカードに比べて難しいのも、ISAカードの欠点である。現在市販されているISAイーサネット
カードのほとんどはプラグ アンド プレイISA対応なので、システム リソースの自動設定自体は可能だ。しかし、割り込み要求(IRQ)の共有は規格上可能でも製品レベルでは不可能であることがほとんどだ。またプラグ
アンド プレイISAカードでは、使用できるIRQをカード自身が規定しており、IRQを消費しているデバイスが多い環境では、プラグ アンド プレイISAカードにIRQをうまく割り当てられないことがある。PCIカードならIRQの共有は基本的に可能であり、また使用可能なIRQをカード側で制限することもないので、IRQ割り当ての自由度は高い。
さらに、ISAイーサネット カードの多くは、プラグ アンド プレイISAが正常に動作しない場合に備えて、ソフトウェアによる独自のシステム リソース設定機能が実装されていることが多い。この独自機能を使うには、カード側のプラグ
アンド プレイISA機能を無効にする必要があるのだが、この有効/無効の作業にはカード添付の専用ユーティリティが必要になる。つまりユーティリティ ソフトウェアの入ったフロッピー
ディスクをなくしたら設定できなくなるし、またセットアップ時には、どちらのモードでリソースが割り当てられるのか常に意識する必要がある。
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ISAイーサネット カードの設定ユーティリティ |
これは3Com EtherLink III(3c509B)というプラグ アンド プレイISA対応のイーサネット
カードを専用ユーティリティで設定しているところ。ISAカードの場合、こうしたユーティリティはDOSでしか動作せず、また英語表示のものが多いので、管理はより複雑かつ面倒になる。 |
このようにISAカードはPCIカードに比べて管理の手間が増えてしまう。PCを管理する立場なら、多少ISAカードのほうが安価でも、PCIが利用可能ならPCIカードを選ぶべきだ。
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