日本IBMは運用自動化製品群「IBM SmarterCloud Foundation」を2012年3月から提供している。既存の統合運用管理製品群「IBM Tivoli」のラインアップから、プライベートクラウド環境の構築・運用に適した機能をピックアップし、機能強化を施した上で製品ポートフォリオを整理した新しいブランドの製品群だ。2013年5月には「IBM SmarterCloud Orchestrator」を加え、パブリッククラウド管理を強化した。
IBM SmarterCloud Orchestratorは、プライベートクラウド、またパブリッククラウドを統合管理し、ITサービスを提供を自動化する製品。プロビジョニング、メータリング、モニタリング、キャパシティー管理機能などを持ち、異機種混合のマルチベンダー環境、オンプレミス/パブリッククラウドのハイブリッド環境でも運用を標準化して統合管理することができる。
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IaaSレイヤーの管理に「OpenStack」を採用し、PaaSレイヤーは標準規格「OASIS TOSCA」に準拠することで、複数のクラウド間の相互運用性を担保し、クラウド上で稼働するアプリケーションの可搬性を確保した点が特徴だ。
クラウド基盤の構築に必要なリソースやワークロードなどを、GUIを使って設定・自動化できるセルフサービスポータル機能を持ち、クラウド構成の作成、プロビジョニングなどの作業を効率的に設定、自動化できる。クラウド基盤のリソース管理に必要な承認ワークフローも、ポータル画面からGUI操作のみで作成できる他、自動化の設定作業を効率化できるよう、あらかじめ必要なシステム構成や設定情報を組み込んだ「自動化パッケージ」も複数用意している。また、作成したクラウドの構成/設定情報を、セルフポータルサービス上で「仮想イメージ」(IaaS)/「仮想パターン」(PaaS)としてカタログ化して管理。これらを複数のクラウド間に展開可能とすることで、ハイブリッドクラウド環境の柔軟な運用を支援できる。
このIBM SmarterCloud Orchestratorの他に、運用自動化を行う上で核となる製品としては、サービスポータル画面を通じてエンドユーザーのリクエストを受け付け、自動的なリソース提供を可能にする機能などを持つ「IBM SmarterCloud Control Desk」、ビジネスポリシーに従って複合ワークロードを自動化する「Tivoli Workload Scheduler」、ワークロードを最適化し、プライベートクラウドインフラストラクチャ内の可視性を向上させる「IBM SmarterCloud Monitoring」などがある。
ITサービスの迅速な提供という「スピード」の担保とともに、オープン性とアプリケーションの可搬性を確保し、ビジネス展開に応じてオンプレミスとパブリッククラウド環境を使い分けるという考え方は、これからのシステム運用を考える上で大きなポイント。運用自動化を核に、ビジネス要請に迅速かつコスト効率よく応えていく上での要点がうかがえるのではないだろうか。
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