Webアプリ開発の常識、バリデーションとテンプレートWebアプリの常識をJSPとStrutsで身につける(7)(3/3 ページ)

» 2009年03月02日 00時00分 公開
[中粼直樹株式会社メセナ・ネットコム]
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テンプレートエンジンを作って、仕組みを理解しよう

 では、実際にテンプレートエンジンの仕組みを作成してみましょう。

Strutsのタグライブラリ「Tiles」を使う

 今回は、Strutsで提供されているタグライブラリ「Tiles」を使いたいと思います。「Tiles」とは、「Tile」と呼ばれる、再利用可能な部品を組み合わせたようなHTMLの作成を支援する機能です。

 例えば、図3のようなレイアウトで構成されていた場合に、「コンテンツ」の部分だけ変化するようなWebページを考えます。TilesはこのようなWebページの作成を支援するものです。「ヘッダー部分」「メニュー画面」「コンテンツ」「フッター部分」に当てはまる画面(この連載では、JSP)がTileということになります。

図3 サンプルのレイアウト 図3 サンプルのレイアウト

 では、上記と同じような画面を「Tile」タグを使ってアプリケーションを作成してみましょう。これまでの連載と同様、「PKG\Hello\pages」配下に下記のJSPファイルを作成してください。

Main.jsp
<%@ page contentType="text/html; charset=Shift_JIS"
  pageEncoding="Shift_JIS" %>
<%@ taglib uri="http://struts.apache.org/tags-tiles"prefix="tiles"%>
<body bgcolor="#ffffff" text="#000000" link="#023264"
  alink="#023264" vlink="#023264">
  <h1>Tilesサンプル</h1>
  <table border="1" width="100%" cellspacing="5">
    <tr>
      <td colspan="2"><tiles:insert page="Headar.jsp"/></td>
    </tr>
    <tr>
      <td width="140" height="100" valign="top">
        <tiles:insert page="Menu.jsp"/></td>
      <td valign="top" align="left">
        <tiles:insert page="Body.jsp"/></td>
    </tr>
    <tr>
      <td colspan="2">
        <tiles:insert page="Footer.jsp"/></td>
    </tr>
  </table>
</body>

Heder.jsp
<%@ page contentType="text/html; charset=Shift_JIS"
  pageEncoding="Shift_JIS" %>
  <p>ヘッダー部分</p>

Menu.jsp
<%@ page contentType="text/html; charset=Shift_JIS"
  pageEncoding="Shift_JIS" %>
  <p>メニュー部分</p>

Body.jsp
<%@ page contentType="text/html; charset=Shift_JIS"
  pageEncoding="Shift_JIS" %>
  <p>コンテンツ</p>

Footer.jsp
<%@ page contentType="text/html; charset=Shift_JIS"
  pageEncoding="Shift_JIS" %>
  <p>フッター部分</p>

Tiles.jsp
<%@ page contentType="text/html; charset=Shift-JIS" %>
<%@ taglib uri="http://struts.apache.org/tags-html" prefix="html" %>
<%@ taglib uri="http://struts.apache.org/tags-tiles"prefix="tiles"%>
<html:html>
  <head>
    <title>Struts-Tiles</title>
  </head>
  <tiles:insert template="/pages/Main.jsp">
    <tiles:put name="headar" value="Header.jsp" />
    <tiles:put name="menu" value="Menu.jsp" />
    <tiles:put name="body" value="Body.jsp" />
    <tiles:put name="footer" value="Footer.jsp" />
  </tiles:insert>
</html:html>

 これで、アプリケーションの作成は完了です。

「Tiles」のサンプルを動かしてみよう

 連載第2回と同様に、Eclipseを起動します。次に、[プロジェクト・エクスプローラー]の「Hello」を選択して右クリックをして、[リフレッシュ]を選択します。Eclipseで[プロジェクト]の[クリーン]を選択して、Helloプロジェクトのコンパイルが完了したら、Eclipse上から「Tomcat起動」アイコン(猫マーク)を押して、Tomcatを起動してください。

 正常に起動したことを確認したら、「http://localhost:8080/hello/pages/Tiles.jsp」にアクセスしてください。すると、下記のような画面が表示されます。

図4 サンプルの実行結果 図4 サンプルの実行結果

 このように、Tilesタグを使うことでさまざまな部品(JSP)を組み合わせた画面を作成できます。「コンテンツ」部分である画面のみ変更したい場合、「Body.jsp」を違うJSPにするだけで「ヘッダー部分」「メニュー画面」「フッター部分」に関しては再利用するだけでいいので、製造効率やメンテナンス作業の向上につながるのです。

<tiles:insert>タグ

 <tiles:insert>タグは画面部品のJSPを、JSPに取り込む場合に使用します。今回は「Main.jsp」に「Heder.jsp」「Menu.jsp」「Body.jsp」「Footer.jsp」を取り込んでいます。

<tiles:put>タグ

 <tiles:put>タグはテンプレートファイルを読み込んで、テンプレートファイルの各場所に対してはめ込むファイルを指定します。今回表示させた「Tiles.jsp」は、「Main.jsp」をテンプレートファイルとして「Heder.jsp」「Menu.jsp」「Body.jsp」「Footer.jsp」を組み込んでいます。

テンプレートエンジンはいろいろある

 テンプレートエンジンとしては、JavaではフレームワークVelocityが有名だがほかの言語でも以下のようなものがあります。

表2 主なテンプレートエンジンの種類 
テンプレートエンジン 説明
Velocity Apache Software FoundationがJavaで開発しているオープンソースのテンプレートエンジン。詳細は下記参照
Ruby on Rails Ruby用Webアプリケーションフレームワーク。テンプレートエンジンとしての機能も持つ。詳細は下記参照
Smarty PHPで作成されたテンプレートエンジン。詳細は下記参照
StringTemplate.NET .NET用のテンプレートエンジン。詳細は下記参照
Template Toolkit Perlで記述されたテンプレートエンジン。フリーソフトウェアで、PDFやLaTeXなどのドキュメントの作成に使用することも可能
Cheetah Python用のテンプレートエンジン

 ほかにも、テンプレートエンジンに関しては、以下の記事を参考にしてください。

次回は「データベース操作の常識」

 今回は、Webアプリケーションに欠かせないバリデーションとテンプレートエンジンについて説明しましたが、いかがしたでしょうか。今回の連載まででMVCモデルの“View”の部分の常識が大体理解できたかと思います。

 次回は、「データベース操作の常識」と題して、業務で使うWebアプリケーションに欠かせないデータベースをJSPやStrutsから操作する方法について解説します。データベース環境を構築しながら、Javaからデータベースと接続するためのJDBCとはなにか? いままでの連載でたびたび登場してきたBeanとはなにか? を解説します。

 MVCモデルの“Model”の部分に踏み込み、簡単なデータベース操作のWebアプリケーションのサンプルも作成しますので、どうぞお楽しみに!

 今回のサンプルは、こちらからダウンロードできます。

プロフィール

中﨑 直樹(なかざき なおき)
株式会社メセナ・ネットコム所属

自分の得意な技術や知識を身に付けることで、信頼されるSE(真の技術者)となれるよう日々精進している。現在は、Strutsを使った予約システムの開発を担当



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