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» 2010年01月26日 00時00分 公開

ITエンジニアに送る「はじめての時間管理術」特集:生き残れるITエンジニアの「仕事術」(2)(2/2 ページ)

[水口和彦,ビズアーク]
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自分の仕事量をつかむ

 タスクの実行日を決め、タスクを処理する時間を確保するのは、(その実行日の)「仕事量をつかむこと」と表裏一体だ。時間が確保できるということは、仕事量として適正な範囲にあるということ。自分の仕事量がつかめているということだ。

 「仕事量がつかめている」と、「このタスクを処理できる」という実感が持てる。この安心感はToDoリストでは得られない。ToDoリストでタスクを管理していると「本当にこのタスク、全部できるのかな……?」という不安を感じることは多いものだが(そして、実際できないことが多い)、そうした不安がなくなるのだ。

仕事量が平準化される

 タスクは、1つ発生するごとに実行日を決めて、スケジュール管理ソフトなどにインプットする(または手帳に書く)のが基本だ。新しいタスクが発生したら、すでに入っているアポイントメントやタスクを考慮しつつ、タスクの実行日を決めてインプットする。この習慣が非常に重要だ。

 誰だって、仕事があふれるような日を作りたくはない。すると、新しいタスクは自然に「タスクやアポイントメントの少ない日」に入れるようになる。たとえタスクの期限が金曜日だったとしても、金曜日にほかの仕事が多いなら、木曜日、あるいは水曜日にやってしまった方がいい。そう自覚すると、仕事量は自然に「平準化」する。

タスクを白日の下にさらして、タスクの先延ばしを防げる

 もし、頭の中だけでこうした判断ができるのなら、わざわざインプット作業を行う必要はない。しかし、わたしたちの記憶はそんなに都合よくできていないものだ。

 頭の中だけで考えていると、計画が不明瞭なのをいいことに、「金曜日までにやれば大丈夫」と都合よく考え、タスクの実行を先延ばしにすることさえある。自分が抱えているタスクを(実行日を決めて)白日の下にさらすことが、ムダな「仕事の先延ばし」を防ぐことにもつながるのだ。

「やるべきか? やらざるべきか?」の判断が研ぎ澄まされる

 もちろん、「できる」という実感を持つためには、タスクを詰め込みすぎてはいけない。時には、できないタスクをあきらめるしかないケースも出てくる。これは困ったことのようだが、実は違う。できないタスクはあきらめるしかないからこそ、それぞれのタスクについて「やるべきか? やらざるべきか?」と真剣に考えるようになるのだ。

 逆に、先ほどのToDoリストだと「何となくできそう」と感じて、タスクを次々と書き込んでしまう。そのせいで未完了のタスクが山積みになったり、あまり重要ではないタスク(やらなければよかったタスク)に時間を費やし、後悔してしまったりする。

タイムスケジュールは当日考えればいい

 タイムマネジメントというと、細かいタイムスケジュールを立てることが必要だと思われがちだ。しかし、初めからタイムスケジュールを立てても、結局後で変更することになり、二度手間、三度手間のムダになりやすい。そんな手間がかかるタイムマネジメントはとても継続できない。

 実際のところ、先の「タスクの実行日を決める」ことさえできていれば、細かいタイムスケジュールは当日決めて何の問題もない。その日の仕事量が適正かどうかが重要で、タスクの順番(タイムスケジュール)は後で決めても構わないのだ。

スケジュール管理ソフト(Microsoft Outlook2007)にインプットした例 (下段がタスク) スケジュール管理ソフト(Microsoft Outlook2007)にインプットした例 (下段がタスク)(クリックすると拡大)
グループウェア(IBM Lotus Notes)にインプットした例 (上段がタスク) グループウェア(IBM Lotus Notes)にインプットした例 (上段がタスク)(クリックすると拡大)

大きなタスクは分解すること

 ただし、この方法をうまく機能させるためには、もう1つ必要な条件がある。時間がかかる仕事は「分割」することだ。

 例えば、丸3日ほどかかる仕事をある1日に書き込んだとしても、その日のうちに終わるはずがないし、翌日に持ち越すことになる。これでは翌日の仕事量はつかみにくくなるし、仕事の流れもつかみにくい。

 そういう大きな仕事は、その「仕事」の完成までに必要な、複数の作業(タスク)に分割しよう。具体的にいえば、2時間程度(あるいはもっと短い)の作業に分割するのが目安だ。

 この作業、最初はちょっと面倒だと感じるかもしれない。しかし、ぜひ行ってほしいポイントである。「仕事」を「タスク」に分割することで、仕事を進めていく流れが見えてくるし、より効率的なやり方を思いつくこともある。これは、いわゆる「仕事の段取り」と同じだ。さらに、仕事の所要時間も見積もりやすくなる(大きな仕事の所要時間は予想しにくいが、短いタスクは予想しやすい)。

 こうやって分割したタスクを複数の実行日に振り分けていくと、その仕事を進めていく流れが一目瞭然(りょうぜん)になるし、期限までにちゃんと終わりそうだという実感もわいてくる。仕事に対する心配や不安が少なくなってくる。

 もちろん、突発的なトラブルや急な仕事のせいで、当初の計画どおりにタスクを実行できない日も出てくるだろう。そんなとき、計画があるのとないのでは大違い。事前に組んだ計画があるからこそ「どこまでなら遅らせても大丈夫か」が見積もりやすいし、挽回する策も考えやすい。タイムマネジメントでは「計画どおり完璧にこなす」ことが重要ではなく(もちろん、そうなるに越したことはないが)、自分の仕事を整理して、「仕事の流れ」と「仕事量」をつかむことが重要なのだ。

タイムマネジメントで仕事の効率が上がる理由

 このようにタスクやアポイントメントを整理していくと、以前よりも仕事のスピードが上がってくる。別に急いでいるつもりはなくても、自然とそうなってくる。

 例えば、普段、朝の始業直後に仕事をどう進めているか考えてみてほしい。書類やメールなどを見ながら「どの仕事をやろうかな?」と迷っていることはないだろうか? さらに、1つの仕事が終わったら、また「次に何をやろうか?」と考えたり……毎日のちょっとした「迷う時間」の影響が実は大きい

 これまでに紹介してきたように、タスクを(あらかじめ)実行日別に振り分けておく習慣がつくと「今日やるべきタスク」は、すでにいくつかに絞り込まれた状態になっている。その中から1つ選び出すのなら、ほとんど迷うこともないし、すぐに仕事をスタートできる。その結果、時間をムダにしてしまうことが減ってくるのだ。

 また、つい余計な(本当はやらなくてもいい)作業に手を出してしまうこともなくなる。さらに、仕事への集中力も上がる効果もある。「今日やるべきタスク」が明確になると、明日や明後日、あるいはそれ以降の仕事をいったん忘れて、目の前のタスクに集中しやすくなる

 「タイムマネジメントで仕事の効率を上げる」というと、「1分1秒をムダにしないように」とせわしなく動き回る姿を想像したかもしれないが、実際はそうではない。余分な「迷う時間」がなくなり、あれこれ気が散ることがなくなるだけで、仕事はかなり効率化するのだ。

 わたしが書いた本『世界で一番ゆるい 王様の時間術』の帯には「仕事時間は3割減らせる!』というキャッチフレーズが書かれている。これは実際にわたしがサラリーマン時代にタイムマネジメントで効率化できた数字だ。今回紹介したタイムマネジメントを行い、ムダを減らしていけば、仕事時間を3 割減らすのは決して不可能ではない。

 タイムマネジメントは、マメできちょうめんな人たちだけのものではない。「自分はルーズだ」と自覚する人こそ、タイムマネジメントを毛嫌いせず、気軽な気持ちで試してみてほしい。

著者紹介

水口和彦(みずぐちかずひこ)

(有)ビズアーク取締役社長。タイムマネジメントの研修講師・コンサルタント。

石川県金沢市出身。大阪大学大学院理学研究科修士課程修了後、住友電気工業株式会社を経て現職。製品開発や品質管理のエンジニアとして「仕事に追われるバタ男状態」を経験。それをタイムマネジメントの研究により克服したことをきっかけに、現職に至る。

新刊『世界で一番ゆるい 王様の時間術』(ダイヤモンド社)など著書多数。

Webサイト:時間管理術研究所



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