HinemosはNTTデータが開発を行っている統合運用監視ソフトウェアだ。サーバーやネットワーク機器の死活監視、システム稼働ログの監視、リソース使用量の監視、ジョブ運用制御など、商用製品同などの機能を持っている。ライセンスは無償利用が可能なGPLの部分と、有償のサポート契約により利用が可能となるオプション製品に分かれている。
Hinemosは2004年に開発が開始され、2005年8月にVer 1.0がリリース。2013年9月30日にリリースされたVer 4.1からは、有償オプションであった64bit版Linux用エージェントも無償利用が可能となった。最新版は2014年1月31日にリリースされたVer 4.1.1で、Windows Server 2012 R2に対応している。
HinemosはJavaで開発されており、集中管理サーバー「manager」はLinuxで動作、その制御を行う管理画面「client」はWindows OS/Windows Server OSで動作する。サーバーOSの監視、ジョブの遠隔実行に利用するエージェント「agent」はWindows(32bit/64bit)、Linux(32bit/64bit RHEL互換OSのみ)は無償で提供されているが、AIX(32bit)、HP-UX(32bit)、VMware ESXiなどの商用OS/ハイパーバイザーは有償オプションでの提供となる。
登録されたサーバー情報、運用ジョブや、収集したリソース使用状況の情報はmanagerに同梱されたRDB(PostgreSQL)に格納。インストールも、ダウンロードしたtarファイルを解凍してインストール用のshellを実行するだけで、Java、PostgreSQL、rsyslogのインストールと設定が行われる。このため構築は非常に容易だ。
サーバー、ネットワーク機器の死活監視、リソース使用状況の監視はping/SNMP/hinemos_agentのいずれかで行う。hinemos_agent/SNMPのリソース監視はテンプレートを利用することで、少ないオペレーションで監視・グラフ生成が可能。
ただテンプレートの場合、CPUをコア単位で分析するような形にはなっておらず、詳細な分析には不向きな箇所も存在する。ただし、テンプレートで集計が行えないパラメーターは、SNMPの情報を個別にパラメーター化して収集することで詳細な分析を行うこともできる。
国産製品であるため、製品自体も全て日本語化されており、日本語ドキュメントも充実している。画面もMicrosoft Excelのようなタブ+一覧表画面でWindows Office製品の操作に慣れたユーザーには操作がしやすいインターフェースになっている。単体ジョブやジョブネットの生成も画面操作で簡単に行える。
hinemos_managerのHA化やジョブネットのグラフィカル表示などの機能は有償オプションになるため、本格運用に利用するには有償オプションを契約することが望ましい。
最新バージョンでは、有償オプションだが、AWS(Amazon Web Services)やOpenFlowを利用した仮想ネットワークの監視機能も提供され、クラウド、OSS仮想化基盤の監視機能がより強化されることが予測される。
開発元のNTTデータ以外にもサポートを行っているベンダーが多数存在し、構築・運用設計も含めた安定した導入が可能だ。Hinemosの機能拡張や利便性向上を実現するサードパーティ製品も多い。
商用製品同などの機能は実装されているが、メインフレームに対するジョブ実行制御が行えないため、既存製品との完全リプレイスが行えない状況が存在する。Windows環境やLinux環境の監視を、既存運用監視基盤と連携する形で役割分担することで、コスト削減などの効果を得ることは可能だと考えられる。
リソース使用状況の分析は、細かく分析しようとすると、他のシステム監視系特化の製品に比べて若干、設定の手順が煩雑に感じられる。詳細な分析が必要な場合は、他のOSS製品を組み合わせて使用することで補完する選択が望ましいと考えられる。
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