CactiはThe Cacti Group社が開発を行っているシステム監視ソフトウェアだ。Nagiosと並んでシステム監視系では古豪製品となる。サーバーやネットワーク機器のリソース使用状況のグラフ化を、インストール後の基本設定のみで行うことができる。
ライセンスはGPLとなっており、全ての機能を無償で利用可能だ。2001年9月23日に最初の公開が行われ、現在も開発が続けられている。最新バージョンは2013年8月13日リリースの0.8.8bとなる。
CactiはPHPで開発されており、PHPが動作するプラットフォームであればLinux以外の商用UNIX/Windows OSでも稼働させることが可能。収集・集計した監視データはApacheなどのHTTPサーバーを経由しブラウザーでアクセス。収集したデータはRDB(デフォルトはMySQL)に格納する。インストールは標準ではtarファイルを解凍してフォルダーに配置する形だが、EPELリポジトリを利用することで、yumコマンドでインストールすることもできる。
サーバーOSやネットワーク機器などに標準で搭載されていることが多いSNMPを利用し、その情報を基にシンプルなオペレーションでグラフを作成できる。標準登録されている各OS、機材に対応したテンプレートを適用することで、ほぼ自動的にグラフが作成されるが、Windows server OSなどでは、追加テンプレートのインストールが必要となる場合もある。追加テンプレートはユーザーフォーラムなどで公開されている。
標準ではリソース使用状況の収集は行えるが、システム監視として必須となる死活監視のアラートメール送信や閾値チェックの機能が存在しない。そこで、不足機能を補うためのプラグインの開発が進められている。プラグインには、Cactiの機能として正式にサポートされている「Support plugins」と、有志が作成した非公式な「User plugins」が存在。プラグインはこちらからダウンロードが可能。
現在はプラグインを中心に開発が進められているが、将来予定されているVer 1.0.0ではAjax対応、多言語対応、中核プラグインの本体への取り込み、プラグインインターフェースの強化などが予定されている。フォーラムも比較的活発に発言が行われている。
歴史の長い製品であるため、文献や情報、ブログなどの記事も多く、情報の入手に困ることはほとんどない。導入時に保守サポートなどが必要な場合、環境構築、導入支援、カスタマイズ、分析などのサポートサービスを行っているベンダーも多数存在する。
利用実績も多く、本体の構築事例のみではなく、OSSプロダクト利用による監視基盤のクラスタリングの事例も多数存在する。プロダクト利用に過去の実績と安定性を重視する場合に利用するには適していると考えられる。サービスを利用するためのインターフェースもSNMPのみとシンプルであり、監視対象のサーバーやネットワーク機材への影響も不可も非常に少なく導入がしやすい製品となっている。
ただエージェントが存在しないため、ミッションクリティカルな監視基盤にするには若干機能が不足といえる。リソース状況の監視や開示などのインターフェースに利用するのが最適だと考えられる。
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