米オラクルは米国で開催中の年次イベント「Oracle OpenWorld 2015」で、セキュアでスケーラブル、クラウド運用に対応したデータベースプラットフォームとして、プロセッサー「SPARC M7」、OS「Solaris 11.3」、データベース管理ソフトウエア「Oracle Database 12c R2」の詳細を語った。
米オラクルは2015年10月26日(米国時間)、同社のリレーショナルデータベース管理ソフトウエアであるOracle Databaseのアップデート版「12c Release 2」(以下、12c R2)のベータ版についてのアナウンスを行った。「クラウドデプロイメントをより俊敏でスケーラブルにする」としている。
「12c Release 2」では、サーバー間やデータセンター間、オラクルクラウドとの間で、オンラインでプラガブルデータベース(PDB)を移動できるようになる。また、「Oracle Database In-Memory」オプションでは、パフォーマンス改善、運用の自動化、デプロイオプションを柔軟にする計画があるという。グラフデータベースのための「Oracle Graph」などでも、機能拡充が行われている。
オラクルでは同日に「Oracle Solaris 11.3」をリリース。さらに「SPARC M7」プロセッサーの詳細についてもアナウンスしている(SPARC M7は2015年中に一般提供を開始する予定)。
Solaris 11.3では、仮想化や「時間ベースのアクセスコントロール」などの独自のセキュリティ機能に加え、SPARC M7プロセッサーが実装する「Security in Silicon」の機能が利用できるようになっており、バッファオーバーフローなどの攻撃に対処できるという。
また「Oracle SuperCluster M7」「SPARC T7/M7」サーバーを含むSPARC M7プロセッサーをベースにしたシステムは、仮想化やクラウド運用管理に対応しており、開発者はSecurity in Siliconや「SQL in Silicon」の利点を活用できるとしている。
Security in Siliconでは、「Silicon Secured Memory」と「Hardware-Assisted Encryption」の二つの機能が盛り込まれている。
Silicon Secured Memoryでは、ハードウエアレベルでメモリを保護し、バッファオーバーフローなどの攻撃に対処できるという。暗号化機能Hardware-Assisted Encryptionでは、データのI/Oやネットワーク通信に対する暗号化もハードウエアにオフロードできる。このため、「セキュリティかパフォーマンスか」といった選択を行う必要がなくなるとしている。
SQL in SiliconではSPARC M7プロセッサーの32コア全てにコプロセッサーを搭載し、メモリ―圧縮やメモリースキャン、レンジスキャン、フィルタリング、表結合などのクリティカルな機能のアクセラレーターとしてコプロセッサーが機能する。処理をコプロセッサーにオフロードし、メモリやCPUリソースの使用量を削減することでデータベースクエリ性能を10倍に向上させるという。
Solaris 11.3では、データセンター横断で、データベース、Java、その他アプリケーションやZFSファイルシステム、ネットワークに加え、ライブマイグレーションの処理に対しても、性能に影響を与えることなくSPARC M7の暗号化アクセラレーション機能を利用できるという。また、動的リソース管理やOracle Real Application Clusters(RAC)における高速な行ロック管理も実現していることから「DBaaSを提供する最もアジリティの高いプラットフォーム」だとしている。
この他、Solaris 11.3が提供するセキュリティ機能は、ZFSブートのOpenStack環境でも利用できるという。また、自動アップグレードや簡易ロールバック機能についても、「OpenStack Heat」や「OpenStack Ironic」と組み合わせても利用できるとしている。
なお、オラクルは2013年にOpenStack Foundationのコーポレートスポンサーになっており、当時からOpenStackとの連携を表明していた。
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