CA Technologies(以下CA)では2011年からプライベートクラウド環境の自動化を支援する製品群として「CA Automation Suite for Clouds」を提供している。運用手順書に沿って自動化する「CA Process Automation」、仮想サーバーのプロビジョニングなどを行う「CA Server Automation」、システムの構成管理を行う「CA Configuration Automation」、よく使うシステム構成をカタログ化し、サービスポータルを通じてユーザー部門と共有する「CA Service Catalog」などで構成されるスイート製品だ。
CAでは昨年から製品ポートフォリオを「ca Devcenter」「ca Intellicenter」「ca Opscenter」「ca Securecenter」の4つに分類しており、これら一連の自動化製品は、ca Devcenterに含まれることになった。この背景には、物理/仮想を統合管理する必要性や、並行開発も多い中、継続的デリバリーなどの取り組みによって開発と運用をスムーズにつなごうとする企業ニーズへの対応がある。単に、自動化製品でサービス提供を迅速化するだけではなく、アプリケーションデリバリ製品の「CA Release Automation」、テスト制約を解消するサービス仮想化製品「CA Service Virtualization」と連携させて、開発と運用を橋渡しすることに力を入れているという。
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CA Server Automationは、物理、仮想、パブリッククラウド環境において、物理/仮想サーバーの配備に必要な、OS、ストレージ、アプリケーションのプロビジョニングを自動化する製品だ。また、CA Configuration Automationでは、ネットワーク機器やサーバー、OS、アプリケーション、データベースなどをエージェントレスで自動的に検出して構成設定を確認。仮想環境のシステム構成を可視化し、トポロジーマップを作成できる。
こうした各種自動化製品の頭脳の役割を果たすのが、CA Process Automationだ。Runbook Automation機能により、あらかじめ設定した運用手順に沿って各製品を制御することで、サービスカタログの提供から、エンドユーザーのリクエストに応じた仮想サーバーのプロビジョニング、OS/ソフトウェアの設定、それに伴う承認フローまで、一連の作業を自動化できる。
CA Technologiesもプライベートクラウド環境の実現を支援するわけだが、アジャイル開発やDevOpsを支援する「CA Release Automation」「CA Service Virtualization」を運用自動化製品と同じポートフォリオに位置付けている点も注目される。開発のスピード・品質を担保できなければ、インフラ整備のスピードを生かし切ることは難しい。アプリケーションライフサイクルの着実な運用を支える運用自動化の意義があらためて理解できるのではないだろうか。
以上、7社の製品・サービスの概要を見てきたが、いかがだっただろうか。運用自動化というとコストや手間の削減といった“守り”の面が目に付きがちなものだが、ビジネス要請に迅速に応えるとともに、あるべきシステム運用を堅持することで継続的にシステムを改善していく“攻め”の施策でもあることが感じ取れたのではないだろうか。自社を取り巻く市場環境とビジネス要請を見据え、自社なら運用自動化にどう取り組むのか、あらためて考えてみてはいかがだろう。
インフラ整備に一層のスピード・柔軟性が求められている今、仮想化、クラウドは企業にとって大きな武器となった。ただ運用管理を人海戦術で行うスタイルでは、そのメリットを生かし切ることは難しい。サーバー配備や監視など、あらゆる定型業務のミスを抑止し確実・迅速に行える「運用自動化」を取り入れることが、仮想化・クラウドを生かす大前提となるのだ――本特集ではツール導入の要件からOSS/商用ツールの使い方、ツール同士の比較まで、「運用自動化」を徹底的に深掘りする。
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