品質とは要求を満たすことメンバーに贈るプロマネ基礎講座(6)(3/3 ページ)

» 2008年04月30日 00時00分 公開
[田中亮グローバル ナレッジ ネットワーク]
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演習問題

問題1

 ITプロジェクトにおいて、作成したプログラムのテストを行うためにテスト仕様書を作成したいと思います。作成方針を確認するに当たり、担当者は何を参考にすればよいでしょうか?

a. プロジェクト憲章

b. プロジェクト・スコープ記述書

c. 品質マネジメント計画書

d. 品質監査


正解

 c


解説

 ITプロジェクトにおける単体テストや結合テストなどは、PMBOKでいう検査に該当します(品質管理プロセスの技法)。プロジェクトマネジメントチームは、品質マネジメントの活動に先立ち、どのように品質マネジメント活動を進めるかの指針を品質マネジメント計画書にまとめています。従って、どのようにテストを進めていけばよいかの方針も品質マネジメント計画書に含まれることになります。

演習問題

問題2

 次のQC7つ道具の名前と使用用途の組み合わせで誤っているものはどれでしょうか?

a. パレート図:ある特定の不具合に対し、どのような原因が関与しているかを整理する

b. 散布図:プログラムのコードの長さとバグの発生数の相関関係の有無を分析する

c. 層別:プログラミングの初心者と熟練者に分類して、プログラムに発生するバグの件数の分布にどのような傾向があるかを分析する

d. ヒストグラム:プログラミングの初心者と熟練者に分類して、プログラムに発生するバグの件数の分布にどのような傾向があるかを分析する


正解

 a


解説

 選択肢aは、特性要因図の説明です。パレート図では、ある項目を多い順に並べ、その累計値を折れ線グラフで表現します。その結果、上位のわずかな項目が全体の大半を占めているような状況を表現することができます。

 そのほかの選択肢は正しい説明です。選択肢c選択肢dは同じ説明文になっていますが、誤りではありません。「プログラミングの初心者と熟練者に分類」して分析することを層別といいます。そして分析に当たり、「プログラムに発生するバグの件数の分布」はヒストグラム(棒グラフ)などで表現します。つまり、層別は単独で使用するものではなく、ヒストグラムやパレート図などと組み合わせて使用するのが一般的です(図4)。

図4 1プログラムあたりのバグの発生数の分布(層別を使用した場合) 図4 1プログラムあたりのバグの発生数の分布(層別を使用した場合)

 以上、品質マネジメントプロセスについて見てきました。成果物のテストを繰り返し行って品質を上げるのではなく、成果物の生成過程から考え、品質の劣化や低下を未然に防ぐことが大切です。品質計画をはじめとする3つのプロセス(品質計画、品質保証、品質管理)をしっかり身に付けておきましょう。

筆者プロフィール

田中亮

グローバル ナレッジ ネットワーク

プロダクトマネージャ兼講師。保有資格は、米国PMI認定PMP、OCP:ORACLE MASTER GOLD。SEとして生産管理システムの開発を経て、グローバルナレッジへ転職。Oracle認定研修やデータベース関連コースの講師を担当後、PMPを取得。現在は、PM/SWEグループ プロダクトマネージャを担当する傍ら、講師としてプロジェクトマネージメントの研修やOracleの研修も実施している。いま関心のあることは、2人の息子の子育てと、ウイスキーを楽しむこと。



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