グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うシリーズ。今回は日本で起業したBLUESHIFTのBrent Reichow氏に、起業時の苦労譚や同社がエンジニアを採用するときに注目するポイントなどを伺った。※オリジナル動画付き
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ。第6回は、クラウドバックアップサービスプロバイダ「BLUESHIFT(ブルーシフト)」のBrent Reichow(ブレント・ライコー)氏にお話を伺った。
「自分ほど起業家という言葉にふさわしくない経営者はいない」と話すライコー氏は、なぜ日本で「株式会社」を起業したのだろうか? 起業家らしくないからこそ、技術力を武器に堅実に会社を営んできた彼の経験やそこから得た知見は、将来起業を目指すエンジニアの参考になるだろう。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) ブルーシフトとはどのような会社ですか?
Brent Reichow(ブレント・ライコー:以降、ライコー氏) ブルーシフトは、2004年に設立した日本企業です。最初はデータセキュリティに特化していましたが、2007年にデータのバックアップとリカバリを扱うようになり、現在はクラウドのバックアップも提供しています。顧客情報をデータとしてインスクリプト化し、それをクラウド上で管理し、例えば災害からのデータの保守や復旧、事業継続のためのデータの管理などを行っています。顧客が万が一データを失っても、東京、大阪、沖縄、シンガポール、香港にある当社のデータセンターに保管しているバックアップを使ってリカバリできるのです。
阿部川 競業企業はどういったところですか?
ライコー氏 ローエンドやモバイルデバイス向けですと、アップル製品のWebサイトデベロッパー「ねこじゃらし」という企業があります。スパムやウイルス対策用のソフトウェア大手の「バラクーダネットワークス」も、現在はデータバックアップ用のアプライアンスも持っていますので、当社の競合です。
ハイエンドの分野では、「EMC」と競合することが多いですね。彼らはデータドメインという製品を持っており、30〜100TB規模の案件になると必ずといってよいほど競合します。
阿部川 EMCはまた違った局面に入りましたね。
ライコー氏 びっくりしましたね! 思わずツイートしてしまいました。670億ドルですよ! 信じられませんね。でもこれで市場が大きく変わると思います。特にチャネルパートナーの状況は激変すると思います。というのも、デルにはデルのパートナーがいますし、EMCにはEMCのパートナーがいます。それはもしかしたらHPのパートナーになるかもしれませんし、日本のパートナー企業にとっては大きなチャンスにもなると思います。
阿部川 今回のデルによる買収は、データプロテクションがどれほど重要な分野であるかの証明だと思います。
ライコー氏 デルは今までこの分野で多くの企業買収を行ってきましたが、これで恐らく大きな成功が見込めると思います。
阿部川 ますます、データプロテクション分野の重要性が増すことになりますね。
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