では最後に、OSSジョブ運用・システム監視ソフトウェアの評価を行った結果を通じて、総合的に考えられるOSS製品利用の優位性・劣位性をまとめてみよう。
OSSジョブ運用/システム監視ソフトウェアの導入はコストメリットが大きいが、技術的課題が残っており、問題が発生するリスクも存在すると考えられる。十分な事前検証・評価を行った上で、段階的にOSSの導入・移行を進めることが望ましい。その点、ベンダーサポートを受けることもOSSプロダクトを活用するための有効な手段だろう。
参考リンク:TIS 「OSSマイグレーションサービス」
OSSというとコスト削減、柔軟性、ベンダーロックインの回避といったメリットがまず想起されるが、一番大切なのは自社のビジネスゴールをどう達成するか、そのためにITツールをどう使うかにある。OSSはさまざまな可能性を提供してくれるが、導入・検討に当たっては、そのメリット・デメリットを自社のビジネス要件、IT環境に照らして慎重に考慮することが必要だ。本稿をその一助としていただければ幸いだ。
森元 敏雄(もりもと としお)
コーポレート本部 戦略技術センター所属
デザイン指向クラウドオーケストレーションソフトウェア「CloudConductor」の開発およびクラウド関連技術の調査・検証に従事。社内向けの大規模プライベートクラウド開発環境の設計・構築・運用の経験を生かし、CloudConductor関連製品の技術調査・検証を担当。
冨永 善視(とみなが よしみ)
コーポレート本部 戦略技術センター所属
デザイン指向クラウドオーケストレーションソフトウェア「CloudConductor」の開発およびクラウド関連技術の調査・検証に従事。OpenStackやZabbixといったOSSの調査・検証を行う他、プロジェクトチームの開発環境の構築・管理を担当している。
インフラ整備に一層のスピード・柔軟性が求められている今、仮想化、クラウドは企業にとって大きな武器となった。ただ運用管理を人海戦術で行うスタイルでは、そのメリットを生かし切ることは難しい。サーバー配備や監視など、あらゆる定型業務のミスを抑止し確実・迅速に行える「運用自動化」を取り入れることが、仮想化・クラウドを生かす大前提となるのだ――本特集ではツール導入の要件からOSS/商用ツールの使い方、ツール同士の比較まで、「運用自動化」を徹底的に深掘りする。
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