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» 2016年01月20日 05時00分 公開

5つのポイントで成果につなげる「一年の計」の立て方仕事が「つまんない」ままでいいの?(13)(2/3 ページ)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]

「成果につなげる年間目標の立て方」5つのポイント

 一年の羅針盤となり、モチベーションが上がる目標を立てるためには、「こうなったらいいなー」「行ってみたいなー」のように前向きに感じられ、行動を自分でコントロールできるような目標にするといいでしょう

1:肯定表現にする

 一つ目のポイントは、「○○しないようにする」のような否定表現ではなく、「○○する」のような肯定表現にすることです。なぜなら、表現の違いは、目標から受けるイメージやモチベーションに影響を与えるからです。

 例えば「太らないようにする」という否定表現は、「太る」という言葉が印象に残り、何となくイヤーな感じを与えます。一方、「スリムで美しいボディラインを作る」は、「スリム」や「美しい」という言葉が印象に残ります。

 同様に、「仕事でミスをしないようにする」「技術力で時代に置いて行かれないようにする」のような否定表現は目標として好ましくありません。それならば、「一つ一つの仕事を丁寧にする」「新しい技術情報に積極的に触れる」のような肯定表現にした方が、目標から受ける印象がポジティブになり、モチベーションアップにつながりやすくなります。

 また、「技術力で時代に置いて行かれないようにする」のように、「○○しないようにする」という否定表現は具体的な行動ではありません。

 「○○しないようにする。そのためには、何をすればいいだろう?」のように「すること」を考えると、「新しい技術情報に積極的に触れる」のような、肯定表現で具体的な行動に変換できます。

2:主体的な表現にする

 二つ目のポイントは、「表現を主体的にする」ことです。なぜなら、自分が思い通りにコントロールできるのは自分だけだからです。

 例えば、「お客さまから評価される」という表現は適切ではありません。なぜなら、評価を決めるのはお客さまなので、この表現だと自分の意志で行動をコントロールできないからです。一方、「お客さまから評価をしていただけるよう、悩みを丁寧にヒアリングする」ならば、自分の意志で行動をコントロールできます。

 主体的な表現にするために、目標の主語は「お客さまが」「上司が」のような他者(他責表現)ではなく、「私が」(自責表現)にするといいでしょう。「お客さまから評価されるためには、私は何をすればいいだろう?」のように考えると、主語を「私」に変換できます。

3:目標が「五感」によってイメージできるようにする

 三つ目のポイントは、「目標が五感によってイメージできるようにする」です。なぜなら、五感でリアルにイメージできると、目標を達成している状況がはっきりするとともに、それをかなえたいという気持ちが湧いてくるからです。

 例えば、「新しいプログラム言語を習得する」を目標にする場合、これだけではプログラム言語が身に付いた状況が明確ではなく、どこまでたどり着いたら目標が達成できたと言えるのかが分かりません。また、状況をリアルに感じられないため、それほど「習得したいなー」という気持ちが湧かないかもしれません。

 そこで、「新しいプログラム言語が身に付いた」と分かる状況を具体的にしてみましょう。物語でも作るかのように、その状況をリアルに想像します。

2016年6月、プログラミング言語の資格試験を受けた。この半年間、「新しいプログラミング言語を身に付けたい」と思い、仕事が終わった後、○○言語の勉強を毎日コツコツやってきた。その結果が入った封筒が、今、職場のデスクに置かれている。

封筒を手に取り、ドキドキしながらゆっくりと開けてみると……「合格」と書かれた証書が見えた。思わず、「やった〜!」と言いながらガッツポーズ。それを聞いた隣の同僚が、「あの難しい試験に合格したの? すごいね」と声を掛けてくれた。

うれしい。本当にうれしい。目標が達成できた高揚感と、努力が報われた充実感を、今、胸の辺りでじっくりと味わっている。

 単に「新しいプログラム言語を習得する」と目標を立てるよりも、将来のある日に、目標を達成した状況が五感でリアルに感じられた方が、「かなえたいなー」という気持ちが湧いてきませんか?

 そこで、目標が達成できたときに「見えて」いるであろう状況を具体的にします。「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」のような4W1Hの視点でイメージすると、視覚的なシーンが具体的になります(一般的には、「なぜ」を加えて5W1Hとするのがメジャーですが、「なぜ」は状況ではなく、目には見えない背景であるため、次の項で深堀します)。

 また、そのとき周囲から「聞こえて」いるであろう声や、目標が達成できたときに「感じる」であろう高揚感や充実感を想像し、イメージの中で体験してみます。そして、それが本当に望んでいることなのかを確認しましょう。

4:「何のためにそれをするのか」を明確にする

 四つ目のポイントは、「何のためにそれをするのか」を明確にすることです。すると、目標を達成する目的や意味がはっきりし、モチベーションアップにつながります

 例えば、「常に新しい技術に触れる」という目標には、それを達成することによって得られる何か(目標の上位にある目的や意味)があるはずです。それは、「生涯エンジニアとして活躍する」のような、あなた自身に関することかもしれませんし、「技術者としてお客さまに最高の価値を提供する」のような、他者に関することかもしれません。

 次のような質問の答えを考えると、目標を達成する目的や意味が明確になります。

  • 目標を達成することによって、私は(または、周囲は)「どうなれる」だろう?
  • 目標と達成することは、私にとって(または、周囲にとって)どんな「意味」や「価値」があるだろう?
  • 目標を達成する上で、私は「どうあるべき」だろう?
  • 目標を達成する、私の「使命」は何だろう?

5:周囲の環境に配慮する

 五つ目のポイントは、「周囲の環境に配慮する」ことです。なぜなら、大きな目標を思い描くのは素晴らしいことですが、大き過ぎる目標は大きな負担につながりがちです。その負担が、自身や周りの人を心身ともに追い込んでしまう危険があるからです。

 例えば、現在、あるシステムの開発プロジェクトで中心メンバーとして活躍していて、今年の目標が「このプロジェクトを完全にやり遂げる」ことにしたとしましょう。仕事に夢中になっているときは、毎日午前様でも、あなた自身は充実感を味わえるかもしれません。けれども、プロジェクトメンバーや家族には大きな負担を強いているかもしれません。

 描いた目標が、自身や家族、友人知人、同僚に過度な負担を強いるものになっていないか配慮しましょう。

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