プログラムはどうやって作るの? 開発ツールはどうやって使うの? ゼロから始める新人プログラマーのための連載スタート。
※本連載は、「簡単! Visual Studio 2010入門」「簡単! Visual Studio 2008入門」「簡単! Visual Studio 2005入門」「簡単! Visual Studio .NET入門」を現在の最新環境に合わせて改訂したものです。
Visual Studio 2013(以降、「VS 2013」と表記)は、マイクロソフトが提供する開発ツールだ。この開発ツールを使えば、素早く簡単にさまざまなプログラムを作成できる。実際にその開発を体験すれば、VS 2013による開発の「容易さ」と「速さ」にビックリすることだろう(ちなみに、この「簡単さ」と「速さ」のことを、プログラミングの世界では「開発生産性」と呼ぶ)。
本連載は、プログラミング経験がほとんどない読者を対象として、VS 2013を使った開発のイロハを解説する。そのため、できるだけプログラミングの基礎から解説することを心掛けた。VS 2013は未経験でも、プログラミングの経験があるという読者の方々にとっては、説明が冗長な部分があると思われるが、ご了承いただきたい。VS 2013プログラミングの最初の取っ掛かりとして、企業の新人プログラマーや、.NETプログラミングをゼロから始めてみたい人などに読んでいただきたいと考えている。環境としてはWindows 8.1/VS Express 2013 with Update 3 for Windows Desktopを使用する。
それでは、まずは「VS 2013とは何か?」について簡単に説明していこう。
先ほど述べたようにVS 2013はプログラムを作成するための開発ツールである。ただし、Windows上で動作するプログラムにはさまざまな種類がある。そして、VS 2013で開発できるプログラムの種類にも以下のようにさまざまな種類がある。
.NET Frameworkは、マイクロソフトの企業戦略でもある「Microsoft .NET」を実現するための「フレームワーク(仕組み)」を提供してくれる。
なお、VS 2013をインストールすれば、.NET Framework 4.5.1も一緒にインストールされる。よって、VS 2013で開発を行うコンピューターについては、.NET Framework 4.5.1を別途インストールする必要はない。開発マシンがWindows 8.1であれば、Windows自体がこのバージョンをサポートしている。
Windowsランタイムは、.NET Frameworkに続く新たなフレームワークであり、ストアアプリに加えて、Windows Phoneアプリなどの開発にも利用できる。対象とするのはWindows 8以降だ。WindowsランタイムはC++(ネイティブコード)/.NET言語/HTML5+JavaScriptから利用可能である点が、Win32や.NET Frameworkとは大きく異なる点といえる。
.NET FrameworkやWindowsランタイムがもたらす最大のメリットは、最初に述べた「開発生産性の向上」である。その他にも、「高機能性」や「より強固なセキュリティ」などのメリットもある。
なお本連載では、.NET Frameworkを利用したデスクトップアプリ(Windowsフォーム)の開発を主な例として取り上げていく(※なお、デスクトップアプリ開発技術には、より新しい「WPF」もあるが、入門者が基礎からステップアップしていくことを想定して、より概念がシンプルな「Windowsフォーム」で開発する)。
.NET Frameworkのバージョンには注意が必要だ。
例えば、Windows 7には.NET Framework 3.5 SP1(相当)が標準でインストールされるが、VS 2013が標準で対象とする.NET Framework 4以降を使用しているプログラムを実行するには、.NET Framework 4.5.xを別途インストールする必要がある*1。
逆に、Windows 8.xでは.NET Framework 3.5 SP1以前は標準で有効ではない。従って、何らかの形で.NET Framework 3.5 SP1をインストールしていなければ、以前のバージョンの.NETプログラムを動作させるには、これを有効化またはインストールする必要がある。詳細についてはWindows Server Insiderの記事「.NET Frameworkのバージョンを整理する」などを参照してほしい。
*1 ただし、Expressエディションを除くVS 2013では、開発するプログラムが対象とする.NET Frameworkのバージョンを指定できる。つまり、VS 2013で.NET Framework 3.5向けのプログラムを開発することは可能だ。これには、開発に使用するコンピューターで以前のバージョンの.NET Frameworkを有効化またはインストールする必要がある(後述)。また、前述した通り、本連載で主に取り上げるVS Expressではターゲットとなる.NET Frameworkのバージョンは指定できない。
以上、簡単にVS 2013やプログラムの実行プラットフォームについて述べた。ここで、さらに詳しく能書きをダラダラと並べるよりも、実際にVS 2013に触れて動かしてみる方が面白いだろう。よって、VS 2013を使ったプログラミングの解説に入りたいが、その前にやるべきことがある。VS 2013を動かすためには、当然、自分のコンピューターにVS 2013をインストールする必要がある。
なおVS 2013には、以下のような複数のエディション(版)がある。
VS 2013が手元にない場合は、まずは無償で入手できる「Express」の使用をお勧めする。あるいは、Express以外のエディションについては、90日間の無償評価版がVSのダウンロードページからダウンロード可能できるので、それらを試用してみるのもよいだろう。
ちなみにExpressは用途ごとに、さらに細かく以下のようなエディションに分割されているので、適切なものを選択して利用する必要がある(※デスクトップアプリ、Webアプリ、ストアアプリについては後述する)。なお、VS 2013では頻繁なペースでUpdate(機能の更新、改善、追加)がリリースされており、本校執筆時点では「Update 3」がリリースされている。そのため、リンク先のページでは実際には「Visual Studio Express with Update 3 for 〜」などの表記になっているはずだ(Express以外のエディションでも同様)。
もちろんこれら全てを同じコンピューターにインストールして使うこともできる。
本稿では、以上のエディションのうち「Visual Studio Express 2013 with Update 3 for Windows Desktop」(以下、VS Express 2013 for Desktop)を使用する。なお、オンラインでのチーム開発やソースコード管理などを可能とする「Visual Studio Online」と呼ばれる環境も存在するが、これについては本連載では触れない。また、エディションごとに「with MSDN」としてMSDNのサブスクリプション契約と一緒になったパッケージもあるが、これについても本連載では触れない。VS 2013の製品情報に関する詳細はVSの製品情報ページを参照してほしい。
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