e-Taxを導入するには、事前に「電子証明書(有料)」や「ICカードリーダー(有料)」を入手しなければならない。
※この連載は「開業から1年目までの個人事業・フリーランスの始め方と手続き・税金」(望月重樹著)の第2章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。内容は、書籍出版時(2014年1月現在)の法令などに基づきます。実際に開業される場合は、最新の情報をご確認ください。
確定申告の季節が近づいてきました。この時期にプロスポーツ選手などの著名人が「e-Taxでの確定申告はとても簡単でした」とニュースでコメントしているのをご覧になった方も多いでしょう。税理士業界にも税務署から頻繁にe-Taxの利用促進が呼び掛けられますが、一般にはあまり浸透していないようです。
e-Taxは確定申告などの国税に関する手続きをインターネットを通して行えるシステムです。税務署への提出書類を、わざわざ現地まで足を運ばずに、インターネットを介して送信できるのです。
便利な制度ですが、e-Taxを利用するためには、少々複雑な手続きを踏む必要があります。
まずPCの環境を整えます。具体的にはハードウェアのCPUやメモリ、WindowsなどOSのバージョン、Webブラウザーのバージョンなどの環境を、e-Taxの推奨環境に合致させます。
「電子証明書」とはデータ作成者が本人であることの確認書類で、住民票のある市区町村が発行する「公的個人認証サービス」などが当てはまります(有料)。さらに、電子証明書を読み取るためのICカードリーダーライターという装置の購入が必要です。
上記の準備を整えたら、「電子申告・納税等開始届出書」を納税地の税務署に提出します。インターネット経由でも提出できます。書式に従って必要事項を記入し、「申告・納税等手続」欄に忘れずにチェックを入れて提出します。書面で提出する場合には、利用できるまでにある程度の日数が必要になりますので、十分な余裕をもって提出してください。
開始届出書をオンラインで提出すると「利用者識別番号」などがオンラインで発行(通知)されます。
2015年10月にスタートするマイナンバー制度によって、確定申告に必要な各種書類をそろえやすくなるなど、e-Taxの利用がより容易になるといわれています。
参考リンク
・2015年秋からスタートする「番号制度(マイナンバー)」とは何ですか? (ITmedia エンタープライズ)
・ようやく、マイナンバー(@IT)
次回は、国民年金と国民健康保険への移行手続きについて説明します。
開業から1年目までの 個人事業・フリーランスの始め方と手続き・税金
望月重樹著
日本実業出版社 1600円(税別)
開業準備、帳簿の付け方、青色申告、資金繰り、1年目の経営分析……たった1人で開業する人が、1年目を乗り切って2年目以降の経営に弾みを付けるために、何をすべきか、どの順番でやるべきかを網羅した1冊。
望月重樹
税理士法人羅針盤代表社員。2002年税理士試験合格。税理士でありながら社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、MAS監査プランナーの資格を持ち、個人事業主の経営・労務管理や起業家のスタートアップをトータルでサポートしている。著書に「わかりやすい減価償却の実務処理と節税ポイント」「わかりやすい役員給与の実務処理と節税ポイント」(ともに日本実業出版社)がある。
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