Job Arranger for Zabbixは大和総研ビジネス・イノベーションが開発を行っているジョブ管理ソフトウェアだ。ジョブの作成と制御機能を持っており、ジョブにエラーが発生した場合、実行結果を統合監視ソフトウェアのZabbixに連携できる。
ライセンスはGPLv2となっており、無償で利用可能。2012年11月30日にVer 0.9.0(bata)がリリースされ、最新版は2014年7月16日にリリースされたVer 2.0.1となる。
Job Arranger for Zabbixは、ZabbixをベースにC言語で開発されており、Zabbixのアドオンとして動作する。ジョブ管理サーバー「Job Server」は、RHEL 5.x以降、CentOS 5.x以降で動作し、ZabbixのDBを利用する。DBはMySQLとPostgreSQLにのみ対応で、Zabbix本体では利用可能なOracle/IBM DB2などの製品は利用不可なので注意が必要である。
ジョブの遠隔実行に利用するエージェント「Job Agent」は、RHEL 5.x以降、CentOS 5.x以降、Windows Server 2003、2008で動作。Job Server、Job Agent共に、Zabbixサーバー、Zabbixエージェントの設定ファイルを読み込んで利用することができる。
ジョブの編集や実行状況の確認を行うGUI「Job Manager」は、Windows XP/7/8で動作する。Job Managerの動作には、.NET Framework 4 ExtendedとZabbixのDBに対応したODBCドライバーが必要だ。
Job Server、Job Agent、Job Managerについて、LinuxにはRPMパッケージが、Windowsにはインストーラーが用意されており、こちらからダウンロードできる。
ジョブの作成・管理はJob Managerから行う。Job Arranger for Zabbixでは、ジョブアイコンや、制御用のアイコンをフローチャート形式で結んでいくだけで、ジョブの処理フローを簡単に定義することが可能。また、変数を使ってリソース情報やジョブの実行結果を参照できる他、条件分岐などの制御も可能だ。各アイコンの役割や設定方法については、公式のドキュメントに詳しく掲載されている。
Job Managerのジョブ実行管理画面では、ジョブの稼働状況をリアルタイムに確認することが可能。実行中ジョブの詳細を表示すると、現在、処理フローのどの部分を実行中なのかを確認できる。ジョブの中断や、異常終了したジョブの再実行なども、ジョブ実行管理画面から行うことが可能だ。
Job Arranger for Zabbixは、ジョブの実行エラーをZabbixに通知できる。Job Serverでエラーが発生した場合、zabbix_senderコマンドが実行され、Zabbixにエラーが通知される仕組みだ。ただし、Zabbix側でこの通知を受け取るためには、通知用のアイテムを作成しておく必要がある。また、Job Agentの設定ファイルに指定したホスト名と、Zabbixに登録したホスト名が異なる場合、エラーが発生するので注意が必要だ。
Job Arranger for Zabbixに関するドキュメントは、大和総研ビジネス・イノベーションの製品紹介ページから見ることができる。また、ダウンロードサイトでは、操作や不具合に関する問い合わせも受け付けている。
現在は、3〜6カ月に一度バージョンアップが行われており、2014年12月にはジョブエージェントのAIX、Windows Server 2012対応や、Zabbixとの連携強化などが予定されている。
前述の通り、Windows PCとZabbixサーバーの接続が必要であり、Web APIが用意されていないことから、環境次第では導入が困難な可能性がある。しかし、すでにZabbixを運用している環境であれば、導入や設定が非常に簡単であるため、有力な選択肢になると考えられる。使いやすいGUIや日本語によるサポートが可能であるため、対応するプラットフォームが増加すれば、国内で普及が進むのではないかと考えられる。
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