「本気」と書いて「マジ」と読む――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。島根編第3回は、U&Iターンエンジニアたちに大人気のスーパー公務員たちをお招きして座談会を開催しました。
「@IT式 U&Iターンスタイル」は、全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えていく。ご当地ライターたちのリアルな情報は、U&Iターンに興味のある方々の役に立つだろう。
こんにちは! 千葉県生まれのIターンエンジニア、「モンスター・ラボ」島根開発拠点のハスミンです。「ITエンジニア U&Iターンの理想と現実:島根編」第1回は、私たちが実践している屋外開発事例を、第2回は、仕事以外のIターンライフ@島根県松江市を紹介しました。
U&Iターンに興味のあるエンジニアの皆さんは「本当にU&Iターンできるの?」なんて思っていませんか? そんなときは、誰かが相談にのってくれれば心強いですよね。
安心してください。われらが島根県には強い味方がいます。
なぜ島根県はITエンジニアの移住に熱心なのか、どのような組織と情熱でU&Iターンをサポートしているのか、公務員たちはどのようにエンジニアのコミュニティーに関わっているのか――「ITエンジニア U&Iターンの理想と現実:島根編」、第3回は、移住者の不安や悩みの相談に乗ってくれる島根の公務員をお招きして、座談会を開きました。
羽角(ハスミン) こんにちは。今日はよろしくお願いいたします。早速ですが、今どのようなことに問題意識を感じていますか?
杉原さん 圧倒的な人口減少です。島根はついに人口が70万人を割ったんです。統計で人口減少数を見たとき、「このままだと200年後には島根がなくなってしまうじゃないか」と思いました。
日本全体で人口が減っているので、増やすというよりも、いかに減少を緩やかにするかが課題です。若い人が少しでも残ってくれるように。そのために、ワクワクするような街を作っていきたいです。
福田さん 少し情緒的な言い方になるけれど、私は自分の息子に堂々と引き渡せる地域を作りたい。大事な人が長く暮らしていける仕組みを作りたいです。
佐藤さん 松江市役所も島根県庁も「縮んでいく松江・島根」という後ろ向きな状態に接していく部署が多いのですが、今の部署でエンジニアのU&IターンやIT企業の誘致に関わって、「こんなに島根に人が来てくれている」って初めて知りました。
杉原さん 過疎化が進んでいる島根は、逆から見ると「課題の先進地」です。人口減少を始めとした地域課題に対処する新しいサービスを島根から生み出し、世界に再販できるビジネスモデルを作りたいんです。それが私たちがIT産業の支援に力を入れている理由です。
福田さん 以前は内心で「そんなことできるわけないだろう」と思ってたけど(笑)、最近は10年もたたないうちにそういう時代が来るような気がしています。
新しいことを始められる人、新しいものを生み出せるエンジニアたちに島根に残ってもらう、あるいは都会からU&Iターンしてもらい、松江や島根の環境を変えていきたい。単純に人数を増やすのではなく、変化を起こすためのキーになる「ひと」「もの」に集中したいです。
杉原さん 変化にはチャレンジが必要です。新規ビジネスの成功率って1000回バット振って3、4回当たるくらいだから、前向きに1000回挑戦できる環境を島根に作りたい。そのためには、チャレンジした人を褒める文化、空気、雰囲気を作りたいです。
福田さん 松江ではRubyがこうした動きの核になり始めています。あの飽きっぽい松江市役所が……あ、上司に怒られそう。
佐藤さん (笑)
福田さん 10年も続けている施策なんですよ、「Ruby City MATSUE プロジェクト」って。
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