本連載では、IT企業の最前線で活躍するトップエンジニアに、学生時代に行った就職活動の内容や、これから就職活動を行う学生へのアドバイスを聞く。今回は、サイボウズで「kintone」の開発に携わる一方で、Webアクセシビリティの研究に取り組む小林大輔氏に伺った。
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本連載「まだ君は間に合う! 現役エンジニアに聞く、学生のときにやっておくべきこと」では、IT企業の最前線で活躍するトップエンジニアに、学生時代に行った就職活動の内容や、これから就職活動を行う学生へのアドバイスを聞いていきます。
IT企業の最前線で活躍するトップエンジニアは学生時代にどのような就職活動を行っていたのであろうか。今回は、サイボウズでWebデータベース型ビジネスアプリ作成ツール「kintone」の開発に携わる一方で、障害者や高齢者を含むあらゆるWeb利用者に配慮したサービスを実現する「Webアクセシビリティ」の研究に取り組む小林大輔氏に、就活生に向けたメッセージを伺った。
編集部 入社してから現在まで社内では、どのような仕事を担当してきたのかを教えてください。
小林氏 2012年4月に入社したので、もうすぐ入社して4年になります。最初の半年は研修期間で、開発だけではなく、営業や人事、総務などさまざまな業務を体験しました。開発に関しては別途2カ月の研修で基礎を学ぶことができました。
研修が終了した2012年9月に、kintoneの開発チームに配属され、現在まで同じチームで仕事をしています。仕事の内容は、当初は簡単なバグを改修する程度でしたが、最近では、新しい機能も含め、より複雑な機能の実装も少しずつ担当させてもらえるようになってきました。
編集部 現在、どのような技術分野を得意としているのでしょうか?
小林氏 1年ほど前までは、自分が得意とする技術分野は特に設けず、「いろいろな分野の技術に満遍なく取り組んでいきたい」と考えていましたが、1年ほど前から、Webデザインの領域、とりわけ障害がある方や高齢者の方にも使いやすいデザインやサービスを提供するWebアクセシビリティの分野に興味を持つようになりました。現在、この分野の技術を製品にどのように組み込んでいくのか、少しずつ勉強しているところです。
編集部 Webアクセシビリティに興味を持ったきっかけは何ですか?
小林氏 新入社員として弱視の人が入社したことです。ユーザビリティテストに協力してもらう機会があり、その人はブラウザの表示を300%に拡大して、しかも画面に顔を近づけて操作していたのです。その状況を目の当たりにして衝撃を受けました。「世界中のチームワークを向上させる」ことをミッションとして掲げる会社のサービスが、現実には身近な社員にも満足に使えてもらえていないことが分かり、誰にでも利用してもらえるサービスの提供を目指してWebアクセシビリティを重視する必要があると考えるようになりました。
編集部 Webアクセシビリティに取り組みについて、最近開催された「FRONTEND CONFERENCE 2016」で講演されたそうですね。
小林氏 はい。これまで、Webアクセシビリティの取り組みは社外には紹介していなかったのですが、この機会に発表してみたらどうかとチームリーダーに勧められ、講演することを決めました。私自身、発表することは好きな方なので、講演の際に緊張することはありませんでしたが、技術的な要素が少なく社内での啓蒙活動が中心の講演が、技術イベントの参加者に受け入れられるかどうか心配でした。実際に講演してみると、意外に反響が大きく、Twitterでも評価する書き込みが多く胸をなでおろしました。
編集部 エンジニアを目指すことになったきっかけについて教えてください。
小林氏 小学生の時、地元の「子どもの科学館」が主催するパソコン教室に通い始めたことが最初のきっかけだったと思います。その教室には、1年がかりでゲームを作る講座があり、それに参加してシューティングゲーム作りにハマってしまい、結局、その講座に中学1年まで3年間通い続けることになりました。
中学の時には、学校のWebサイトを作るクラブ活動に参加し、HTMLに触れたことも、エンジニアの道に進むきっかけになりました。また、小学校、中学校と部活動は美術部に所属し、大学でも美術サークルに所属したことが、今のWebデザインの道につながっていると思います。
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