徹底比較! 運用監視を自動化するオープンソースソフトウェア10製品の特徴、メリット・デメリットをひとまとめ特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル(2)(6/12 ページ)

» 2014年09月25日 18時00分 公開
[森元敏雄/冨永善視TIS株式会社]
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Consulのプロフィール

 Consulは、前述のSerfと同じHashiCorp社が開発を行っているシステム監視ソフトウェアだ。Serfとは異なり、集中管理サーバー「Consulサーバー」とエージェント「Consulクライアント」を利用し、情報をConsulサーバーに集約する一般的なシステム監視ソフトウェアと同様の構成を持つ。

 ライセンスはMPLで全機能を無償で利用可能。2014年4月24日にVer 0.1.0が公開されたばかりの非常に新しい製品で、最新バージョンは2014年7月14日にリリースされたVer 0.3.1。こちらも短期間に活発な更新が行われている。

特徴

 Consulは機能的にはサーバーとエージェントの構成となっているが、実行モジュールはSerf同様、consulという名前の実行ファイル1つのみ。インストールもzipファイルをダウンロードして解凍するのみとなっている。

 インストーラーはLinux/Windows/Mac OS X版が提供されている。起動時のオプションの指定によってサーバーとして動作するか、エージェントとして動作するかの切り替えを行う。やはりSerf同様、自動起動のスクリプトなどは自分で生成する必要がある。

 Linuxのみだが、Chefを利用し、CookbookからConsulインストール用のChefレシピを利用してインストールを行うと、自動起動のスクリプトが同時に生成される。

 Consulはインストールされたサーバー内のサービスを検出し、自動的に監視対象に追加してくれる。検出されたサービスの情報はHTTP APIで各クライアントノードからJSON形式のデータとして取得し、KVS(Key/Value Storage)に格納する。その取得された情報を基にして、サーバー自体やサービスの稼働状態を監視することが可能となる。監視設定自体もJSON形式のファイルをフォルダーに格納し、サーバーサービスの起動時に[-config-file]オプションで指定することで監視を行うことができる。登録されたクライアントノードや監視対象、検知された障害はブラウザー経由で参照できる。

ALT Consulの画面イメージ《クリックで拡大》

 メッセージング機能はSerfのライブラリが利用され、Serf同様にGossipプロトコルが利用されている。本製品は「Serfとの違い」がよく話題に上るが、Consul公式サイトで違いについて解説されている。

 Consulのコンセプトとして、「複数のデータセンター間や複数のクラウドサービス間で分散配置されたシステムを統合的に監視する機能を実現している」との記述もある(今回は残念ながらそこまでの検証は行えていない)。

優位性と劣位性

優位性

  1. サーバー内のサービスの自動検知機能が存在する
  2. 集中管理サーバーとクライアントノード間の通信が高速

劣位性

  1. 自動起動などの機能が存在しないため、OSレベルでの設定が必要となる
  2. 監視設定の定義にJSON形式の定義ファイルの作成が必要となる
  3. 障害検知時に対応などはConsul以外の外部製品に連携する必要がある
  4. 文献や情報自体も少なく、使用方法やセキュリティへの考慮など研究が必要となる

利用シチュエーション

  1. システム監視の自律運用の実現のシステム監視基盤に利用(自動検知の活用)
  2. ハイブリッドクラウド環境やオンプレミス〜クラウド間連携のシステム監視基盤に利用

 製品自体の設計コンセプトでもある「監視サービスの自動検知」や「サーバー〜ノード間の高速通信」への活用が望ましいと考えられる。こちらもSerf同様、新しいコンセプトの製品であり、これからさらに製品の進化や用法の研究が進むことで、より利便性が向上することが期待されている。

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