Windowsの「robocopy」コマンドでフォルダをバックアップ/同期させるTech TIPS

Windowsでファイルをバックアップするには、2つのフォルダの内容を同期させるrobocopyコマンドが便利だ。robocopyではフォルダの同期機能をはじめ、さまざまなオプションを指定してのコピーができる。2つのフォルダの内容を完全に同期させるには/mirオプションを利用する。

» 2021年03月03日 05時00分 公開

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

「Tech TIPS」のインデックス

連載目次

robocopyコマンドの動作

対象OS:Windows 8.1/Windows 10、Windows Server 2012/Windows Server 2012 R2/Windows Server 2016


robocopyコマンドとは

 2つのフォルダの内容を同期させ、ファイルやフォルダの内容を同じ状態に保つ機能は、ファイルサーバのバックアップや個人的なデータのバックアップ、リモートオフィス同士でのデータの同期など、システム管理のさまざまな場面で利用される。

 このような用途に利用できるコマンドとして、Windows OSにはcopyやxcopyコマンドが標準装備されている。

 フォルダの同期に利用できる標準装備のツールとしては、この他にも「robocopy.exe」というコマンドラインツールがある。

 robocopyは、もともとはリモートのファイルサーバ同士でファイルやフォルダ、ユーザープロファイルデータなどを同期させるために作られたコマンドである。その名前は「Robust File Copy」の略であり、堅固(robust)で確実なファイルコピーという意味を持つ。具体的な機能の例を以下に記す。

  • エラー時の再試行回数の制限や待ち時間の指定
  • ネットワーク切断時のコピーの中断と再開
  • 属性やセキュリティ設定のコピー
  • ファイルサイズや変更時刻などを限定してのコピー
  • コピー先にある余分なファイルの削除
  • 256文字を超える長いパス名の処理
  • 動作ログの記録
  • 作業内容やオプション設定などの保存と再実行(ジョブ機能)

 このようにrobocopyは多くの機能を備えている。本Tech TIPSではrobocopyの基本的な使い方として、2つのフォルダを同期させる機能と、ログや設定を保存する機能について解説する。それ以外の機能については次の記事を参照していただきたい。

robocopyのヘルプを参照するには

 robocopyコマンドの使い方やオプションは、コマンドプロンプトで「robocopy /?」を実行すると表示される。

robocopyのヘルプ robocopyのヘルプ

robocopyの基本的な使い方

 robocopyでは、copyやxcopyコマンドのように、引数としてコピー元とコピー先、オプションなどを指定する。

robocopyコマンドの基本的な書式 robocopyコマンドの基本的な書式
コピー元フォルダの内容を、指定したフォルダへコピーする。何もオプションを付けないと、コピー元フォルダにある「ファイルのみ」がコピーされる。フォルダは対象外。

 コピー元もコピー先もフォルダであり、その間で、その中にあるファイルがコピーされる(コピーするファイルを特定する方法は後述)。コピー先として指定されているフォルダが存在しない場合は、フォルダが新規作成され、その中へコピーされる。またコピー元/コピー先ともにワイルドカードは指定できず、明確に特定のフォルダ名を指定する必要がある。

 コピー元やコピー先には、「c:\src_folder」といったローカルのフォルダの他、例えば「\\server1\drive_c\dest_folder」のようにUNCによるリモートのサーバ上の共有フォルダも指定できる。

 ただしデフォルトではサブフォルダはコピーされず、さらに次の種類のファイルだけが上書きでコピーされる。

  • コピー先に存在しないファイル
  • 名前が同じでも、更新日付が異なるファイル(新しいファイルだけではなく、コピー元の方が古くてもコピー対象となる)
  • 名前と日付が同じでも、サイズが異なるファイル
robocopyでコピーされるファイルの種類 robocopyでコピーされるファイルの種類
デフォルトでは、このような条件に一致するファイルがコピーされる。オプションを指定すれば、新しいファイルだけをコピーさせたり、同じファイルでも強制上書き再コピーさせたりできる。

 どのような種類のファイルをコピーするかは、ファイルの「クラス」に基づいて決まる。クラスとは例えば、日付が新しいか古いか、サイズが異なるか、属性が異なるか、などの状態のことを指す。どのクラスに該当するファイルをコピーするかはオプションで指定できる。詳細なオプションについては、Tech TIPS「Windowsのrobocopyコマンドでコピーするファイルの種類を選択/変更する」を参照していただきたい。

 実際に利用する例を次に示す。

ファイルのコピー ファイルのコピー
オプションなしでrobocopyを実行すると、コピー元のフォルダにあるファイルが、コピー先フォルダへコピーされる。フォルダはコピーされない。

 上記画面の「コピーの結果」のうち、「コピー済み」列が実際にコピーした数、「スキップ」列がコピーされなかった数である。

特定の拡張子やワイルドカード指定に一致するファイルのみをコピーする

 robocopyをオプション指定なしで実行すると、デフォルトでは「*.*」、つまり全てのファイルがコピーの対象となる。オプションとしてファイルのパターンを指定すると、そのパターンに合うファイルのみがコピーの対象となる。例えばJPG/JPEG画像ファイルだけをコピーするには、次のようにワイルドカード指定を追加する(パターンは複数指定可能)。

※2つのフォルダ間でJPG/JPEGファイルだけをコピーする例

robocopy c:\src_folder d:\dest_folder *.jpg *.jpeg



サブフォルダまで含めて再帰的にコピーする

 robocopyに何もオプションを付けないと、指定されたフォルダ中にあるファイルだけがコピーの対象となる。これをサブフォルダも含めて全部コピー(上書き更新)するには「/s」オプションを付ける。ただし/sだけでは、空のフォルダはコピーされない。空フォルダも含めてサブフォルダをコピーするには「/e」(/s /eでも同じ)を付けて実行する。これらのオプション名はxcopyコマンドと同じである。

サブフォルダも含めてコピーするためのオプション サブフォルダも含めてコピーするためのオプション
/sを付けるとサブフォルダもコピーされるものの、空のフォルダは除外される。空のフォルダもコピーしたい場合は、/sの代わりに/eを付ける(/s /eのように両方付けてもよい)。

 実行すると次のようになる。

サブフォルダのコピー サブフォルダのコピー
/s/eオプションを付けると、サブフォルダもコピー対象となる。

2つのフォルダを完全に同期させて、ミラーコピーを作る

 /sオプションを使うと、コピー元のファイルやサブフォルダがコピー先へ上書き更新される。だが、この場合、もしコピー先に余分なファイル(コピー元にはないファイル)があっても、そのファイルは何もされずに(削除されずに)、そのまま残ることになる。

 この挙動を変更して、2つのフォルダの内容をサブフォルダも含めて完全に同期させる(同じ状態にする)には、「/mir」(ミラー)オプションを指定する。

Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。