「API管理」の概要と必要性、技術構成、主要ベンダーなどについて解説。さらに、今注目される「API」の概要と、SOAとの違い、APIの公開における4者の役割と課題、今後どうなるのかについても紹介する。
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ITが普及する現在、いつでも手を伸ばせばスマートフォンなどのモバイル機器があり、LINEやTwitterなどSNS/ソーシャルが生活に広く浸透し、さまざまなモノがネットワークを介して接続されています「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)。これらが生活に浸透して人のつながり(エンゲージメント)を取り持つシステムは、総称して「SoE:Systems of Engagement」と呼ばれ、今後ますますの拡大が予想されています。
このSoEを企業の基幹システムへ連携させることによる新たなビジネス機会の創出が、企業にとって喫緊の課題になっています。しかし、SoEにつなぐことばかりを優先し、長年をかけて高い品質を実現してきた基幹システムを安易に改変することは望ましくありません。とはいえ、基幹システムで主流のウォーターフォールでSoE連携を開発していたのでは、せっかくのSoEのスピード感が損なわれてしまいます。
基幹システムとSoEの進化速度や開発手法の差を補完し、迅速かつ効果的に連携を実現する方法として、「API(Application Programming Interface)」が今再び注目されています。
従来の「API」は複数プログラム間の呼び出し規約を仕様としてまとめたもので、主に“開発者”“設計者”に参照されてきました。本稿で紹介している「API」(「Web API」「API公開」)も「複数プログラム間の呼び出し」という点では似ていますが、“かかわる人”が異なります。新たに、「企業の基幹システムに保管されているビジネス情報を『API』として社外へ積極的に公開し、SoEからのアクセスを可能にして新たなビジネス機会の創出を目指す」というアプローチが注目を集めているのです。
API公開においては、基幹システムの情報を社外のSoEからアクセス可能にするため、セキュリティやプライバシーの配慮は必須です。また、APIのビジネス成果を可視化し制御するための監視や流量制御の機能も欠かせません。公開したAPIの品質が不適当な場合は企業イメージが損なわれる懸念もあります。
効果的にAPIを公開し、ビジネス貢献を図るためのツールや手段をまとめた技術は「APIマネジメント」「API管理」として急速な進化を続けています。
企業の持つ魅力的な情報がAPI化されてネット上を「商品」として流通していく、その周辺でAPIによってつながれた市場が同心円状に新たなビジネス商圏を生み出していく――これは「API経済圏(APIエコノミー)」と呼ばれ、ネット上での新たなビジネスモデルとして注目されています。
社外の知見を求めてAPIを使った「ハッカソン」や「コンテスト」を開催する非IT企業も増えており、また「オープンデータ」の展開などもAPI公開を後押ししています。
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