始めに紹介するのはシステム監視ソフトウェアとして歴史も長く実績もある古豪製品のNagiosだ。Nagiosはサーバー内部にインストールされたNagios本体、またはリモートサーバー内のエージェントやSNMP情報を利用し、リソース使用量やプロセス稼働状態などの監視を行うシステム監視ソフトウェア。ライセンスはGPL v2となっており、根幹機能部分は無償で利用することができる。
さらに、有償のサポートライセンスを購入することで、追加機能やサポートなどの利用が可能になる。OSS版のNagiosの機能を強化した「Nagios XI」「Nagios Fusion」などの商用製品も存在する。
Ethan Galstad氏により2002年5月に最初の公開が行われ、現在も開発が続けられている。最新バージョンは2012年5月15日にリリースされたVer 3.4.1となる。
Nagios本体はC言語で開発されており、LinuxおよびUNIXで動作させることができる。本体の他に公式のプラグインをインストールすることで、監視方法の拡充を図ることが可能だ。有志ユーザーによるプラグインの開発も多く、必要なプラグインを追加することでかなりの機能の強化を図ることができる。
プラグインはBash/C++/Perl/Ruby/Python/PHP/C#など、さまざまな言語での開発が可能。これらのプラグインは近年開発されたSensuやMackerelなどでも利用できる。
apt(Advanced Packaging Tool)やEPEL(Extra Packages for Enterprise Linux)などのリポジトリ追加を行うことで、yum(Yellowdog Updater Modified)などのコマンドでインストールすることが可能。パッケージが提供されていないBSD(Berkeley Software Distribution)や商用UNIXの場合、tarファイルを解凍し、OS上でmakeコマンドでbulidを行う形でインストールすることもできるが、Nagios以外の必要なパッケージも並行してビルドする必要が発生する。
インストールした後、設定ファイルを手動で編集する必要があり、最近の製品と比較するとインストールの難易度は高め。ただ製品としての歴史も長く、フォーラム、ブログなども充実しており、技術的問題で困ることは少ないと考えられる。
死活監視の情報はRDBではなくデータファイルに記録する。大量機材の監視を行う場合、ファイルの肥大化などにより問題が発生することが危惧される。
Nagios自体は商用バージョンも存在し、国内でもサポートを行っているベンダーも存在するため、サポートが必要な場合は商用、または有償サポート契約で対応が可能だ。
利用実績も多く、本体の構築事例のみではなく、OSSプロダクト利用による監視基盤のクラスタリングの事例も多数存在する。プロダクト利用に過去の実績と安定性を重視する場合に利用するには適していると考えられる。
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