連載
» 2009年06月22日 00時00分 公開

オフィスに不満をいうだけの立場から抜け出そう特集:ITエンジニアを変えるオフィス(1)(2/2 ページ)

[佐藤浩也,リンクプレイス]
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見逃せないオフィスの影響力

 ワークプレイスに求められる機能として、もう1つ注目しているのが「ブランディングメディア」というとらえ方である。

 企業はさまざまなメディアを通じて自社の考え方をステークホルダーに発信しているが、ワークプレイス、特にオフィスもそのメディアとしての機能を有している。オフィスの立地、入居するビル、来客エリアのデザイン、オフィス全体の雰囲気……。どれもその企業のスタイルを表し、経営の考え方を発信するメディアとなっている。

 これらは、対顧客(マーケティングコミュニケーション)への影響にとどまらず、対社員(インターナルコミュニケーション)におけるモチベーションやリテンションの課題に寄与し、対応募者(リクルーティングコミュニケーション)における採用力をも左右する効果がある。オフィスは、企業というとらえどころのない存在をビジュアルでとらえることができ、肌で感じられる数少ないエレメントである。そのため、特に新卒採用における影響力は極めて大きい。

オフィスの課題は組織の課題

 ここまで、オフィスの付加機能として、「コミュニケーションプレイス」と「ブランディングメディア」という2つのとらえ方を紹介した。では、どうすれば、より良いオフィスを手に入れられるのだろうか?

 十数年この分野に携わって強く感じていることは、「オフィスの課題は組織の課題」ということである。上述のように、オフィスは社員のモチベーションやリテンション、リクルーティングに影響を及ぼす。組織におけるヒエラルキーやコミュニケーションといった課題がオフィスを介して表面化することも少なくない。

 オフィスの課題も組織の課題も、さまざまな歴史と背景を引きずった中にあり、構成員である社員のそれぞれの価値観が交差する極めて難しい課題である。全員が全員、満足しているという状態はあり得ないし、良いと思われる施策を青天井で実行できるわけでもない。同じ状況が、ある組織においては許容され、ある組織においては大問題となる。環境が変化すれば、組織も変化し、オフィスも変化を求められる。常に課題は存在し、その優先順位を見極めながら、でき得る限りの施策を実行し続けていくしかない。オフィスの課題も組織の課題も、永遠に続くものである。より良い方向へ変化する対応力があるかないかが、その価値を左右するといっても過言ではないだろう。

 経営者という生き物は単純なもので、投資を上回る効果が得られるものには前向きな判断をする。オフィスの施策に関しても、効果が投資を上回ると判断すれば、彼らは承認する。ある意味、極めてシンプルである。

 このテーマのキーワードは、社員1人ひとりの「当事者意識」である。オフィスに対して、組織に対して、不平不満や要望を発信するだけの立場から抜け出そう。「当事者意識」を持って「経営者視点」というフィルタを通したうえで、“こうしたら良い”というアイデアを積極的に発信することが何より大切である。

 こうした発信が、より良いオフィス、より良いワークプレイスを生み出すと同時に、より強い組織づくりにつながるのである。


 特集「ITエンジニアを変えるオフィス」は、本日から6月26日まで、毎日更新でお届けする。ラインアップは次のとおり。

 本特集が、オフィスで働くあなたにとって価値のある内容となれば幸いだ。

著者紹介

佐藤浩也(さとうひろや)

リンクプレイス 代表取締役社長。

リンクアンドモチベーションのグループ会社として、様々な企業のプレイス戦略のコンサルティングを担当。

1967年 静岡県生まれ。1989年 東京工業大学工学部建築学科卒業。リクルート、日本オラクルなどを経て2000年に創業間もないリンクアンドモチベーションに参画、取締役就任。2005年 分社独立したリンクプレイスの代表に就任、現職。



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