前出[ワイヤレス ネットワーク接続のプロパティ]ダイアログの[優先するネットワーク]の項には、[追加]というボタンがある。通常、Windows XPが自動的に利用可能な無線LANを検索してくれるにもかかわらず、手作業で設定を追加する機能が用意されているのには、それなりの理由がある。
まず、理由の1つに、検索機能に応答しないアクセス・ポイントがあるという事情が挙げられる。
最近、無線LANのセキュリティに関する注目が高まっていることを受けて、アクセス・ポイントによっては、クライアントからの検索に応答しない機能を持っている製品がある。こうすることで秘匿性を高めているわけだが、その場合はユーザーが手作業でSSIDを指定しなければならない。このような場合には、[追加]ボタンをクリックして、手作業で設定を登録する必要があるというわけだ。
また、アドホック・モードで無線LANを運用する場合にも、手作業で設定を登録する必要が生じる場合がある。
通常は設定する必要はないが、無線LANデバイスの詳細設定についても触れておこう。
[ワイヤレス ネットワーク接続のプロパティ]ダイアログの[全般]タブに移動すると、有線LANの場合と同様の設定画面が表示される。ここで、アダプタの機種名表示の下にある[構成]ボタンをクリックすると、アダプタのプロパティ・ダイアログが表示される。ダイアログが表示されたら、[詳細設定]タブをクリックする。
画面から分かるとおり、ここでは、無線LANデバイスに関する次のような項目を設定できる。
例えばここでは、チャンネル番号の指定ができるが、実際には、利用可能なネットワークの検索を行うと、すべてのチャンネルが接続対象になるので、ユーザーが接続先ネットワークのチャンネル番号を明示的に指定する必要はない。また、通信速度についても、電波の状態に応じて自動的に調整されるため、ここで指定する必然性はない。従って実際には、これらの属性をユーザーが指定することはほとんどないだろう。
[コントロール・パネル]−[ネットワークとインターネット接続]−[ネットワークとダイヤルアップ接続]に表示されている[ワイヤレス ネットワーク接続]のアイコンをダブルクリックすると、以下のようなステータス画面が表示される(接続アイコンを右クリックし、表示されるショートカット・メニューの[状態]を実行してもよい。また、通知領域にアイコンが表示されている場合は、そのアイコンをダブルクリックしてもよい)。
ここには、無線LANの通信状況や接続開始後の経過時間、送受信したパケットの数などの情報が表示されている。また、ここで[プロパティ]ボタンをクリックすると、[ワイヤレス ネットワーク接続]のプロパティが表示されるので、ここから設定作業に移行することもできる。
[無効]ボタンをクリックすると、無線LANアダプタがデバイス・マネージャ上で無効化され、無線LANの機能が停止される。無効化されるとボタンは[有効]に変化するので、再度クリックすれば無線LANを有効化できる。
なお、接続可能な無線LANが存在しないか、接続中の無線LANがない状態で[ワイヤレス ネットワーク接続]のアイコンをダブルクリックすると、上記の画面の代わりに、接続先のネットワークを選択する画面が表示される。
同じ場所に複数のアクセス・ポイントが設置されて複数の無線LANが構築されているか、インフラストラクチャ・モードの無線LANとアドホック・モードの無線LANが同居しているときには、その両者を切り替える必要が生じる場合もある。
利用可能な複数の無線LANの中から接続先を切り替えるには、[ネットワークとダイヤルアップ接続]に表示されている[ワイヤレス ネットワーク接続]のアイコンを右クリックし、表示されるショートカット・メニューの[利用できるワイヤレス ネットワークの表示]を実行する。
メニューを選択すると、次のダイアログが表示される。
これは、最初に無線LANアダプタを組み込んだ際に、接続先を指定するために表示させたものと同一の画面だ。使い方にも違いはない。
ただし上の例では、切り替える先のネットワークでWEP暗号化を設定しているため、キー生成用の文字列を入力しなければならない。文字列を指定しないか、あるいは間違った文字列を指定すると、通信不可能になる。
なお一部の製品では、互換性の関係で、WEP暗号化のキーを16進文字列で指定しなければならない場合がある。その場合は、先に紹介した[ワイヤレス ネットワークのプロパティ]ダイアログにある[ワイヤレス ネットワーク]タブで、接続先無線LANのプロパティ画面を開き、キー生成用の16進文字列を直接指定する作業が必要になる。このWEP暗号化については、別の機会に詳しく取り上げる。
最後に、筆者が実際に無線LANを運用してみて経験した付随的なノウハウを、いくつか紹介しよう。
■外出時は無線LANを無効に
前述のように、Windows XPでは無線LANの無効化を指定できる。実際には、これはデバイス・マネージャで無線LANのアダプタを無効化する操作になる。
ノートPCを持って外出する際、無線LAN機能を有効にした状態で無線LANのない場所に移動すると、無線LANを探そうとしているのか、Windowsのレスポンスが断続的に悪化する場合がある。また、無線LANを有効にしたままで使い続けると、無駄に電波を発信するため、バッテリ消費の面でも不利だ。
そのため、出先で無線LANを使用しない場合は、無線LANを無効化しておくとよいだろう。ただし、「ホットスポット」サービスを利用する場合は、もちろん無効化してはいけない。
■Windows XPでは自動的に省電力が機能する
Windows XPで無線LANの速度表示を見ていると、アイドル時には通信速度が2Mbits/s程度に低下していることがある。もちろん、その状態で無線LANを使用して通信を行うと、即座にフルスピードの11Mbits/sに復帰するので、遅い速度のままで固定してしまうというわけではない。
これは、アイドル時は省電力のために電波放射を抑制しているものと推測される。先に示した[構成]ダイアログで、デバイスのプロパティとして[Card Power Management]の設定も可能だが、これを設定すると通信速度が極めて遅くなることがあるので、ユーザーは余計な介入をせず、Windows XP自身の省エネルギー機能に任せる方がよいようだ。
■無線LANはDHCPで使う
筆者の自宅では、多くのマシンが固定IPアドレスを割り当てた状態で運用されている。自宅内だけで使用する分にはそれでも問題ないし、アドレス管理も楽なのだが、ノートPCを持って外出し、ホットスポットなどで利用する場合は事情が違ってくる。
たいていのホットスポット・サービスでは、IPアドレスをDHCPで割り当てているので、そのたびに設定を変更するのは面倒だ。Windows XPではTCP/IPパラメータの変更時に再起動は要求されないが、それでも面倒なことに変わりはない。そうした事情から、自宅でも、無線LANのクライアントはDHCPでIPアドレスを割り当てるようにした経緯がある。
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