徹底比較! 運用監視を自動化するオープンソースソフトウェア10製品の特徴、メリット・デメリットをひとまとめ特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル(2)(12/12 ページ)

» 2014年09月25日 18時00分 公開
[森元敏雄/冨永善視TIS株式会社]
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機能単体では商用に匹敵。だが総合力ではまだ及ばない部分がある

 では最後に、OSSジョブ運用・システム監視ソフトウェアの評価を行った結果を通じて、総合的に考えられるOSS製品利用の優位性・劣位性をまとめてみよう。

優位性

  1. 各ツールの機能単体では商用製品と遜色ない機能が提供されつつある
  2. リソース監視系は商用製品より詳細な情報の取得、分析が可能
  3. ほぼ全ての製品がGPL/MPLなどのOSS系のライセンスで無償での利用が可能であり、導入時のソフトウェア調達コストを削減できる
  4. 製品の進化速度も速く、これからの発展が期待できる

劣位性

  1. 商用製品と比較すると各製品単体では機能不足の部分がある
  2. メインフレームを対象とする製品は存在しない
  3. OSS製品を組み合わせることで商用製品に近い機能を満たすことは可能となってきているが、各ソフトウェア間の連携を自力で構築する必要がある
  4. 構築、設定、運用にOSS製品に対する知識、経験が必須で、運用を行う専門の技術者を確保する必要がある
  5. 一部製品を除いてベンダーサポートがなく、問題発生時は自力で解決が必要となる
  6. 「ソフトウェア調達コストを大きく低減すること」が、「運用コスト全体においてコスト削減効果があるかどうか」は導入前に十分検証する必要がある

運用監視系OSS、10製品の検証を終えて

 OSSジョブ運用/システム監視ソフトウェアの導入はコストメリットが大きいが、技術的課題が残っており、問題が発生するリスクも存在すると考えられる。十分な事前検証・評価を行った上で、段階的にOSSの導入・移行を進めることが望ましい。その点、ベンダーサポートを受けることもOSSプロダクトを活用するための有効な手段だろう。

参考リンク:TIS 「OSSマイグレーションサービス」

 OSSというとコスト削減、柔軟性、ベンダーロックインの回避といったメリットがまず想起されるが、一番大切なのは自社のビジネスゴールをどう達成するか、そのためにITツールをどう使うかにある。OSSはさまざまな可能性を提供してくれるが、導入・検討に当たっては、そのメリット・デメリットを自社のビジネス要件、IT環境に照らして慎重に考慮することが必要だ。本稿をその一助としていただければ幸いだ。

著者プロフィール

森元 敏雄(もりもと としお)

TIS株式会社

コーポレート本部 戦略技術センター所属

デザイン指向クラウドオーケストレーションソフトウェア「CloudConductor」の開発およびクラウド関連技術の調査・検証に従事。社内向けの大規模プライベートクラウド開発環境の設計・構築・運用の経験を生かし、CloudConductor関連製品の技術調査・検証を担当。


冨永 善視(とみなが よしみ)

TIS株式会社

コーポレート本部 戦略技術センター所属

デザイン指向クラウドオーケストレーションソフトウェア「CloudConductor」の開発およびクラウド関連技術の調査・検証に従事。OpenStackやZabbixといったOSSの調査・検証を行う他、プロジェクトチームの開発環境の構築・管理を担当している。


特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル

インフラ整備に一層のスピード・柔軟性が求められている今、仮想化、クラウドは企業にとって大きな武器となった。ただ運用管理を人海戦術で行うスタイルでは、そのメリットを生かし切ることは難しい。サーバー配備や監視など、あらゆる定型業務のミスを抑止し確実・迅速に行える「運用自動化」を取り入れることが、仮想化・クラウドを生かす大前提となるのだ――本特集ではツール導入の要件からOSS/商用ツールの使い方、ツール同士の比較まで、「運用自動化」を徹底的に深掘りする。




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