このページでは、携帯電話が生まれた時代について解説をします。昔の携帯電話はなんと重量が7?もあったようです。
携帯電話の技術と仕組みを知る際に重要になってくるのが、「世代」です。最近よく「3G携帯」という単語を聞きますが、「3G」の意味はご存じですか? 3Gは「3rd Generation」の略なんです。だから「3G携帯」は「第3世代携帯」となります。
「世代」は携帯電話の接続技術が大きく変化するたびに変わっていきます。現在が第3世代まで実用化されていると、第1世代があるわけで、まずはそこから見ていきましょう。
第1世代携帯電話(1G=1st Generation)の通信規格は代表的なものが2つあります。共通していえることはすべてアナログ方式で、周波数の帯域をいくつかに区切って、チャンネルを割り当て複数ユーザーの通信を可能とする「FDMA方式」を採用している点です。アナログ携帯電話は音声データをそのまま電波に乗せており、1つの帯域に1通話を割り当てるため音声の質は高いですが、周波数は効率的に利用できず、また盗聴される危険性もありました。実際に広帯域受信機(とても高性能なラジオみたいなものです)を使えば、アナログ方式の携帯電話の通話ぐらいは簡単に聞けたようです。
日本の携帯電話の歴史は、1979年に始まった自動車電話のサービスから始まります。このサービスは、電話機本体は日本電信電話(電電公社現:NTT)からのレンタルで、保証金20万円、月額使用料金3万円、通話料金は6秒10円と、とても高いものでした。また通信端末も7kgもあり、車のトランクなどに搭載していたようです。その後、1985年に「ショルダーホン100型」という端末を使ったサービスも開始されます。文字通り、肩からぶら下げて通話をするのです。通信機器なのですが、重さはなんと3kgほどありました。見た目もいまの携帯とは違い、まるで軍用の無線です。
そして、電電公社から1987年4月に手軽に持ち歩きができる携帯電話のサービスが始まりました。携帯電話は「TZ-802型(参照:NTTドコモ歴史展示スクエア - 携帯電話)」といわれるもので、体積500ml、重量900gというサイズです。いまから考えると巨大ですが、「ショルダーホン100型」に比べるとだいぶコンパクトになっています。
当時利用されていた通信規格は「FDMA方式」(周波数分割多元接続)というものです。これは、1つの帯域に音声のデータ周波数をずらして、電波に乗せるといったものです。
第1世代ではFDMAを使って2つの通信規格が生まれています。1つは、同時通話に強い「NTT方式(HICAP)」というものです。1988年12月に電電公社だけでなく、日本移動通信(現:KDDI(au))がNTT方式を使って、携帯電話ビジネスに参入しました。
もう1つは、モトローラ社がイギリス向けに開発をした通信規格「TACS方式」です。NTT方式に比べて、同時に通話ができる人数が劣っています。がこの方式を採用している地域が多い、ローミングに強いといった点や、日米間の政治的な理由もあり、DDIセルラーグループ(現:KDDI(au))が、TACS方式を利用したサービスを開始しました。
第1世代の規格は現在日本ではもう使われておらず、NTT方式は1999年3月、TACS方式は2000年9月にサービスが停止されています。
方式名 | 利用国 |
---|---|
NTT方式 | 日本 |
TACS方式 | 日本、ヨーロッパ |
AMPS、NAMPS方式 | アメリカ |
NMT方式 | ヨーロッパ |
表1:第1世代携帯電話(1G) アナログ方式 |
いま見てみると、携帯電話のサイズが信じられないほど大きいですね。しかし、当時筆者の周りに「TZ-802型」のユーザーがおり、使わせてもらったのですが「電話線がないのに通話ができる!」という感動の方が大きかったです。では、次ページではデジタル方式となった携帯電話について解説します。
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