Web上には.NET関連サイトが数え切れないほどたくさんある。その中でも.NET開発初心者がまずは押さえておきたいWebサイトを厳選してまとめた。
※ 本稿は「.NET開発者のためのオンライン・リソース・ガイド【2004年度版】」「同【2006年度版】」「同【2009年度版】」「同【2011年度版】」「同【2014年度版】」「同【2015年度版】」の改訂版である。
本稿は、これから.NETでプログラミングを始めようとしている方や、新しく.NETでの開発に携わることになった方に贈るオンラインリソースガイドの2016年度版である。インターネット上に数ある.NET関連サイト/プログラミング関連サイトの中で、.NET開発者がまずは押さえておくべきWebサイトについてまとめている。
.NET開発者がよく利用するサイトの代表は、やはり.NET Framework & Visual Studioを提供するマイクロソフトのサイトだろう。だが、ひとくくりに「マイクロソフトのサイト」といっても、マイクロソフトが運営するサイトは本当にたくさんあり、それぞれのコンテンツも膨大なものになっている。さらにマイクロソフト以外のサイトも加えると、とても消化できる情報量ではないだろう。全ての情報を見て回ろうとすれば、どれほどの時間がかかるか分からないほどだ。
そこで本稿では、マイクロソフトのサイトの中から、そしてマイクロソフト以外のサイトから、.NET開発者がよく使うサイト、本当に使えるサイトを厳選して紹介する。
また本稿では、サイトを整理して分かりやすくするために、簡単なジャンル分けを行っている。具体的には、次の3つのジャンルだ。
なお現実的には、これらの複数のジャンルに属しているサイトが多いが、最も特徴的なコンテンツから筆者が独断でジャンル分けしていることをお断りしておく。
以下の記載で、(英語)と注釈が付いているサイトは英語のコンテンツサイトで、それ以外は日本語のサイトだ。また[RSS]は、そのサイトのRSSフィード(RSSリーダーなどのツールを使って、より効率的に情報収集するための仕組み)へのリンクである。RSSリーダーについては、本稿最後の「RSSリーダーを活用しよう!」という項目を参照されたい。
まずは、アプリケーションを構築する上で欠かせない.NETのクラスライブラリの情報や、.NETのコア技術についての技術解説記事などが充実しているサイトを紹介する。この手のサイトは、やはり.NET開発者が最も頻繁に利用する種類のサイトである。
MSDNホームは、その名の通り、開発者向け情報を提供するMSDN(Microsoft Developer Network)のトップページである。マイクロソフトが発信する.NET開発関連の最新情報を入手するには、まずここにアクセスするとよい。
MSDNライブラリは、主に.NET FrameworkクラスライブラリとVisual Studio、SQL Serverに関連する技術情報、サンプルコードなどを含む製品ドキュメントを提供しているサイトである。このサイトは.NET開発を行う限りは必ずやお世話になるだろう。
MSDNマガジンは、先進的で高度な技術情報を掲載する月刊オンラインマガジンだ。かなりレベルの高い技術情報もたくさん取り上げられているため、先端技術に触れたいと考えるなら、欠かさず読みたいオンラインコンテンツである。
ここでは日本語と英語(米国)のサイトの両方を紹介しているが、基本的に日本語のサイトを参照すれば事足りる。ただし日本語サイトの内容の多くは英語サイトの内容を翻訳したものであり、一部の日本語コンテンツはその日本語訳が不適切だったり不明瞭だったりする(翻訳自体が行われていない場合もある)。そのような場合には英語サイトの方で原文を確認すればよい。特に最新の情報をいち早く知りたいといったときや、APIドキュメントの日本語訳が見つからないといったときには英語サイトを攻めてみると、よい結果が得られることがある。
マイクロソフトが提供する情報としては、「Patterns & Practices」(英語)もある(日本語訳は(1)、(2)、(3)などから参照できる)。.NETアプリケーションの構築における一般的なアーキテクチャや共通的な設計パターン、数多くの事例から得られたプラクティス(=実践すべき項目)に関する情報が掲載されている。ただし、最近では前述のリンク先の更新頻度は落ちている。また、活動の場もGitHubに移動しているようだ。
Channel 9は、米マイクロソフトが運営するサイト。マイクロソフト開催のイベント/オンラインイベントのストリーミング中継がここで行われるので、年に数回はお世話になるはずだ。加えて、マイクロソフトの開発者へのインタビュー動画などが多数あり、マイクロソフトが開発中の最先端技術に関する情報などをいち早く知ることができる。
残念ながら、多くが英語コンテンツだが、スクリーンを見ているだけでも、新機能の動作などについてはある程度は把握できるだろう(字幕を使うなら日本語よりも英語にするのが筆者的にはお勧めだ)。最近では、日本マイクロソフトが手掛ける各種のイベントに絡めたコンテンツや、「VS魂」など日本語コンテンツも徐々に増えてきている。
Microsoft Virtual Academy(以下、MVA)はマイクロソフトが提供するオンライントレーニングサイトだ。MSDNでは主にプログラミング関係のコースが、TechNetではITエンジニア向けのコースが提供される。ただし、筆者が確認した時点(2016年4月20日)では、下の2つのリンクで提供されているコースについては新コースの追加が滞っている。英語でも構わないという方は一番上のリンクからコースを探してみよう(古いものであれば、ここから日本語コンテンツも見つかるようだ)。
@IT/Insider.NETフォーラムは、本稿が掲載されている.NET専門のサイトで、.NETの最新技術情報やC#、VB(Visual Basic)などのプログラミングに関する解説記事、コーディングに役立つ.NET TIPSなどを多数公開している。ぜひこれからも定期的にご利用いただければ幸いである。
Build InsiderはInsider.NETの兄弟サイトだ。Insider.NETは主に.NETを主として業務アプリやそれに関わる技術を取り上げるのに対して(最近は.NET以外の技術も取り上げるようになってはいるが)、Build Insiderは.NET以外の技術やデバイス関連技術など、より広範な話題/技術を取り上げているのが、両者の大きな違いといえる。
Webアプリを開発する上で無視できないのがブラウザ間の互換性だ。これを検証するのに有用なサイトとしては上の2つのサイトが挙げられる。「Microsoft Edge Developer Resources」は以前「modern.ie」として知られていたサイトだ。このサイトでは各ブラウザプラットフォームがサポートしている機能を調べたり、IE6〜IE11もしくはEdgeを搭載した状態の仮想マシンをダウンロードし、ローカルな検証環境を構築したり、リモート環境でWindows、Mac、iOS、Androidなどの環境での動作確認を行ったりすることが可能だ。
「ECMAScript 6 compatibility table」は各ブラウザでECMAScript仕様がどの程度サポートされているかが一覧にまとめられている。「ECMAScript 6」とあるが、実際にはES5(JavaScript 5)、ES.next(今後のECMAScriptで採用が検討されている各種機能)についてもブラウザでのサポート状況を知ることができる。
そして、最近ではクロスプラットフォームアプリ開発が1つの大きなはやりとなっている。マイクロソフトはVisual StudioでXamarin(C#)、Visual Studio Tools for Apache Cordova(HTML+JavaScript+CSS)という形でこれをサポートしている。上記のリンクのうち、下の2つはそれぞれの公式サイトであり、入門的な内容から各種レファレンスまで、さまざまな内容が提供されている。
ここでいう「一次情報」とは、何かの大本になるオリジナルの情報のことだ。プログラミングの世界でいえば、プログラムのソースコードはまさしく一次情報である。しかし、そのプログラムを記述するために使われるプログラミング言語やフレームワーク、プロトコルなどの厳密な定義もまた一次情報といえる。
上記の団体はこうした規格や仕様を標準化しており、それらのWebサイトでは各種の規格や仕様を無償/有償で閲覧/取得できる。同じ仕様書であっても、サイトによってお値段が違っていることもあるので購入時には気を付けよう。また、規格書/仕様書は有償でも、勧告される直前の「ファイナルドラフト」と呼ばれる草案は無償で参照できる場合もある。ファイルナルドラフトと最終的な規格書/仕様書は内容がほぼ同一のことが多いため、取りあえずはファイルナルドラフトで済ませるのも1つの手だ。
例えば、ECMAのサイトではC#言語やECMAScriptなどの仕様書が手に入る(無償)。C#やJavaScript/TypeScriptを日常的に使っている方であれば、これらのドキュメントは手に入れておくとよい。
プログラミング言語やアプリの動作を深く理解したい、ここの動作がどうもよく分からないといった場合に最後にたどり着くのはソースコードだったり言語仕様だったりする。プログラミングの世界に一歩を踏み出した直後には必要はないかもしれないが、本稿で紹介している他の情報源では曖昧な部分をきっちりと理解したいというときがきたら、これらのサイト(やもう1つの一次情報=ソースコードの集積箇所である各種のリポジトリ)を活用しよう。
最後の「Mozilla Developer Network」(MDN)は一次情報サイトとは異なるが、JavaScriptやHTML5などの情報が豊富に提供されているサイトだ。ECMAScript仕様はちょっと目を通すには分かりにくいことがよくある。そうした場合にはMDNが役に立つだろう(筆者もよくお世話になっている)。
MSDNライブラリやサポート技術情報のコンテンツは開発時に頻繁に参照することになるが、これらのコンテンツの検索については、検索エンジンであるGoogleやBingを利用した方が使い勝手がよいことが多い。
GoogleやBingでは、以下のように、「site:<検索対象サイト>」と検索キーワードを半角スペースで区切って入力することで、そのサイト内のみの検索が行える(この例では「msdn.microsoft.com/ja-jp」内で「writeline」というキーワードの検索を行っている)。
余計な検索結果を省きたければ、このsite:オプションを覚えておくと便利だ。このテクニックはマイクロソフトのサイト以外でもとても便利に使えるので、ぜひとも活用しよう。
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