次に、内定ブルーの元となる「マイナス面」を考えましょう。あなたが不安に思っている「ブルー」な部分は、実はこれから良くなる可能性を秘めた未知の「開発可能領域」です。ここが人生の面白いところであるわけです。
最初に条件がそろっているのはよいことですが、長期視点で見れば「いかに開発可能領域を改善できるか」が、あなたの充足感や評価につながります。「企業規模が小さい」「残業があるかもしれない」といったマイナス要因は、今後プラス要因に変わる可能性が大いにあるのです。
もし、不安要素を想定したときに「改善困難なリスクがある」と感じるようなら、そのときは考え直してもいいのかもしれません。しかし、会社があなたを採用したのはきっと「あなたが開発可能領域を少しでも改善してくれる」と考えているからで、会社と相補的に成長していける可能性があります。
場合によっては、あなたの中に性格的な「完全主義」が隠れている場合があります。「何かを選択する」時点で、「ほかの何かをあきらめる」ことになります。「条件が完ぺきでないから、あれも駄目だしこれも駄目!」と悲観的になると、決断できなくなってしまいます。
何かを選択したからといって、永遠にほかのものをあきらめてしまうわけではありません。自分にとって重要な「プラス要因」を維持しつつ、この時点であきらめたこと(例えば「残業せず趣味に時間を使う」など)を今後どのようにして実行可能にしていくか、楽しみながら考えていってもいいのではないでしょうか。
「なぜこの会社にしたか」という明確な理由は、自分でも分からないものです。「ご縁があった」「先方の期待を受け入れたい」「その会社でやりたいことがある」「社風が好き」「タイミングが合った」――こういった小さなプラス要素の積み重ねで決まることが多いのです。決定打がある人は決心しやすいですが、プラス要因を積み重ねて決めてみてもいいのではないでしょうか。
あとは1人で考えすぎないで、周囲の大人の意見をよく聞き、会社の人や同期の人とも話してみてください。大切なことは案外、人間関係の中で決まっていくものだからです。こうして考えて出た結論ならば、いまのあなたにとって一番いい答えのはずですから、まずはそれを受け入れてみてください。未来はあなたの希望する方向へ、いかようにも展開していくのですから。
松浦 慶子
臨床心理士・日本カウンセリング学会認定カウンセラー。
国際基督教大学心理学科卒業、筑波大学大学院教育研究科カウンセリング専攻修了 。大学、専門学校での学生相談や講師、精神科睡眠障害外来での医療相談、EAP機関・ピースマインドにて社員や家族のカウンセリングなど、幅広く相談活動を行っている。
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