プログラマー、SE(システムエンジニア)、プロジェクトマネジャー――IT業界のさまざまな職業を紹介する本連載。第10回は、人材育成の要「エデュケーションエンジニア」を解説する。
一口に「ITエンジニア」と言っても、その仕事は職種によってさまざまだ。「ITエンジニア職業図鑑」は、「プログラマー」「ITコンサルタント」「フィールドエンジニア」などのIT業界に存在するさまざまな職業を取り上げ、仕事内容や必要とされる能力、仕事のやりがいなどを紹介する。IT業界に興味のある学生諸君の職業選択の参考になれば、幸いだ。
前回は「ITアーキテクト」の仕事と人物像を紹介した。今回は、新入社員研修などでお世話になる「エデュケーションエンジニア」のやりがいやキャリアパスを解説する。
エデュケーションエンジニアは、ITエンジニアを育成するための研修を企画、開発し、講師として研修を実施する職種である。ITエンジニアに高い専門性が求められる現在、「ITに関する専門スキル」と「人材育成に関する専門スキル」を活用して、プロフェッショナルなITエンジニアを育成する重要な役割を担っている。インストラクションを主に行う人は、「インストラクター」や「トレーナー」と呼ばれることがある。
所属会社は「教育サービス専門会社」と「IT企業」の場合が多い。前者は顧客向けの研修企画やインストラクションを行い、後者は社員の人材育成に携わる。
教育サービス専門会社の研修は、広く一般に受講者を募るパターンと、特定の顧客の受講者に対して研修を実施するパターンがある。
エデュケーションエンジニアの業務は、「研修企画」と「インストラクション」の2つに分けられる。
ITエンジニアに対する市場や受講者のニーズを分析する。それに応じた研修を企画し、研修の「カリキュラム」「コース」「教材」を設計する。
特定顧客向け研修の場合は、個別ニーズに合わせて研修を企画、開発したり、既存の研修内容をカスタマイズして提供したりすることがある。
研修で使用する教材を開発し、研修の運営管理を行うとともに、自ら講師として研修を実施する。
複数人の受講者に対してオフラインで教育する「集合研修」以外にも、「eラーニング向けの企画、開発および運営」をすることもある。
各種ベンダーの資格取得のための研修を担当する場合は、企画、開発はせず、研修の実施のみ行うこともある。
エデュケーションエンジニアのやりがいは、何といっても「受講者の反応をじかに感じられる」ことだ。受講者が本当に内容を理解したときに見せる「表情」を見るときこそ、「この仕事をしていて良かった」と思える瞬間である。
さらに「研修で学んだことが現場で役に立った」という話を耳にすることは、エデュケーションエンジニア冥利(みょうり)に尽きると言っていいだろう。
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