連載『Spring Frameworkで理解するDI』で、DI(Dependency Injection、依存性の注入)という概念を説明するために、Spring Frameworkについて説明しました。
編集部注:Spring Framework、DIについて詳しく知りたい読者は上記連載をご参照ください。
このSpring Frameworkが公開されてから数年がたち、メジャーバージョンアップがされたSpring 2.0もリリースされています。日本でも、近ごろではSpringを利用した開発現場をよく見掛けるようになりました。Spring Frameworkは乱立が見られたJava EE関連のフレームワークの中では、着実に普及してきているといえます。
この記事では、Spring 2.0の新機能を紹介するとともに、EclipseプラグインであるSpring IDEを使って、「Spring 2.0時代の開発スタイル」を紹介します。初めに、Spring 2.0に対応したSpring IDE 2.0について解説し、Spring IDE 2.0を使ってSpring 2.0を説明してゆくことにします。
なお記事中では、Eclipse、SpringFrameworkおよびSpring IDEを利用します。それぞれの利用バーションは以下のとおりです。
・Spring Framework 2.0.5
・Spring IDE 2.0.0
・Eclipse 3.3.0(Spring IDE 2.0はEclipse 3.2以上が必要)
Spring IDEは、Spring Frameworkのための統合開発環境を提供するEclipseプラグインです。近ごろ(2007年6月27日)、最新バージョンであるSpring IDE 2.0がリリースされました。Spring IDE 2.0はSpring 2.0に対応し、そのほかにもさまざまな新機能を提供しています。そして、Spring 2.0の新機能である「Spring Web Flow」「Spring AOP」や正式リリースが待望されている「Spring JavaConfig」といった機能にも対応しています。
また、Spring IDE 2.0は、2007年6月29日にリリースされたばかりのEclipse 3.3 (別名:Eclipse Europa)で利用できます。Eclipse EuropaはEclipse 3.2に改良が加えられた強力なIDEです。今後、Spring Frameworkを使った開発では、「Eclipse Europa+Spring IDE」という開発スタイルが標準となるでしょう。
前述のとおりSpring IDE 2.0を使うには、Eclipse 3.2以上が必要です。その中でもEclipse Europa(バージョン3.3)以降であれば、Spring IDE 2.0の機能を使うのにほかのコンポーネントを追加インストールする必要はありませんが、バージョン3.2のEclipseを使っている場合は、以下のようなインストール要件に注意が必要です。
BeansGraph機能を利用するために、EclipseのGEF(Graphical Editing Framework)が必要です。さらに「BeansXmlEditor」を使うためには、WTP(Eclipse Web Tools Platform Project)に含まれるWST(Web Standard Tools)プロジェクトをインストールする必要があります。GEFは「Eclipse.org update site」より、「GEF SDK 3.0(Graphical Editing Framework)」を選択することでインストール可能です。
こういったことから特別な理由がない限りSpring IDEを利用する場合はEclipse Europaを利用する方がよいでしょう。
Spring IDEをインストールするには、Eclipseのアップデートマネージャを利用してアップデートサイトにアクセスします。
1.Eclipseを開き、[ヘルプ(H)]→[ソフトウェア更新(S)]→[検索およびインストール(F)]をクリック
2.[更新]ダイアログで[インストールする新規フィーチャーを検索(S)]のラジオボタンを選択し[次へ]をクリック
3.[新規リモート・サイト(T)]をクリックして、名前の項目には“Spring IDE”(任意の名称)と入力し、URLの項目にSpring IDEのアップデートサイトである「http://Spring IDE.org/updatesite/」を入力して、[OK]ボタンをクリック
4.次に開く画面[更新アクセス先サイト](図1)で[検索に含めるサイト(S)]というリストに、先ほど付けた名前のエントリが、チェック状態で追加される。そのまま[終了]ボタンを押す
5.[検索結果ダイアログ]でインストールするフィーチャー(Spring IDE)を選択して[次へ(N)]をクリック
6.次に開く[フィーチャー・ライセンス]ダイアログで、[使用条件の条項に同意します(A)]をチェックして、[次へ(N)]をクリック
7.インストールの確認ダイアログが表示されるので、[終了]ボタンを押す
8.上記でインストールした機能はデジタル署名されていないものが含まれており、インストール中に[フィーチャーの検査]警告ダイアログ(図4)が2回出るが、ダイアログの[インストール(I)]ボタンをクリックしてインストールを続行する
9.ダウンロードとインストールが成功したら、再起動を促すダイアログで「はい」をクリック
10.再起動後、[ヘルプ]から[Eclipseプラットフォームについて(A)]を選択し、Spring IDEが有効になっているか確認しておこう
Spring IDEのオプションとしてAJDT(AspectJ Development Tools)をインストールすることで、Spring IDE 2.0のAOP(アスペクト指向)サポート機能(AJDTの相互参照ビュー(AJDT's Cross Reference view)およびAJDTビジュアライザー(AJDT's Visualiser))を活用できます。
編集部注:AOP(アスペクト指向))、AspectJについて詳しく知りたい読者は@IT情報マネジメント アーキテクチャの記事「 アスペクト指向の基礎とさまざまな実装」をご参照ください。
このAJDTをインストールしなくてもAOPサポートの機能のうちBeansCrossReferencesViewおよびSpring IDEの内部AOPウィーバー、および参照モデルは利用可能です。
AJDTおよびすべての必要なパッケージはEclipseのアップデートサイトからインストールできます。
続いて次ページでは、Spring IDEでのプロジェクトの作成方法を見てみましょう。
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