他社との連携を強めるミドクラの狙い「オープンな仮想ネットワーキングを推進」

SDNの世界は、ONF(Open Networking Foundation)、OpenStackプロジェクト、OpenDaylightプロジェクト、Open Computeプロジェクトなどの動きが絡み合い、ますます複雑化する様相を呈している。その中で、ミドクラはどう動こうとしているのか。ミドクラ会長の加藤隆哉氏に聞いた。

» 2014年01月30日 18時30分 公開
[三木 泉@IT]

 Software Defined Networking(SDN)に関連する新技術としては、OpenFlowによるトラフィックステアリングとエッジ・オーバーレイが代表的だ。エッジ・オーバーレイ技術で、Nicira/ヴイエムウェアと同様に活発な活動を展開しているのがミドクラだ。

 ミドクラのMidoNetは、分散的なアーキテクチャを持つエッジ・オーバーレイ技術。Nicira NVP(現VMware NSX)と同様、既存のネットワークを再設計したり、機器を入れ替えたりする必要がないため、データセンター/クラウドサービス(IaaS)事業者にとっては導入しやすい。とはいえ、「ネットワークだけを導入する顧客は少ない。ネットワークはサービスやビジネスを支える裏方だからだ」と同社会長の加藤隆哉氏は話す。

 このためミドクラは、データセンター/クラウドサービス事業者が採用を進めるクラウド運用基盤との連携を進めてきた。OpenStackについては、OpenStackプラグインを提供しているほか、ネットワーキングプロジェクトNeutronでの活動を活発化している。

MidoNetは分散トンネリングを軸に、ファイアウォール、負荷分散といったレイヤ4までの機能を持っている

 特に最近は、データセンター/クラウドサービス事業者の間で、OpenStackを試験的に導入あるいは採用を検討する組織が増えてきた。一方で、2013年にレッドハット、カノニカル、SUSEによるOpenStackディストリビューションの提供が本格化したことで、OpenStackにMidoNetを組み合わせた提案が進めやすくなったと加藤氏は話す。

 これまでのOpenStack導入は、オープンソースのコードを自己責任で利用することが多かった。ネットワークコンポーネントのベンダにとっては、こうした場合、サポート範囲があいまいになりがちだ。しかしディストリビューションが出てきたことで、Linuxの場合と同様に、OpenStackのコードについて責任主体ができ、検証の対象とするコンポーネントやバージョンも明確化できる。

 ミドクラは2013年11月、「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHELOP)」のネットワーク仮想化ソリューションとして、レッドハットから認定された。このことで、責任分界点がさらに明確になった。ミドクラはこれに基づき、レッドハットとの共同提案を進めているという。

 エッジ・オーバーレイ技術としてはNicira NVP/VMware NSXと比較されることになるが、MidoNetはNicira/ヴイエムウェアと比べて価格的に有利であること、そしてオープンなクラウドの世界を推進していることに優位性があると加藤氏は話す。Niciraがヴイエムウェアに買収されたことで、その将来に疑念を持つユーザー組織を支援していきたいという。

 ミドクラは一方で、OpenDaylightプロジェクトにも参加した。これは、ネットワーク仮想化の利用における課題とされる、「仮想/物理の2つのネットワークをどうマッピングして可視化するか」について、解決策を探ることが理由の1つだという。


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