Windows 7/8.1のタスクトレイ(通知領域)に常駐している「Windows 10を入手する」アプリのアイコン。不要ならアプリのアンインストール(削除)やアイコンの非表示といった設定ができる。
対象OS:SP1適用済みのWindows 7 Starter/Home Premium/Professional/Ultimate、Update適用済みのWindows 8.1 無印エディション/Pro
Windows 10の無償アップグレードの必要条件を満たしているWindows 7/8.1搭載PCには、次のように「Windows 10を入手する」というアプリのアイコンがタスクトレイ(通知領域)に表示されているはずだ。
ただし、Windows 7/8.1搭載PCであれば必ずこの現象が生じる、というわけではない。例えばEnterpriseエディションのWindows OSでは、この現象は見かけないはずだ。
これはWindows 10の無償アップグレードを支援するためにマイクロソフトが用意したアプリで、Windows Updateによってインストールされたものだ。
このアプリから、Windows 10へのオンラインアップグレードを実行できる。またアップグレード作業を始める時刻をスケジューリングしたり、アップグレードを取り消したりすることも可能だ。当該PCのハードウェアとソフトウェアを調査して、Windows 10との互換性に問題がないか確認する機能も持っている。アップグレードしたいユーザーにとっては大変便利なアプリである。
その一方で2016年3月10日頃から、このアプリで何も操作していないはずなのに、勝手にWindows 10へのアップグレードが始まってしまった、という報告が増えている。その場合、このアプリを開くとアップグレード作業の予定時刻が表示されたり、あと1時間で始まるというカウントダウンが表示されたりする。
Windows 7/8.1からWindows 10への無償アップグレード期間は、いまのところ2016年7月末までの予定だ。
しかし互換性問題などの理由から、当面アップグレードするつもりがなければ、このアプリのアイコンをタスクトレイに表示させないように設定できる。本TIPSでは、その手順と注意点を説明する。
ただし、このアプリを非表示にしたり削除したりしても、Windows 10へのアップグレードそのものは止められない。アップグレードを「ブロック」する設定が別途必要だ。
「Windows 10を入手する」アプリやタスクトレイアイコンの表示を止めるには、複数の方法がある。それぞれメリット/デメリットがあるので、以下から選んで実行していただきたい。
■記事内目次
「Windows 10を入手する」アプリはインストールしたまま、邪魔(?)なタスクトレイアイコンの表示を止めたい場合は、レジストリの設定を変更する必要がある。
[注意]
レジストリに不正な値を書き込んでしまうと、システムに重大な障害を及ぼし、最悪の場合、システムの再インストールを余儀なくされることもあります。レジストリエディターの操作は慎重に行うとともに、あくまでご自分のリスクで設定を行ってください。何らかの障害が発生した場合でも、本Windows Server Insider編集部では責任を負いかねます。ご了承ください。
項目 | 内容 |
---|---|
キー | HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\Gwx |
値の名前 | DisableGwx |
値の型 | DWORD |
値の内容 | 「1」→「Windows 10を入手する」タスクトレイを無効化 値そのものが存在しない→「Windows 10を入手する」タスクトレイが常駐 |
「Windows 10を入手する」タスクトレイの常駐を止めるためのレジストリ設定 |
コマンドラインで設定するには、管理者権限でコマンドプロンプトを開いて、次のコマンドラインを実行する。
reg add HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\Gwx /v DisableGwx /t REG_DWORD /d 1 /f
その後、いったんログオフ(サインアウト)してからログイン(サインイン)し直すかシステムを再起動すると、タスクトレイアイコンが表示されなくなる。
「Windows 10を入手する」アプリをインストールしているのは、「KB3035583」というKB番号の更新プログラムである。従って、この更新プログラムをアンインストールすると「Windows 10を入手する」アプリもコンピュータから削除され、タスクトレイアイコンともども表示されなくなる。
この更新プログラムをアンインストールするには、コントロールパネルの[プログラムと機能]アプレットを用いる。
アンインストールが完了したら、再びWindows Updateによってインストールされないように設定しておく。それにはコントロールパネルのWindows Updateアプレットで左側メニューの[更新プログラムの確認]を実行した後、次の手順でKB3035583の更新プログラムを「非表示」にする。
この方法だと、いざ「Windows 10を入手する」アプリを使いたくなったときは、Windows Updateによってインストールされるのを待たなければならない(執筆時点ではKB3035583のオフラインインストーラーは配布されておらず、手動でインストールすることは困難だ)。
もっとも、このアプリがなくてもWindows 10への無償アップグレードは可能だ。
普段利用しないタスクトレイアイコンは、専用のポップアップウィンドウにまとめておくことで、通知も含めてタスクバーに表示させないようにできる。
ただし、この方法だと「Windows 10を入手する」アプリ自体はシステムに常駐し続ける。その一方で、「Windows 10を入手する」アプリを使いたくなったら、上記の設定項目を元に戻すだけで済む。
筆者が確認した限りでは、「Windows 10を入手する」アプリでアップグレードの予約を取り消し、さらにKB3035583をアンインストールした後に、Windows 10のアップグレード用インストールファイルが自動的にダウンロードされることがあった。つまり、このアプリを削除してもアップグレードの進行を止められない可能性がある。
そのため、アップグレードそのものをブロックするための設定も併せて実施することを強くお勧めする。その手順については、次のTIPSを参照していただきたい。
本TIPSの執筆時には、本文に記した方法の他にも試したことがある。ただ、無視できないデメリットがあったため本文には載せなかった。何かの参考になるかもしれないので、いちおう以下に記しておく。
■「Windows 10を入手する」タスクトレイを起動するタスクを無効化する
KB3035583の更新プログラムがインストールされると、関連のある複数のタスクがタスクスケジューラに登録される。それらを以下のように無効化すると、「Windows 10を入手する」アイコンが表示されなくなった。
筆者が試した限りでは、再ログイン(サインオン)やシステムの再起動でも、「Windows 10を入手する」アイコンが表示されることはなかった。
ただし、こうしたシステムが登録したタスクは、何かの拍子に自動で復旧される(再び有効化される)ことがよくある。またマイクロソフトが推奨している方法でもない(副作用があるかもしれない)。そのため、こちらもあまりお勧めできない。
その他のアップグレードトラブルについては、次の記事一覧ページを参照していただきたい。
■関連リンク
■更新履歴
【2016/07/07】「Windows 10を入手する」アプリが更新されたのに合わせて、スクリーンショットを更新・追加しました。
【2016/03/18】初版公開。
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