AngularJSをはじめとするJavaSctiptのMVCフレームワーク、CoffeeScriptやTypeScriptといった上位言語(altJS)の登場、そしてNode.jsの隆盛などJavaScriptは、ここ数年話題が尽きない。しかしJavaScriptの人気に伴いJavaが失速しているということはなく、今年のJavaOneでは、むしろ共に盛り上がっていることをうかがわせた。
理由としては、フロントエンドJavaScriptがサーバと対話するのに良く使われるWebSocketやJSONがJava EE 7でサポートされたこと、そしてJVMで動作するハイパフォーマンスなJavaScript実行環境であるNashornがJava 8で同梱されることが挙げられる。
JavaFXは、すでに2012年のJavaOneでも導入事例の紹介があったが、今年はJavaのGUIツールキットとしてデファクトスタンダードの位置を確保していた。
とはいえ「Swingは使ったことはあるがJavaFXはまだこれから」という開発者も多い。SwingにJavaFXを埋め込めるJFXPanel(Java 7より利用可)、JavaFXアプリケーションにSwingコンポーネントを埋め込めるSwingNode(Java 8より利用可)の解説などを織り込んだ、SwingからJavaFXへのマイグレーションに関するセッションなどは人気があった。
また年内にリリースを予定しているというScene Builderは、すでに成熟していて、完成度をより高め、カスタムコンポーネントの埋め込みの簡易化や、IDE内へのScene Builderの埋め込み用APIの提供などが予定されているという。
Scene Builderという独立ツールを提供することでGUIのデザイン方法を標準化させることに成功したJavaFXだが、IDEへの埋め込みが可能になることで一層開発効率が向上するのは間違いない。オラクルのNetBeansだけではなく、EclipseやIntelliJ IDEAなどの人気IDEもScene Builderの埋め込みには積極的だという。
本場のJavaOneは「外国」で開催されるカンファレンスだが、今年は日本人の活躍も目立った。楽天の橋山牧人氏による大規模なGlassFishの適用事例紹介やAcroquest Technologyの谷本心氏、勝本秀之氏によるトラブルシューティングにまつわるセッション、そして日本オラクルのJavaエバンジェリストである寺田佳夫氏によるJava EE 7の非同期処理/スケジューリング処理のセッションなど、どれも好評を博していた。
レポートの後編では、コミュニティキーノートなどの模様をお届けする予定だ。
山本裕介
Twitter APIのJava向けライブラリ「Twitter4J」やトラブルシューティングツール「侍」などを開発するオープンソースソフトウェアデベロッパ。
株式会社サムライズム代表。
Twitterアカウント:@yusuke
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