今度は、設定ファイルからデータを読み出して、画面に反映させよう。
ファイルに保存したときと同様にDirectoryEntryオブジェクトの取得から始めてもよいが、今度はファイルが存在しなかったときはエラーでよいので(画面に反映させない)、いきなりFileEntryオブジェクトを取得するコードから始められる。新しくloadSettings関数を追加し、FileEntryオブジェクトを取得するまでは次のコードのようになる。
function loadSettings() {
if (window.isRipple)
return; // Rippleでは動作しないので、何もせずに返す
// 設定ファイルへのパス(URL)
var urlToFile = cordova.file.dataDirectory + settingsFileName;
// 設定ファイルのFileEntryオブジェクトを取得
window.resolveLocalFileSystemURL(urlToFile,
// (第2引数)成功したら呼び出される関数
function success1 (fileEntry) {
console.log("loadSettings():resolveLocalFileSystemURL Success: "
+ fileEntry.nativeURL);
// ここにFileEntryオブジェクトを使ったコードを書いていく
},
// (第3引数)失敗したら呼び出される関数
function fail (error) {
console.log("loadSettings():resolveLocalFileSystemURL Error: "
+ error.code);
}
);
}
FileEntryオブジェクトが得られたら、その内容を読み出せる。書き込みのときとは少し違い、FileEntryオブジェクトからFileオブジェクトを作り、それをFileReaderオブジェクトのreadAsTextメソッドの引数に渡す(次のコード)。
// (resolveLocalFileSystemURLメソッドの第2引数)成功したら呼び出される関数
function success1 (fileEntry) {
console.log("loadSettings():resolveLocalFileSystemURL Success: "
+ fileEntry.nativeURL);
// ここにFileEntryオブジェクトを使ったコードを書いていく
// Fileオブジェクトを取得
fileEntry.file(
// (fileメソッドの第1引数)成功したら呼び出される関数
function success2 (file) {
// FileReaderオブジェクトを作成
var reader = new FileReader();
// ファイル読み込み後の処理をセット
reader.onloadend = function (e) {
console.log("read success: " + e.target.result);
// ここにファイルの内容(=e.target.result)を使うコードを書いていく
};
// ファイル読み込みを実行
reader.readAsText(file);
},
// (第2引数)失敗したら呼び出される関数
function fail (error) {
console.log("loadSettings():fileEntry.file Error: " + error.code);
}
);
},
これで設定ファイルの内容が読み出せた。読み出したデータは、reader.onloadendイベントハンドラーの引数eに入っている(e.target.resultプロパティ)。
最後に、設定ファイルから読み出した内容を画面に反映させて、アプリを完成させよう。
上のloadSettingsメソッドの未実装部分(reader.onloadendイベントハンドラーの内部)で、読み取ったJSONフォーマットの文字列をsettingsオブジェクトに復元し、画面の背景色に反映させよう(次のコード)。
function loadSettings() {
……省略……
reader.onloadend = function (e) {
console.log("read success: " + e.target.result);
// ここにファイルの内容(=e.target.result)を使うコードを書いていく
// ファイルの内容(JSON)を復元してtheSettingsオブジェクトに格納
window.settings = JSON.parse(e.target.result);
// 設定を画面に反映
applySettings();
};
……省略……
}
// 設定を画面に反映
function applySettings() {
// 背景色を反映
if (window.settings.bgColor)
$('body').css('background-color', window.settings.bgColor);
}
最後に、上のloadSettings関数をアプリの起動時に呼び出すようにすれば完成だ(次のコード)。
function onDeviceReady() {
// Cordova の一時停止を処理し、イベントを再開します
document.addEventListener('pause', onPause.bind(this), false);
document.addEventListener('resume', onResume.bind(this), false);
// Rippleの判定
window.isRipple = (window.parent !== undefined)
&& (window.parent.ripple !== undefined);
// 設定ファイルの読み込み開始(非同期)
loadSettings();
……省略……
};
実行してみると次の画像のようになる。設定ダイアログで画面の背景色を変更すると、それが設定ファイルに保存され、次の起動時にはその変更した背景色が復元される。
以上見てきたように、Fileプラグインを使ってファイルアクセスするコードは、少々面倒だ。非同期処理のために後続の処理を関数として引数に渡すという構造になっているのが大きな要因だろう。このあたりは、async/awaitに慣れたC#使いにはつらいものがあるが、例えばprominenceを使ってPromise化するなど、工夫の余地はある。
なお、別途公開のサンプルにはMediaプラグインを使って音声ファイルを再生する機能も実装してある。参考にしていただければ幸いだ。
今回は、プラグインの使い方を主に解説してきた。プラグインでデバイスの機能を利用すると、Webアプリでは作れなかったアプリが実現できる。
プラグインには、Deviceプラグインのように簡単に使えるものから、非同期で実行される上にプラットフォームごとの相違を理解していなければならないFileプラグインのような使い方が難しいものまである。
Cordovaは、JavaScriptでクロスプラットフォーム開発ができる素晴らしい開発環境である。前回紹介したように、Webアプリの範疇であれば本当に簡単だ。まずはそこから始めてみよう。そして、デバイスの機能を使いたくなったら、簡単そうなプラグインから挑戦していこう。
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