最適ネットワーク機器選択術
3.イーサネット カード選びの方程式
3-4. ノートPC用にはPCカードから選ぶ
島田広道
2000/07/07
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最近では、企業向けノートPCにはイーサネット インターフェイスを標準装備するケースが増えている。こうした標準搭載のイーサネットは、ほぼすべて100BASE-TX対応であり、イーサネット
ケーブルをつなげるだけで実に手軽にLAN接続が実現できる。しかし、イーサネットが標準装備されていないノートPCでは、何らかの方法でイーサネット インターフェイスを追加しなければならない。それにはPCカードかUSBを利用することになる。このうちUSB接続の詳細については、コラム「USBによるイーサネット接続」を参照していただきたい。ここでは、新旧ほとんどのノートPCで利用可能なPCカードによるイーサネット
インターフェイスの実装について解説しよう。
PCカードには2種類ある
市販されているPCカードには、一般に16bit PCカード(*1)と呼ばれるものと、CardBusという2種類の規格がある。16bit
PCカードとは、古くからノートPCの汎用的なハードウェア増設の手段として実装されてきた拡張インターフェイスで、ホットプラグが行えるのが大きな特徴だ。実効転送レートは1Mbytes/s〜2Mbytes/s程度なので、10BASE-T(最大1.1Mbytes/s程度)には十分だが、100BASE-TX(最大11Mbytes/s程度)の性能を活かすことはできない。一方のCardBusは、16bit
PCカードの後継として規格化された拡張インターフェイスである。CardBusにはPCIの仕様を採り入れてパフォーマンスの向上を図っており、100BASE-TXの転送レートも余裕でカバーできる。
*1 正しくない呼び方だが、16bit
PCカードのことをPCMCIA対応カードなどと呼ぶこともある。PCMCIAは、PCカードの前身となった規格を策定していた団体の1つで、一時期はこの呼称をインターフェイスの識別に利用していた。しかしこれは、現在のPCカード自体を指す用語ではない。 |
16bit PCカードとCardBusの関係は、ISAスロットとPCIスロットの関係とよく似ている。ただ1つ異なるのは、CardBusは16bit
PCカードの上位互換性を実現しており、CardBusのPCカード スロットには16bit PCカードも差して利用できる点だ。逆に16bit PCカードのスロットではCardBusカードは動かない。
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2種類のPCカード |
左が16bit PCカードで、右がCardBusカード。CardBusカードのコネクタには、グラウンド接続(接地)を強化するための突起(ディンプル)が並んでいるのが分かる。 |
CardBusが最適とは限らない
性能面では16bit PCカードよりCardBusのほうが、圧倒的に優れている。しかしCardBusカードを選びたくても、選べない場合もある。1998年以降に販売されたノートPCは、ほとんどCardBusに対応しているが、逆に言えば、それ以前のノートPCでは、16bit
PCカードしか利用できない可能性があるわけだ。また、初期のCardBus対応ノートPCでは、2つのPCカード スロットのうち1つしかCardBusに対応していなかったり、16bit
PCカードとCardBusカードの混在が許されなかったり、PCカード スロットのモードをBIOSで16bit PCカードまたはCardBusに切り替えなければならなかったり、と制限が多かった。OSについても、Windows
NTのように、標準ではCardBusに対応しないなど問題があった。
CardBusにまつわる問題は、歴史がまだ浅いことにも起因している。デスクトップPCで一般的なPCIスロットは、1992年に最初の規格が公開され、1995年ごろからPCI対応製品が普及している。すでに5年が経過し、対応製品に互換性の問題が発生するようなことがほとんどなくなっている。これに対し、CardBusは1995年に規格が公開され、1997年から対応製品の販売が始まった比較的新しい規格であるため、少なくなってきたとはいえ、未だに互換性の問題が生じることがある。
CardBusカードを購入する前には、まずPCとソフトウェアの対応をよく確認しておくべきだ。
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