最適ネットワーク機器選択術 3.イーサネット カード選びの方程式3-6. PCカードならケーブルの接続方式がポイント島田広道 |
PCとのインターフェイスとイーサネット側の速度との組み合わせが決まったところで、次はその他のポイントについて解説する。まず最初に注目すべきは、PCカードとイーサネット ケーブルの接続方式である。これはメディア ケーブルを介して接続する方式と、直接イーサネット ケーブルを接続する方式に大別できる。特にノートPCを持ち歩くユーザーには、このような接続方式が使い勝手に大きく影響する。
一般的なのはメディア ケーブル方式
最も多く採用されているのが、以下の写真のように専用ケーブルを介してイーサネット ケーブルとPCカードを接続する方式だ。この専用ケーブルは、メディア ケーブルなどと呼ばれる(俗称「豚のしっぽ」)。
専用ケーブルを介して接続するPCカードのイーサネット インターフェイス |
これはIBMの10/100 EtherJet CardBus Adapterという製品。灰色のケーブルがメディア ケーブルだ。 |
メディア ケーブルとPCカードをつなぐコネクタは、小型かつ薄型にならざるを得ないためか、筆者の経験では、耐久性があまり高くないように感じられる。あまり頻繁に抜いたり差したりしていると、このコネクタが緩くなり、接触不良が生じることがあるのだ。とはいっても、メディア ケーブルをPCカードにつなげたままでは、意外にかさばるので持ち運びに不便なので、どうしてもメディア ケーブルの着脱が生じてしまう。そこでもしメディア ケーブル側のコネクタが傷んだら、ケーブルを交換すれば済む。しかしPCカード側のコネクタが緩んでしまった場合は、PCカードを修理するか交換するしかなく、そのためのコストもケーブルの場合より高くなってしまう。
また、メディア ケーブルが傷んだ場合、以前は代替ケーブルをすぐに入手できないという問題もあった。なぜならメディア ケーブルは各PCカードごとに専用品だったので、PC製品の販売店に在庫があることはまずなく、ベンダから取り寄せるしかなかったからだ(その価格も高いことが多かった)。しかし、最近の製品では汎用のメディア ケーブルがよく採用されており、PC製品の販売店でメディア ケーブルを単体で比較的安価に購入できるようになった。ケーブルをなくしたり、コネクタを壊したりすることが心配なら、こうした汎用のメディア ケーブルを採用している製品を選んだほうがよいだろう。ただ、メディア ケーブルが汎用か専用かという情報はベンダから公表されていないことが多いので、購入時に判別するのは難しい。傾向としては、安価なカードほど汎用のケーブルを採用している率が高いようだ。また販売されている汎用のメディア ケーブルのパッケージ表面には、たいてい対応するPCカード製品の名称が記載されているので、そこから購入候補を選ぶという手もある。
なお、製品によっては、メディア ケーブルのモジュラ ジャック部分にLEDインジケータを組み込んでいることもある(以下の写真)。
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PCカードのLEDインジケータ | ||
左はメディア ケーブルに埋め込まれているLEDインジケータ。右はPCカードの側面にLEDインジケータが組み込まれている。明らかに左のほうがインジケータをチェックしやすい。 |
これだとLEDインジケータは目に付きやすく、接続が行われているかどうかの判断がしやすい。もっとも、こうしたハードウェア的なインジケータをどれくらい重視するかということにも左右されてしまうが、ないよりもあったほうが障害が発生した場合の原因の追求は行いやすい。
メディア ケーブル方式のメリットは、上下に並んだスロットにほかのPCカードを装着しても、邪魔になりにくい点にある。特にモデム カードなどをもう一方のスロットに差すような場合、後述するほかの方式では干渉してしまい、メディア ケーブルや電話線が接続できなくなる。もっとも、後述するマルチファンクション カードを選べば、どの方式でもイーサネットとモデムは共存できる。しかし、もう一方のスロットに別のPCカードを差す予定がある場合は、メディア ケーブル方式が最も無難である。
INDEX | |||
[特集]最適ネットワーク機器選択術 | |||
1. | イントロダクション | ||
2. | イーサネットの基礎の基礎 | ||
2-1. | イーサネットの基本はCSMA/CD方式にある | ||
コラム:IEEE802の各種規格 | |||
2-2. | イーサネットのフレーム形式とコリジョン ドメイン | ||
2-3. | 現在の主流、100BASE-TXを知る | ||
コラム:10BASE/100BASE以外のLAN規格 | |||
3. | |||
3-1. | デスクトップPCには100BASE-TX PCIカードが最適 | ||
コラム:できれば避けたいISAイーサネット カード | |||
3-2. | 一般的な100BASE-TX PCIカードの選択ポイント | ||
3-3. | 100BASE-TX PCIカードの付加機能をチェックする | ||
コラム: イーサネット カードにおけるサーバ用とクライアント用の違い | |||
3-4. | ノートPC用にはPCカードから選ぶ | ||
3-5. | 100BASE-TX CardBusか、10BASE-T 16bit PCカードか? | ||
3-6. | PCカードならケーブルの接続方式がポイント | ||
3-7. | イーサネット ケーブル直結方式は便利か? | ||
コラム:USBによるイーサネット接続 | |||
3-8. | デバイス ドライバは重要な選択ポイント | ||
3-9. | もう1つのソフトウェア サポート − ユーティリティ | ||
コラム:Linuxのためのイーサネット カード選び | |||
4. | |||
4-1. | ハブ/スイッチの種類と機能 | ||
4-2. | ハブ/スイッチ選択の基礎知識 | ||
コラム:そのほかのネットワーク機器 | |||
4-3. | ハブ/スイッチ選択のポイント | ||
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