日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は、運用管理を自動化するための製品群「Cloud and Automation Management」を提供している。2008年から提供してきた「HP Business Service Automation」から名称変更されたもので、主要製品は、運用手順書を自動化する「HP Operations Orchestration software」、ハイブリッドクラウド管理ツール「HP Cloud Service Automation」、継続的インテグレーションや継続的デリバリを実現する「HP Helion CODAR」の3つとなる。
2013年7月に、HP Operations Orchestration 10.0、HP Cloud Service Automation 3.2が国内で発表された。その後、バージョンアップし、2014年12月現在、HP Operations Orchestrationの最新版は10.10、Cloud Service Automationは4.1となっている。一方、HP Helion CODARは、2014年8月に1.1がリリースされた。
Operations Orchestration 10では、オーケストレーションの対象となる自動化テンプレートの種類を従来の4000から5000種類以上に拡充した。新たにAmazon EC2、OpenStack、vCloud Director、Hyper-V、KVMといったクラウド環境に対応し、HP ArcSight、HP Fortifyなどのセキュリティ製品やSAPアプリケーションなどにも対応した。またライセンス体系を1OSインスタンス当たりの課金に変更した。
Cloud Service Automation では、Asset Managerと連携することで、クラウド環境のチャージバック機能を提供できるようにした。サブスクリプションに基づいて、クラウドリソースの消費分をチャージバックできる。また、2013年7月にはサーバ自動化ツール「Server Automation 10.0」がリリースされた。
参考リンク:「HP Operations Orchestration software」紹介ページ(日本HP)
これらの製品は互いに連携して動作することが特徴だ。Cloud Service Automationでは、Amazon EC2やS3、VMware、Hyper-VといったIaaSをはじめ、PaaS、アプリケーションなどを「カタログ」として登録しておき、ユーザーがセルフサービスポータルから簡単に利用できるようになっている。また、Server AutomationやOperations Orchestrationを使って、プライベートクラウド、パブリッククラウド、マネージドサービスで構成されたマネージドクラウドなどを統合管理することができる。
さらに、HP Helion CODARを使うことで、Operations OrchestrationやHP Cloud Service Automationに対応したアプリケーションの開発と、DevOpsを実現する。
大企業を中心に多くの導入実績を持つ日本HPだが、サービスカタログを用意し、ユーザーがサービスポータルからリクエストすると自動的に配備されるなど、まさしくプライベートクラウド環境実現の要件を押さえていることが分かる。また、マルチクラウドの一元管理、CODARによるDevOpsを実現している点も、今後のシステム運用管理の一つのポイントして注目すべきだろう。
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