OpenStackって何? 何を目指しているの? 試すには? 機器を購入せずに触ってみる環境を紹介。ネットワークコンポーネントの解説も。
日本仮想化技術のたまおきです。今回から連載名を「たまおきのクラウドウォッチ」から「たまおきのOpenStackウォッチ」に変えました。皆さんが関心を寄せているOpenStackの対象領域はとても広範囲に及び、私もまだまだ勉強中の身ですが、皆さんと一緒に勉強していきたいですね*。
今月はOpenStackについての初歩的な情報のおさらいと、OpenStack環境の挙動を把握するための、気軽に試せるテスト環境について紹介していきます。
*編集部注 たまおき氏は謙遜されていますが、各所で勉強会やセミナーでOpenStackの技術動向を解説なさっています。
直近のイベントが盛況(関連リポート参照)なこともありますが、最近はOpenStackに興味を持つ人が増えてきたことを実感しています。OpenStackを初めて触る人もいれば、一度は挫折して再チャレンジする人もいるかと思います。OpenStackそのものも、幾つかのバージョンを経て変化を遂げています。そこで、今回は、OpenStackに興味を持つ皆さんに向けて「OpenStack再入門」を記してみます。
クラウドには、「利用者自身が(セルフサービス)」「利用したいときに(オンデマンド)」「利用したいだけ」のコンピューターリソースを利用する、という考えがあります。電気やガスのように、使った分だけ課金する(ユーティリティ)という考え方もあります。クラウド基盤ソフトウェアは上記の考えを実現するために、仮想化技術や分散処理技術、インターネット標準技術やオープンソースソフトウェアなどを活用して実現しています。
Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどはそれぞれの企業が自社で開発したクラウド基盤ソフトウェアを使用したクラウドサービスとして有名です。これらの企業では、サービスを提供する際に独自のクラウド基盤ソフトウェアを介していますが、OpenStackはそれらと同じことをオープンソースソフトウェアとして実現しています。つまり、パブリッククラウドサービスと同じようにITリソースを提供する環境を構築・運用するためのツールです。
OpenStackを選択する理由として、クラウド基盤を安価に構築したい、あるいは独自仕様の製品を選択することによる「ベンダーロックイン」を回避したい、自社セキュリティポリシーを適用し続けたい、といった項目を挙げる人もいます。
ネットワーク仮想化技術や、分散ストレージ技術、オートスケール、自動プロビジョニングなどの自動化技術を活用した、次世代のインフラストラクチャ「SDI(Software Defined Infrastructure)」の多くはOpenStackをベースに研究・開発し製品化されてます。
3年後や5年後の企業のITシステムがクラウドを前提にして検討され、適材適所でクラウドサービスや自社クラウド基盤を使用していく、と筆者は想定しております。クラウド基盤ソフトウェアとしてOpenStackがどこまで適用できるのか、OpenStackがこれからどれだけのイノベーションを提供してくれるのか、読者の皆さんと一緒に見極めていきたいと思っております。
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