以上のように、ヘッドハンターの声の掛け方には3つのパターンがあります。これが分かっている人に連絡を取ると「今回のお話は指名ですか?」と逆に質問されることがあります。「今回は指名ではなく、こちらで調査してお会いしたいと考えました」と答えると「それでは結構です」と断られてしまうケースもあります。ヘッドハンターの動き方をよくご存じなのでしょう。
ただ、ご指名でなければヘッドハンターに会う意味がないかといえば、そんなことはまったくありません。もし声が掛かったら、基本的に会ってみることを私はお勧めします。確かにサーチ活動で候補者と最初に面談を行う時点では、その人がクライアント企業の求めている人材に合致するかどうかはあいまいです。ヘッドハンターの側からすると確率の低いハンティングであり、候補者側からすると期待のあまり持てない面談といえます。
しかし、サーチ活動でもヘッドハンターから高い評価を得れば、その人の名前はヘッドハンターの人材リストに載ることになります。
実際、サーチ活動でお会いした中で「この人は素晴らしい」と思ったことは何回もあります。もちろん本人の意思にもよりますが、その時点ではハンティングに至らなくても、ずっと長くお付き合いしていき、3年後、5年後に転職をお手伝いすることになった事例もあります。
逆にご指名が掛かった人でも、ヘッドハンターから見ると決して優秀であるとは限りません。ご指名はかなり依頼者の主観や事情が入っている場合が多く、中には単純に技術だけ欲しいといったケースもあるからです。従って、ヘッドハンターから声を掛けられたとき、それがサーチ活動でもがっかりすることはありませんし、ご指名だからといって浮かれてしまうのは考えものです。
クライス&カンパニー 代表取締役社長
リクルートで人事採用担当を約7年経験後、現社を設立。転職希望者面談数は1万人を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。「人の根っこのエネルギーを発掘する作業が、われわれの使命」がモットー。著書「キャリアコンサルティング」(翔泳社)
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