ルートサーバーやTLDの権威DNSサーバーなど、公益性の高いサービスを運用している組織に割り当てられることのある「PIアドレス」について解説する。
PIとは「Provider Independent」の略で、PIアドレスとは、プロバイダーに割り振られたIPアドレスブロック(注1)から独立したIPアドレスのことである。
通常の利用者が使用するIPアドレスは、経路制御上の理由でプロバイダーに割り振られたIPアドレスブロックの中から割り当てられる。従って、通常の利用者は、使用するプロバイダーを変更する場合にはIPアドレスを変更する必要がある。
ルートサーバーやTLDの権威DNSサーバーなど、公益性の高いサービスを運用している組織にはPIアドレスが割り当てられることがある。PIアドレスの使用は、プロバイダー依存性を排して長期間にわたり同一IPアドレスでDNSサービスを提供することや、IP Anycastの適用によるサーバーの強化や信頼性の向上を実現するために重要である。このようなサービスはクリティカルインフラストラクチャ(Critical Infrastructure)と位置付けられており、PIアドレスが優先的に割り当てられるようになっている。
注1:「プロバイダーの持つIPアドレスブロック」とは、ルーターの経路制御表が増大するのを抑制するため、経路情報をプロバイダー単位で集約することを目的としてプロバイダーに割り振られる大きな連続したIPアドレスブロックのこと。PA(Provider Aggregatable)アドレスとも呼ばれる。
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