Windows 10へのアップグレードは無償だが、場合によってはアップグレードしたくないこともある。自動アップグレードをブロックするための手順をまとめておく。
対象OS:SP1適用済みのWindows 7 Starter/Home Premium/Professional/Ultimate、Update適用済みのWindows 8.1 無印エディション/Pro
2015年7月末にWindows 10が正式リリースされてから1年間、条件付きながらWindows 7/Windows 8.1搭載PCは無償でWindows 10へアップグレードできるようになっている。だが互換性の問題などのために、まだWindows 10へアップグレードしたくないという要望も多い。
そこで本TIPSでは、Windows 10の自動アップグレードに関する情報や、そのブロック方法について、今まで紹介してきたものを中心にもう一度まとめておく。まずは本TIPSを一読し、詳細は以下で紹介する各TIPSを参照していただきたい。
Windows 10へのアップグレードに関する情報や、アップグレード後にシステムの状態がどのようになるのか、対象OS、各ベンダーのWindows 10対応情報などについては、以下のリンクも参照されたい。
アップグレードの対象となるPCのタスクトレイには、「Windows 10を入手する」というアプリのアイコンが表示されており、これをクリックすると簡単にWindows 10へアップグレードできる。このツールは、Windows 10アップグレードの予約やアップグレードインストール用イメージのダウンロード、展開、適用、ユーザーへの通知などを行うツールである。
2016年3月に配布された更新プログラムの適用後、タスクトレイにある、このアプリのアイコンをクリックするだけでWindows 10へのアップグレードが自動的に予約されてしまったとか、場合によっては自動的にシステムがアップグレードされ、Windows 10になってしまったというケースが幾つか報告されている。
本来ならアップグレードを手動で許可しなければそのような事にはならないはずだ。そこに表示されていた[無償アップグレードの予約]や[準備ができたら通知する](上の画面参照)というボタンをいつの間にか(はるか以前に)クリックしていて、そのようなユーザーに対して自動的に配布されているのでは? とも言われているが、詳細は不明だ。
だが、少なくともユーザーの視点からすると「自動的な」アップグレードが始まったのは明らかだ。明示的にアップグレード予約をキャンセルしない限り、今後もインストールの案内や催促は表示され続けるだろう。また、Windows 10へのアップグレードはWindows Updateの「推奨される更新」でも配布されているので、そちら側で間違って適用してしまう可能性もある。
Windows 10へのアップグレード作業には次のように幾つか段階があり、それぞれで少しずつキャンセル方法が異なる。アップグレードの準備が今どの段階にあるかは、「Windows 10」を入手するアプリをクリックするか、Windows Updateの画面を開けば確認できる。
1.Windows 10へのアップグレードの予約
以前は、システムがアップグレードに適しているかどうかチェックされ、適合していればダウンロードを促すボタンを表示するようになっていた。だが現在では、システムが適合していれば、次のダウンロードや展開、アップグレードスケジュールの予約段階まで自動的に進め(とても親切だ)、すぐにアップグレードできるようにしている。
2.Windows 10のインストールファイルのダウンロードと展開
システムがアップグレードに適しているかどうかチェックされ、適合していれば、Windows 10のアップグレード用のインストールファイルをダウンロードして、「C:\$WINDOWS.~BT」フォルダーへ展開する。
3.アップグレードスケジュールの予約
アップグレード用イメージの展開が完了したら、ユーザーに対して、いつアップグレード作業を行うかを問い合わせる。「今すぐアップグレード」や「今夜アップグレード」などの選択肢が提示されるだけでなく、数日以内の任意の時間帯が自動的に予約されていることがある。
4.アップグレード作業の実行
予約した時間の1時間前になると、もうすぐアップグレードが開始されるというカウントダウン画面になり、時間になるとアップグレード作業が始まる。
Windows 10にアップグレードしたくない場合に行うべき作業としては、次のようなものがあるだろう。
以下、各作業の概要を説明していく。
Windows 10への自動的なアップグレードは、レジストリやグループポリシー設定などで無効化できるので、以下のTIPSを参考に設定して、システムを再起動しておく。
これを実行しておかないと、いくらアップグレード予約をキャンセルしても、以後もアップグレードを促す画面がたびたび表示され続けることになる。特に、毎月第2火曜日の翌日にある月例の更新プログラムの配布時に、自動的にまた表示されてしまう。
アップグレードの予約後、アップグレードしたくなくなった場合は、まずアップグレード予約をキャンセルする。そのためには「Windows 10を入手する」アプリを開いて「予約の取り消し」を実行し、システムを再起動しておく。以下のTIPSを参照のこと。
アップグレード作業が既にスケジューリングされている場合は、次のような画面が表示されるので、まずスケジュールそのものをキャンセルする。その後、上の手順でアップグレード予約や今後のアップグレードのブロックを行う。
■アップグレードがスケジュールされている場合の画面例1
■アップグレードがスケジュールされている場合の画面例2
■アップグレードがスケジュールされている場合の画面例3
次のような画面が表示されたら後1時間以内にアップグレード開始が迫っているので、すぐにキャンセル作業を行った方がよい。
以上の他にも、次のような画面が表示されることがある。
この画面では、どちらのボタンをクリックしてもアップグレードしか選択できないし、タイトルバーの部分にメニューがないのでウィンドウを閉じることもできない。だがこれは「Windows 10を入手」アプリではなく、Windows Updateが表示している通知画面である。「Windows 10を入手」アプリ側でアップグレードをキャンセルしておけばよい。
Windows 10にアップグレードしてしまった場合でも、31日以内ならロールバックして元に戻すことができる。間違ってアップグレードした場合や、互換性の問題などでWindows 10が利用できないのなら、ロールバックすればよい。具体的な方法については以下のTIPSを参照のこと。ロールバック後は、またアップグレードされないように、ブロックの設定を行っておく。
状況によってはユーザーに何も問い合わせることなくWindows 10へのアップグレード作業が行われることがあるようである。その場合は、アップグレード作業の最後の段階(Windows 10にアップグレードした後)でライセンスに同意するかどうかの画面(「これは法的文書です」の画面)が表示されるので、そこで[拒否]をクリックするとロールバックして元に戻せる(該当画面が表示されない場合は、いったんアップグレードしてから手動でロールバックする)。
今後Windows 10へアップグレードするつもりがないなら、「Windows 10を入手する」アプリ(とそのアイコン)を無効化するとよい。詳細は以下の記事を参照のこと。
Windows 10へアップグレードするため、システムには数Gbytesのインストール用イメージがダウンロードされる。今後アップグレードするつもりがないなら、これは無駄なので削除しておこう。このためには「ディスク クリーンアップ」ツールを利用する。具体的な方法については、TIPS「ダウンロードされたWindows 10のインストールファイルを削除する」を参照のこと。
その他のアップグレードトラブルについては、次の記事一覧ページを参照していただきたい。
■関連リンク
■更新履歴
【2016/07/07】「Windows 10を入手する」アプリが更新されたのに合わせて、スクリーンショットを更新・追加しました。
【2016/03/18】初版公開。
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